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再会

 浅田が去った日、薪割りを教わっていた庭に着地する。

あの日から、庭は何も変わっていなかった。

少し、砂埃が積もっている気はする。

しかし、薪割りの途中で刺さったままの鉈や、すでに浅田が割っていた薪が積まれている壁や、生えっ放しの藪などは、以前のままの形で残っている。

やはり浅田の家を見ると、何か、胸の奥底がくすぐられるような辛い思いがする。

しかし、浅田が僕に後を継ぐ事を望んでいると確信している僕は、浅田の為なんだ、と、辛い思いを押し込める事ができた。

 僕はまず、浅田と走った道を、一人で走る。

里を抜けて、草木が生い茂る獣道を進んで行く。

流れる汗は心地良くて、立ち止まれば冷たい風が体の熱を冷ましてくれる。

空は何かを隠すように曇っていて、空気は湿気を孕んでいた。

決まった道を走り終えて、里に戻ってくる。

家に帰って、水を飲み、畳に寝転がる。

体の汗が畳に染み込んでいった。

浅田と出会った日からずっと掛けられたままの風鈴が未だに音を鳴らしている。

僕はその音を聞きながら、いつのまにか眠りに落ちていた。

 気が付けば夜になっている。

庭へ出ると、空は晴れていて、星が見えていた。

お腹が空いていたが、家にある食べ物は米以外全て腐っていた。

僕はとりあえず外に出て、途方にくれながら、野草でもないのかと、山の方に歩いていった。

里を出て少し行った所で何か動く物を見つける。

目を凝らしてよく見ると、人のようだ。

なにやら杖をついて、苦しそうに草を掻き分けてこちらに歩いてくる。

少しずつ近付いてきて、藪を抜けた時に月明かりに照らされたその人は浅田だった。

「あさ……だ……」

呟くように出したその声に、浅田はすぐに顔を上げてこちらを見る。

「お前か」

僕は、しゃくり上げるように涙が流れ出した。

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