変わる日々に紗奈蘭さんは...
俺たちの旅行は終わりいつも通りの日常が戻った。しかし少し変わった所もあった。
「太陽くん。練習終わったんだよね?一緒に帰ろうよ〜。」
水泳部の練習終わりに有梨華さんが学校から少し離れた帰るときに必ず通る公園で待ってくれていた。
「有梨華さんいつもすいません。」
「謝らなくていいよ〜。私が好きでしてることだからね。」
有梨華さんは周りをきょろきょろ見て人がいないことを確認すると俺の手に指を絡ませて恋人繋ぎをする。
「太陽くんの手 私大好き〜。」
「有梨華さん。」
俺は幸せな気持ちで一杯だった。有梨華さんと恋人でいれることが凄く楽しくて嬉しかった。
家の前に来ると俺たちは手を離した。家の中に入ると紗奈蘭さんが出迎えてくれた。
「太陽とお姉ちゃんまた一緒に帰って来たんだ....最近一段と仲良いね。」
「偶然が重なったんだよ。ねー太陽くん。」
「は、はい。そういうことです。」
紗奈蘭さんは目をじとっとさせて俺と有梨華さんを交互に見る。気づかれそうで気づかれない。
俺は顔は無表情で心の中ではドキドキしていた。
「やっぱりね。」
紗奈蘭さんは俺たちと少し距離置くとボソッと呟いた。
その時に俺は確信した。気づかれてしまった!と。
「2人は付き合ってるんでしょ?黙ってても分かるから....」
「そ、そんなことないよっ。ねー太陽くん?」
「は、はい。俺が有梨華さんと付き合える訳ありませんから。」
「なんで...なんで教えてくれなかったの。」
紗奈蘭さんは手をプルプルさせる。そして身体を震わせている。いつもの様子と違うことに気がついた。
「だから..それは...」
有梨華さんは明らかに様子の違う紗奈蘭さんを見て少し焦っているように見えた。
「もういいよっ!お姉ちゃんと太陽なんか知らないっ。好きにしなよっ。」
紗奈蘭さんは和室の隣にある物置に閉じこもった。俺たちは何度も扉を開けようと思ったけど開けてくれなかった。
「紗奈蘭ごめんね。お姉ちゃんが悪かったよ。姉妹だから言えば良かったのに内緒にしちゃって。本当にごめんね。」
「紗奈蘭さん。すいませんでした。」
紗奈蘭さんはやっぱり開けてくれなかった。俺は途方にくれていた。
「お姉ちゃんと2人で話がしたい。」
紗奈蘭さんはそう言うと扉を少し開けた。
有梨華さんは中に入っていく。
俺は1人で立って待っていた。
少し会話が聞こえてきた。
「お姉ちゃん私は寂しい。お姉ちゃんと太陽はカップルになって私はひとりになって寂しい。」
「紗奈蘭は1人じゃないよ。私も太陽くんもいるから1人にはさせないよ。これからもずった一緒だから。ごめんね。付き合ったこと言ってなくて。私怖かったの。1人でも言えばいつか広がっていくと思って....私たちの関係は知れたらダメぁから....」
「もういいよ。私こそ勝手に怒ってごめんね。」
俺は2人が物置から出てくると笑顔で迎えた。
「紗奈蘭さん。俺もすいません。」
「太陽。私もごめん。」
俺たちは仲良く3人で夕食を作った。
「太陽くん。私が料理の作り方教えてあげるー。」
有梨華さんは俺の手を優しくと握って包丁や使い方を教えてくれた。時々耳元で"大好きだよ"と囁くので俺のライフはゼロになっていた。
「2人ともイチャつきすぎ....」
紗奈蘭さんは冷たい目で俺たちを見る。
「えへへ。怒られちゃった〜。」
有梨華さん俺に笑顔を見せる。
俺もそれに釣られて笑っていた。
心の底から幸せだった。
いつまでもこんな日常が当たり前のように続いて欲しいと願っていた。
夕食を食べて風呂に入り終えると布団の中に入って寝る準備をする。
「今日からは太陽くんの布団で寝ようかなー。」
有梨華さんはゴロゴロ俺の元に転がってきて布団の中に乱入する。
足が時々ツンツン当たり身体も少し触れる。
ドキドキが止まらなかった。
「ちょっとは自粛してくれない?」
紗奈蘭さんが冷たい一言を放った。
俺は有梨華さんに少し離れるように促した。
「むーーっ。一緒に寝たかったのにー。」
その意見は同感だが我慢しないといけない。俺たち2人以外に人がいる時は。
「仕方ないですよ。2人っきりの時は寝ましょうね。」
「うんっ。」
有梨華さんが元気よく返事する。
「はぁー。」
紗奈蘭さんは呆れていた。