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乱闘シーンになっているのだろうか?

疑問が残ります・・・

その人は智也君を捕まえようとした男と、智也君の間に割って入ってきました。間に入られて男が苛立った口調で叫びました。


「なんだ、お前は。邪魔すんじゃねえよ」


そう言って、間に入った人のことを突きとばそうとしました。その手を掴んだその人は言いました。


「これは、正当防衛だからな」


そのままその男のことを、投げ飛ばしました。周りの男達が色めき立つのが分かります。


「智也、なんかえらいことになってるな~」

「赤石、なんでこんなところにいるんだよ」

「ん~、たまたまね」

「・・・嘘だ。絶対覗きに来たんだろ」

「それよりさあ、こいつらやっつけていいんでしょ。最近体が鈍っているんだよね。丁度いい運動になりそうなんだけど」

「そんな口きいてる場合か。そっちは頼んだ」


赤石と呼ばれた男の子は、智也君と話しながら智也君を傷つけようとする人たちを、往なしていきます。背中合わせに立って戦う二人は、とても信頼し合っているように見えます。


「きゃあー」


二人の戦いぶりに見とれていたら、突然腕を掴まれました。さっき智也君に殴られていた人です。


「捕まえた~」

「清香ちゃん!」

「よし、こっちに連れて来い」


男の言葉にこちらを見た智也君が声をあげたの。私に突っかかってきた男が指示をだしたら、男は私を引っ張って行こうとしました。


が、その男の肩を叩く人がいます。なんだという顔をした男にその人はニッコリ笑顔を向けました。そして私の腕を掴んでいる男の手首をつかんだの。


「汚い手で清香ちゃんに触らないでくれるかしら」


そう言って男の手を捻じりあげたのよ。男の手が離れてよろけた私を支えてくれる手があったのね。振り向いたら女の子が笑いかけてきたの。


「大丈夫、清香ちゃん」

「友美さん。彩愛あやめさんも。なんで?」

「うふふっ。それはあとでね」


私を捕まえた男は、彩愛ちゃんに関節技を掛けられて悲鳴をあげています。


「なあ~、俺も混ざっていいよな~」

「まだ、駄目ですよ、日吉。まずはあちらから手を出して貰わないと。いくら相手のほうが多勢でもね」

「え~、面倒じゃん。さっさと片を付けちゃおう~ぜ」

「そんなに言うなら、行ってこい。殴られるまで手を出すなよ」


少し離れたところから3人の男の子たちの会話が聞こえてきました。そちらを見たら小柄な少年が背中を押されて乱闘している方に飛び出していきました。


「ああ~、なんだよ。また、仲間なのかよ」


少年に気がついた男がそう言って、彼に殴りかかりました。少年は避けようとしたのですが、頬を拳がかすめました。


「おい。俺は友達に背中を押されただけの部外者なんだぜ。それをいきなり殴ってくるなんて、なにしてくれんだよ」


そういうと、少年は殴った男の相手をしだしたの。その様子はまるで牛若丸と弁慶のようです。少年はひらりひらりと躱しながら、男を誘導して別の男と相打ちさせました。お互いに殴り合う形になった男達は、相手に文句を言っています。


「なにしてんだよ、おめえは!」

「そっちこそ、そんなチビにいいようにされやがってよ~」


少年の背中を押した男の子ともう一人も、いつの間にか乱闘に加わっていました。・・・というより、智也君と赤石君が倒した相手を邪魔にならないように退かしているというか、逃げ出さないように見張っているというか・・・。


私は友美さんに誘導されてその場から、少し離れました。その私を守るように彩愛さんが周囲に気を配っています。


私は智也君のことを見つめていました。そのことに気がついた彩愛さんが言いました。


「大丈夫よ、清香ちゃん。智也は強いんだから。それにあいつらもいることだしね。もうすぐ片が付くわよ」


彩愛さんが言うように相手側でまともに立っているのは、最初に話し掛けてきたあの男だけになりました。智也君がその男の前に立ちました。

帯に挟んでいた裾をおろしたら、「あ~あ」という残念そうな女性たちの声が聞こえました。智也君は軽く身なりを整えています。そうしてから、あの男のことを見ました。


「お前、こんなことしてただで済むと思うなよ」


あの男が言ったけど、どこぞでよく聞く台詞です。


「そちらが先に手を出してきましたよね」


眼鏡をかけたインテリ系イケメンの男の子が、ブリッジの部分に人差し指を当ててクイっと、押し上げながら言いました

だけど、相手はその彼を睨みつけながら言ったのよ。


「おい、だからってこれはやり過ぎだろうがよ。過剰防衛で訴えてやる」

「これだから素人は。このどこが過剰防衛だよ。医者に連れて行っても、綺麗な関節外しと褒めるだろうな。すぐに元通りになるし、そっちの殴られた奴らは自業自得だろ。刃物なんか出してきたんだからさ」

「そうそう。変な後遺症が残るようなことはしてないからな」

「銃刀法違反で捕まるのはそいつらだろ」


眼鏡の彼と一緒にいた、短髪のスポーツマン風の男の子が呆れたようにいい、小柄な少年が同意し、赤石君までいいました。


「まあ、こんな目立つ場所でやってくれたんだ。言い逃れは出来ないと思うんだな」


智也君がそういったら、相手は引きつった笑みを浮かべたのでした。


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