第21話『正義の檻』
ノクタリア中心街の一角に突如として設けられた仮設広場。 ジャスティスフェイスによる大規模な“正義集会”が開催されていた。
正義とは何か。 秩序とは誰のためにあるのか。
ユナイトレッドの演説がスクリーンに映し出される。
ユナイトレッド: 「秩序なき自由は混乱。 混乱の先にあるのは争い。 正義とは、争いを未然に防ぐための“枠組み”である。」
民衆は静かに聞き入っていたが、どこか不安げだった。
◆集会の裏側で
その広場から数ブロック離れた影の路地裏。 グリム、ネビュロス、ヴェルミリオンの三人が壁にもたれ、無言で演説を聞いていた。
グリム: 「……よう言うわ。枠組みって、誰の都合で決められとんねん。」
ネビュロス: 「秩序という名の下に、自我を切り捨てる。 それは人形になる訓練でしかない。」
ヴェルミリオン: 「まぁ、舞台としては派手でいいけどね。 “正義”という仮面の下の顔が、よく見える場所だ。」
彼らは戦うために姿を現したわけではなかった。 ただ、事実をこの目で確かめに来ていた。
◆正義の“同調圧力”
その頃、集会では“再統合意識アンケート”と称して、 市民に同意を強要するような投票が始まっていた。
「あなたは魔王を排除すべきだと思いますか?」 「正義の側につく覚悟はありますか?」
押し黙る者たち。
だが、空気に逆らえず、ボタンが次々と押されていく。
◆魔王、姿を見せる
広場の端。 グリムがふらりと現れる。
兵士たちが即座に警戒態勢をとるが、 彼はただ立ち止まり、空を見上げた。
グリム: 「……選ばされる自由なんて、なんの意味があんねん。」
会場にざわめきが広がる。
ヴェルミリオンが屋根の上から声を投げる。
ヴェルミリオン: 「“正義”に票を入れれば、安心? そりゃ素敵だ。 でもそれって、命令に従うだけの暮らしの始まりだよ。」
ネビュロスはスクリーンを凍らせ、演説を中断させる。
ネビュロス: 「君たちに必要なのは、恐怖ではない。 選ぶという行為を“自分で決める”ことだ。」
◆ジャスティスの動き
ジャッジレッドが即座に現れ、街に警戒網を展開。
ジャッジレッド: 「魔王たちの行動は明確な妨害行為。秩序の敵。 この場で排除対象とする。」
構える兵士たち。 緊張が高まる。
だが、グリムは一歩も引かない。
グリム: 「自分の世界ぐらい、自分で守るわ。 他人に、正しさなんか決められてたまるかいな。」
正義と悪。 民意と圧力。 その境界が、いま崩れようとしていた。
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(第22話へ続く)




