苺と有梨華さん
有梨華さんと苺は驚いた表情でお互いをずっと見つめていた。とうとう想定していた最悪の状況になってしまった。俺は言い訳を頭の中で考えていた。
「なんで有栖川先生が太陽の家に...」
「野原さんこそなんで"星月"くんの家に?」
「私は太陽の家に遊びに来たんです。それよりもなんで有栖川先生が太陽の家にまるで自分の家のように帰ってきましたよね?」
「それは...その。」
「苺ちゃん私と有梨華姉ちゃんは姉妹だよ。私たちはしばらく太陽の家に泊まることになってるから...」
紗奈蘭さんはあたふたしかかっていた有梨華さんにフォローに入った。
「あっ、そうだったんですね。二人は姉妹で太陽といとこなんですね」
「そ、そういうことだ。」
俺は何とか話を合わすことに成功した。この紗奈蘭さんの咄嗟のフォローに感謝した。
紗奈蘭さんのフォローで納得した苺は上機嫌だった。有梨華さんの分のホットケーキも焼いていた。その間に俺と紗奈蘭さんはホットケーキが冷める前に食べることにした。
「ふわふわで美味い。」
「ほんとだ...苺ちゃん凄い...」
「ありがとうございます。喜んでもらえて嬉しいです。」
苺は俺たちに満面の笑みを見せる。俺は思わず苺に見惚れていると苺のすぐ隣で有梨華さんの目がギラッとした。
俺はすぐに苺から視線を外した。
「はい。有栖川先生の分も出来ました。」
「うわぁ〜すごくいい匂いがするねー。生地もふわふわだし野原さん凄いわ。」
有梨華さんはフォークを取りホットケーキを食べ始めた。かなり気に入ったのかおかわりをリクエストしていた。
俺たちは和やかな雰囲気の中ホットケーキを食べたり談笑した。有梨華さんも苺も仲良さそうに話していた俺は安心していた。
「ところで野原さんは星月くんと仲良いよね。」
「はい。私たち幼馴染なんです。それに...私は将来...太陽の..およ..ゴニョゴニョ..」
「ん?最後何て言ったの?聞こえなかったけど。」
有梨華さんが苺の最後の言葉を聞き返す。
俺も聞こえなかったので気になっていた。
「私は将来太陽のお嫁さんになるんですっ‼︎ 」
苺は目をギュッと瞑って顔を真っ赤にさせて大声で叫ぶ。
苺の声が部屋中に響き渡った後静まり返った。
「た、太陽くんは、太陽くんのお嫁さんは私がなるんだからっ‼︎ 」
苺の言葉に対抗したかのように有梨華さんが叫ぶ。
俺は思わず有梨華さんの顔を驚いた顔で見た。有梨華さんは俺と目が合うとハッとした。
有梨華さんは墓穴を掘ったのだ。
「有栖川先生が太陽のお嫁さん?一体どういうことですか?」
厄介なことになってきた俺と有梨華さんはあたふたしてその近くで紗奈蘭さんは深いため息をついていた。