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蒼き臨界のストルジア  作者: 夜神 颯冶
海から来た少女
7/37

                                7        

 

時間がとまったような砂浜で彼女は僕を見つめ、

僕は彼女を見つめ続けた。



彼女はそんな僕を真摯しんしに見つめたままつぶやいた。



『バカなの?』



えっ?



想定外そうていがいの解答に戸惑とまどう。



彼女は半場(はんば)パニックを起こした僕を見つめたまま、

冷たく言った。



『そんな事あるはずがないじゃない。

 バカなの?』



えっ?えっ?えぇ~!?



僕がおぼれた金魚のように口をパクパクさせていると、

彼女はあわれむ様な瞳で僕を見つめ静かに続けた。



『本当は』



僕はすくいをもとめる様に彼女の次の言葉をまった。



『本当は、このポッドはタイムマシーンなの』



そう言ってからふたたび僕の反応はんのうを見るように、

彼女はだまってしまった。



それはまるで僕の理解が追い付くのを待つように

じっと。



映画なんかでは絶滅しかけた未来から、

過去を変えるために未来人がくると言った設定は

よくある。



彼女もそうだと言いたいのだろうか?



彼女はそんな僕の答えが見つかる前につぶやいた。



『私は過去から来たの』



「えっそこ未来じゃなく過去なの!?」



『そう過去・・・  』



・・・



『私は過去から来た、あなたのママよ』



えっ!?えっ!?えっ!?



どういう設定!?



『信じないの?』



「信じる信じないの前に僕の母親は、

 すでに死んでる!?」



そう言ってから彼女の容姿ようしを見てふと気づく。



過去なら母は死ぬ前で母に会う事は可能なのだと。



『そう未来は変えられないけど、

 過去から未来に干渉かんしょうする事は可能なのよ。

 後はあなたが信じるか信じないかだけ』



あまりに母とはかけ離れたこの少女を見て思う。



僕が彼女の言葉を信じれば、

僕は母にもう一度会えるのだと。



「母さんなの・・・  」



僕が彼女の頬に手を伸ばしかけるのを制止するように、

彼女はげた。



『マザコンなの?』



僕は手を伸ばしかけたまま、

彼女のそのセリフに硬直こうちょくする。



えっ!?



彼女はそんな僕をじっと見つめたまま続けた。



『バカでマザコンなの?』



ノォぉぉぉぉぉ──────!?



『嘘よ。 そんな事あるわけないじゃない』



そう言って僕を見つめる無垢むくな瞳。



誰かが言った。



子供は無邪気むじゃきな悪魔だと。



今、僕はその意味を実感し体感する。


 

 


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