新月オウ…静寂の彼方
オマケ(裏設定)
ケルベロスは家族を愛している。
幼少期、両親に愛されず孤独だった。
子供達にだけは寂しい思いはさせないの心に決めている。
2月の水鏡町に吹く風は冷たい空気と
春の温かい空気が混じり走る僕に向かって
吹き付ける。
僕は綺羅々を助ける為にそして世界を変える為に協力者を探しに警察署へと走っていた。
その後を信長と妹の夢莉が追いかけて
信長「急に走り出して一希どうした?」
夢莉「お兄ちゃん信長さんとの修行で、変なとこぶつけた?」
一希「違う!今の僕は,未来から来たんだ!」
信長「やはり打ち所が悪かったか…すま
ん!」
一希「二人共、真面目に聞いてくれ!」
一希「今から2日後の水鏡町に大量の悪魔が攻め込んで来る。」
一希「その悪魔達の中に僕達の母さん|《月詠海里》がいて悪魔になった母さんはこの
町を襲う。」
一希「その時にメフィストが僕達に伝言を残した。」
一希「僕を魔王ルシファーの器にするから
メフィストの住む城に来い、来なければ水鏡町の住人を皆殺しにする。」
一希「そしてメフィストが僕がいた時代の、朝9時に攻め込んで来る。」
一希「僕はそれまでにこの世界を破滅に追い込んだ悪魔達を倒さないといけない。」
一希「まだ他にもあって明日には、賀茂綺羅々が殺される。」
一希「綺羅々も助けると賀茂親子と約束をしたから僕は,頑張らないといけない。」
一希「だから、全ての人達を救う為に、
望大伯父さんに頼んで過去に来た。」
一希「お願い!二人共、僕に力を貸して欲しい!」
僕は,息を切らせ走りながら二人に
向かって伝えた。
すると信長が「なんか良くわからんが、とにかくお主を手伝えば良いのじゃな?」
「わしが力を貸すからには一希、絶対にこの戦には勝て!」
それを僕に言うと僕を追い越して
走って行く。
夢莉は笑顔を僕に向けて
「お兄ちゃんの事は私が守る!」
と言って信長の後を追いかけて行く。
僕は前を走って行く二人に負けない様に
力を込めて走って行く。
「はぁはぁやっと着いた!」と僕は、
息を切らし額に着いた汗を手で拭うと
誰もが一度は、見た事がある、五角形の金色の旭日章が僕達を見下ろしていた。
僕は桜の形に似ている旭日章を見上げながら母から聞いた言葉を思い出す。
「旭日章は、"東天の旭日"とも呼ばれていて
東の空から、かげりのない、清らかな朝日が差し込み闇を照らして悪を断つ。と言われているの。」
「母さんも旭日章の示す様に、正しく悪い奴らを捕まえて一希や夢莉の未来を守るからね!」と言っていた事を思い出していた。
すると僕の頭に不気味な遠吠えが響く、
するとケルベロスが
「その様な事を言う汝の母も、悪となり今では人々を恐怖に染める悪魔と成り果てた。」
「汝もそうならぬと良いな。」
と皮肉を込めながら笑うと
僕の左手が灼熱に燃え盛る
炎の中で焼かれたかの様に痛み
左手の甲に六芒星と古代文字で
ラグナロクと刻まれた。
するとケルベロスは
「汝に新たな我の一部ラグナロクを与えよう。」
「ラグナロクは、悪魔や邪悪なものを見分ける惡眼と対となる力を持つ全ての凶事を切り裂き聖なる光を汝の元に導く。」
「その力を持ってこの試練を乗り越えて見せよ!」と言うと声が聞こえなくなる。
信長と夢莉は呆然と立っている僕を
心配そうに見詰めている。
僕は信長と夢莉にケルベロスから新たな力を貰ったと伝えると左手に精神を集中させる。
すると僕の左手が温かい光に包まれると
黄金に輝く鋭く長い爪が指先から生える。
その爪先が地面に当たると警察署に敷き詰められているアスファルトを裂いて、その隙間から植物が這い出ると、綺麗な花が咲き誇り
とても美しく小さな花畑となる。
信長が「ここで使うのは、もったいない能力じゃな!」と一言僕に声を漏らすと
夢莉も同じ気持ちだと頷いた。
僕はラグナロクを解くと左手から光りが
消えて爪も元の長さに戻る。
警察署の中へと入って行く。
警察署の中は比較的に綺麗で僕の目の前に、ある受付にはサボテンがあり小さい花を
咲かして人々を和ませる。
僕は藤堂さんと志保里ばあちゃんがいる
部署を聞いて置けば良かったと
今更ながらに気付く。
受付の女性警察官に「すみません、月詠志保里さんと藤堂未琴さんの知り合いなの
ですが警察署の見学に来ました!」
それを聞いた受付の女性警察官が
「分かりましたではこちらの書類を書いてください。」と言って
警察施設見学申請書と、同意証明書を
僕に渡す。
僕は、書類を受けとると近くのテーブルに
置き書類を記入しようと、
するがペンがない事に気付き
受付の人に借りると書類に氏名と住所を書き
必要条項を読んで同意証明書と一緒に
受付の女性に提出する。
受付の女性警察官は、僕が書いた
書類の名前を確認すると
「すみません、月詠さんの、ご家族様でしたか!」と
言って僕に敬礼をするので思わず
僕も真似て敬礼をしてしまう。
すると僕の背後から
「おぅ、一希、久し振りだな!」と言って
誰かが背中を叩く。
僕は驚いて振り向くとそこには
藤堂さんがにこやかに僕を見ていた。
藤堂「もう水鏡町での暮らしは慣れたのか?」
一希「藤堂さんお久しぶりです!まぁまぁ、慣れました。」
藤堂「一希、警察官に興味があるのか?」
藤堂「やっぱり海里さんと直人さんの息子だなぁ。」
一希「実は,藤堂さんと志保里さんに協力して欲しい事があります。」
藤堂「まさか、お前水鏡町の七不思議の一つ年を取らない魔女を見に来たのか?」
一希「年を取らない魔女?」
藤堂「お前知らないのか?水鏡町では有名な話しだぞ!」
藤堂「この警察署には何十年経っても全く、歳を取らない魔女が働いているからよ。」
藤堂「てっきり一希も、見に来たのかと思ったぞ。」
一希「もしかしてその魔女が月詠志保里さんですか?」
藤堂「お~正解!フルネームで知っているのか。」
藤堂「悪いが俺は志保里さんと、凄く仲悪いからよ、志保里さんとこまで案内できねーぞ。」
一希「会いたいのは本当ですが、理由が違います。」
藤堂「まぁ何にしても今ちょっと特殊な事件を捜査しねぇといけねぇからまた今度な!」
と言って振り返り外に出ようとするので
僕は過去に藤堂さんに言われた事(仇を見つけたと言え!)を思いだしたので
背中を向けて忙しそうに
出掛けようとする藤堂に向かって
「藤堂さん!仇を見つけた!」と叫ぶ。
すると藤堂さんの動きが止まり
表情が険しくなる。
そしてこちらにゆっくりと向かって来る。
藤堂さんが僕の肩を力強く掴むと
「一希、何故それを知っている!」
と僕に言うと肩を掴む手から激しい憎悪が
ひしひしと伝わって来る。
僕は、藤堂さんにこれから起きる出来事を
全て話して協力をして欲しいと伝えた。
僕の話しを聞いた藤堂さんは
「分かった!一希を手伝うよ。」
「但し二つだけ条件がある」
「必ず勝て!そして絶対に一希、お前は死ぬな!」と言って僕の頭を優しく叩く
僕が幼い頃から藤堂さんには色々と
面倒を見て貰っている。
僕にとってはお兄さんの様な存在だった。
信長は藤堂さんを見ていて首を傾げていた。
その様子を見て夢莉が
「信長さんどうしたの?」と言うと
信長が藤堂さんを見ながら
「あやつの気配が少し知り合いに、似ている気がしてな…」
と夢莉に話すと窓から空に流れる
雲を眺めていた。
藤堂が「それなら俺も覚悟を決めて、通信無線課に行くか。」とため息をしていた。
僕は,「もしかして志保里ばあちゃんが
いる所が通信無線課なの?」
と藤堂さんに聞くと
「ああ、そうだよ、志保里さんは、無線課のオペレーターをやってるよ。」
と答えるとふっと僕の方を向いて
「えっ今、普通に聞き流していたけど一希君は志保里さんのお孫さん?」と僕に尋ねる。
藤堂さんが怯えながら僕に聞くのを不思議だなぁと思いながら、"うん"と頷く。
「そうかぁ…。」とボソッと一言を言うと
背中を丸めながら警察署の別館にある
無線課まで僕達を案内する。
僕は、警察署の別館が全て檜で
建てられていて、檜の匂いが広がり
高級な旅館の様な内装に驚いていた。
別館の入り口につくと下駄箱があり、
ふわふわの柔らかい高級なスリッパに
履き替えると建物の奥に入って行く。
大きな窓から中庭が見えて沢山の花が
咲き乱れ、まるで天国を覗いているかの様な
感覚を覚える。
僕は、藤堂さんのいた本館とは違いすぎて
驚いていた。
藤堂さんが僕の心の声が聞こえたかの様に
「俺がいた本館と違って別館は、綺麗で広いだろ!」
「月詠家の寄付でこの建物が建てられたからな。」
と口を尖らせてふてくされながら僕に話す。
すると信長が
「いつの世も権力と金が物をいうのぉ。」
と笑っていた。
藤堂さんが歩きを止めると
「ほら着いたぞ!」と僕に言うと
インターフォンを鳴らす。
ピンポーンと鳴ると女性の声で
「はい、どなたですか?」
インターフォンから声が聞こえる。
藤堂さんが「特殊犯罪課の藤堂です。」
「月詠志保里巡査部長は、いますか?」
と言うと無線課の扉の鍵が開く音が
聞こえる。
僕達は,無線課の扉を開けて中に入ると
真っ白な大理石で作られた部屋に
高級感の溢れるフワフワしたソファーが
おいてあり天井にはキラキラと光り輝く
シャンデリアがこの部屋を更に引き立たせる
すると女神の様に美しい女性が警察官の制服を着て部屋の一番奥のソファーに細長い脚を優雅に組んで座っていた。
その女性は,モデルの様な体型で胸元が
苦しいのか制服のボタンを二つ外していた。
その女性が笑顔を僕に向けながら
「一希君、良く来たね、ほらそこに座って。」
と指を指すとそこには
沢山のフルーツが盛られたパフェと
バカラクリスタルのグラスに入っている
オレンジジュースがテーブルの上に
三人分おいてあった。
僕はそのテーブルに座ると藤堂さんも
緊張しながらパフェが置いてある
僕の隣に座ろうとするとその女性が
「藤堂さんそれは貴方の為に、用意したものではないわ!」と藤堂さんに釘を指すと
藤堂さんはぶつぶつ言いながら、
座る場所を変えて、信長の隣に腰を落とす。
「二人は私の事を知らないから自己紹介するわね。」
「私の名前は月詠志保里、今は月詠家の当主をしているわ。」
と織田信長と妹の夢莉を見て話す。
志保里「夢莉ちゃんは,私の事が分からないよね。」
志保里「貴方達のおばあちゃんで直人の母親よ。」
夢莉「私達のおばあちゃん?」
志保里「そうよ、夢莉ちゃんは直人に
そっくりね、とっても、可愛いわ。」
一希「志保里ばあちゃんにお願いがあります。」
志保里「良いわよ、協力するわね。」
僕が協力のお願いをする前に答える
志保里さんに驚いた。
僕は思わず「何も聞かずに協力すると
志保里ばあちゃんは言ったけど何で快諾してくれたの?」と聞いた。
すると志保里ばあちゃんは,
「可愛い孫の頼みだからよ。」
「それに望から聞いているから何をすれ
ば良いかも分かってるから安心して。」
「それにしても一希の声が本当に直人と、同じで可愛いわ。」
「でも瞳は海里と同じなのが、ちょっと憎らしいわね。」と少し皮肉を込めて言うと
僕を強く抱き締めた。
甘い花の良い匂いが
志保里ばあちゃんからほのかに香る。
すると信長が
「話しておるところ悪いがお主、本当に志保里か?」
と志保里ばあちゃんに尋ねる。
志保里ばあちゃんが笑って
「やっぱり元星蘭の持ち主である信長様は
気づきますか!」
と言うと幻術が解ける。
頭髪が白く絹糸の様に太陽光に当たると輝き
狐目の何処か不思議な雰囲気の漂う男性が、現れる。
なんと志保里ばあちゃんに変装していたのは日高望大伯父だった。
僕が驚くよりも早くに藤堂さんが
腰を抜かして驚いていた。
藤堂さんの姿を見て冷静になると
僕は,「望大伯父さんお久しぶりです。」と言うと望大伯父さんは、
「一希さんお久しぶりです。」
と言うと僕に怒りながら
「しかし一希さん!今回は変化していたのが私だったから皆さんは無事でしたが悪魔の中には幻術が得意な悪魔もいます。」
「惡眼をしっかり使いこなして悪魔と
対峙してください。」
と厳しく指摘をする。
藤堂さんが「あの~望さん、一つ聞いても、良いですか?」
「志保里先輩は、何処にいるのでしょう
か?」
「一希が言うには志保里先輩の力も、
借りないといけないらしいので…」
と申し訳なさそうに望大伯父さんに尋ねると
「私なら、ずっとここにいるわよ!」
と声が聞こえる方に振り向くと
僕の隣で座っていた。
僕は,「いつからいるの?全然気が付かなかった。」と驚く。
すると信長がパフェを食べながら
「最初に志保里に変化した望が一希の隣に、座ろうとしていた藤堂を止めておったろう。」
「あの時には、既にそこに志保里が座って、おったのだろう。」
と口の回りに白いホイップクリームをつけて僕に話す。
志保里ばあちゃんが驚きながら
「本当に凄いわね!この人。」
と信長に感心していた。
望大伯父さんは険しい顔をしながら
話しだす。
日高 望
「では,これから皆さんに大切な話しがあります。」
日高 望
「私はメフィストの野望を止める為に過去と未来の世界を何度も往き来する事で二つだけ気づいた事があります。」
日高 望
「それは何をしても悪魔メフィストを、倒さない限り魔王ルシファーは、蘇り世界は破滅へと進んで行く事。」
日高望
「そして必ず月詠一希さんが、
魔王ルシファーの器になるという事です。」
一希
「ならメフィスト倒せば良いだけです。
そうすれば魔王も復活しない。」
一希
「僕は必ずメフィストを倒す!」
月詠志保里
「一希君、…それは無理よ。」
一希
「何でですか?今の僕には星蘭もあるし
ケルベロスから新たな力も貰った。」
日高望
「それは、初耳ですね。一希さんどんな力
なのか教えて頂いてもよろしいですか?」
一希
「"ラグナロク"といって様々な凶事を切り裂き聖なる光を僕の方に導くと言う風に、
ケルベロスが言っていました。」
夢莉「何か左手が金色に輝いて爪が当たるとそこには色々な花が咲いてとても綺麗だったよ!ねぇ信長さん。」
信長「うむあれは、じつに見事な光景だったの。」
月詠志保里「それって月詠家に古来伝わる、言い伝えで聞いたけど、天聖の爪じゃない
かしら。」
夢莉
「天聖の爪て何か凄そうな名前だね。」
月詠志保里「そうよ本当に凄いの!言い伝えによれば邪気を聖なる物に変え、死者をも
甦らせると言われていたわ。」
一希「それって死んだ人を生き返らせるという事ですか?」
月詠志保里「実際に見た訳じゃないから、
私からは、何とも言えないわね。」
藤堂
「何かド○○エの武器や能力みたいだな!」
藤堂
「良かったなぁ一希、勇者ぽいぞ今度、一緒に必殺技の名前を考えるか!スーパーラグナロクとか。」
信長「そうじゃな、何かキメ台詞を言えば
技の切れも違うからのぉ。」
信長「ワシは魔王龍爪山とかが良いと思うがな…」
藤堂「信長さんちょっとそれってダサくないすか!一希が可哀想すよ!」
藤堂「信長さんあまり一希で遊んじゃあ
駄目っすよ!」
月詠志保里
「一番ふざけている貴方がそれを言うのね…」
急に場の空気が重くなり、
部屋全体が凍てつく様な冷気が漂い
窓ガラスがガタガタ揺れだす。
望大伯父さんが
「すみません話しを続けて良いですか?」
と志保里ばあちゃんに声をかけると
「ごめん、望、話しを続けて。」
と話すと冷気が消えて行く。
日高望
「私は、悪魔メフィストの野望を止めて
倒す方法を探す為に日高家と月詠家両方に、伝わる伝承を調べていたら、星蘭を使い続けると身体と魂が汚れて悪魔になると言う事が分かりました。」
日高望
「そしてその事を確かめる為に私は
何度も一希さんの未来へと行き、一希さんが悪魔達と戦う度に身体と魂が悪魔に変わっていく姿を何度も見ました。」
日高望
「そしてルシファーの器となり
世界を破滅へと導く者という存在となっていました。」
藤堂「なら星蘭を使わずに悪魔を倒せば、
一希は、悪魔に変わらないし、ルシファーの器にもならないじゃないですか!」
藤堂さんは望大伯父さんにその事を言うと
望大伯父さんが悲しそうに
「実は星蘭は一度でも使用すれば、今後使わなくても徐々に闇の力に染まっていく、呪われた神具なのです。」
「つまりメフィストは適当な悪魔を一希さんと戦わせてルシファーの器になるのをただ、待っていれば良いだけなのです。」
と僕達に悲しい現実を話した。
僕は、絶望を感じながら、望大伯父さんに
「なら僕は、どう頑張っても誰も救えないのですか?」と聞く。
望大伯父さんの淡い緑の瞳を僕達に向けて
語りだす。
日高望
「今までの見てきた未来と同じならですがね…」
日高望
「ただ今回は,今までと違う未来になっています。」
日高望
「未来の一希さんがメフィストの信者によって星蘭の宿る右目を拳銃で撃ち抜かれた事により過去に戻る為には現身の儀を使うしかなくなったと言う事です。」
日高望
「そして一希さんが現身の儀を行った事で、
メフィストは焦りを感じています。」
日高望
「今の時代の星蘭と未来の星蘭が一つになる事によってラグナロクという新たな能力が
ケルベロスに与えられた件。」
日高望「そしてその力が以前に調べていた
魔王ルシファーに唯一傷をつけれるのが
さっき志保里さんが言っていた天聖の爪
なのです。」
一希
「ルシファーは星蘭じゃ倒せないのですか?」
日高望「えぇ、恐らくですが…」
日高望「魔王ルシファーは,全てを呑み込む程の深い闇で出来ているので、闇の力を使う星蘭では歯が立たないでしょう。」
日高望
「今回はメフィストの誤算が生まれ、現身の儀を使って一希さんが未来から過去に来る事で未来の一希さんに宿る星蘭が、過去の星蘭と一つになることで新たな力を持つ星蘭が、生まれたのです。」
藤堂
「すいません、ちょっと分からなくて、つまりどういう事ですか?」
月詠志保里
「現身の儀による特性のお陰で、未来と過去の星蘭が一つになったのよ!」
夢莉
「志保里ばあちゃん、特性て何?」
月詠志保里
「あのね、人間の魂が宿る器の、大きさは人によるけど基本的には魂一つ分、しか入らない様になってるの。」
月詠志保里
「だから現身の儀によって、未来から過去に来た魂は器に入りきらないから、過去と未来の魂を半分ずつ器にいれて残りは器の外に出るから消滅するの。」
月詠志保里
「だから現身の儀を使うと魂が、元の時代に戻った時に魂が半分に欠けるから、寿命が欠けた魂の分だけ縮むのよ。」
月詠志保里
「星蘭も魂と同じ物だから偶然に過去と未来の星蘭が一つになる事で、新たな星蘭が生まれたみたいね。」
日高望
「そして一希さんには申し訳ないのですが、現身の儀を使った事により、一希さんの、
寿命が著しく短くなりそれによって
メフィストは一希さんを、悪魔にする為に
急がなくてはならない!私達にとっては,
メフィストを追い詰める最大の好機なのです。」
それを僕達に伝えると信長が怪訝そうな顔で
「お主は,何故メフィストの事がそこまで分かる?」
「いつも思うが何故、望、お主は何度も時代を往き来出来る?」
「確かにお主の霊力は秤知れぬものがあるが流石に何度もは、無理な筈じゃ」
「本来なら時代の流れに耐えられずに魂が、壊れてしまう。そんな事が出来るのは退魔刀の加護を受けておる星蘭の持ち主だけぞ!」
「だが星蘭は一希が持っておる。」
と望大伯父に尋ねる。
すると望大伯父さんは
「信長様のいう通りどんなに霊力が高くても短期間で時代の往き来は魂が持ちません。」
「そしてその様ではメフィストを倒す事も
一希さん達を手伝う事も出来ません。」
「だから私は月詠家と日高家の本山に行き、力を得る方法を探していました。」
というと今度は志保里ばあちゃんが
「そもそも退魔刀が星蘭だけだと、どうして思うの?」と信長に聞き返す。
それを聞いた信長が
「他にも退魔刀が存在するのか?」と
驚き志保里ばあちゃん達に聞き返す。
望大伯父さんが
「はい存在します。」
「星蘭と対で存在し日高家に伝わる、退魔刀
日菊です。」と言うと
ポケットから刃がない純白の柄を
取り出して精神を集中させて
自分の右目に当てると、そこから
金色の聖なる光を放つ刃が純白の柄に宿る。
望大伯父さんは、それを僕達に見せると
集中を解いてまた純白の柄をポケットに
しまい話しを続ける。
日高望
「私は一希さんの力となる為に、月詠家と日高家の書物を調べていたら退魔刀"日菊"の事が書いてある、かなり古い巻物を見つけました。」
日高望
「そこには退魔刀"星蘭"と対となる
神具、日菊を日高家が生まれた時から
ずっと、日高家の土地を守ってきた、
土地神タマヨノカミが初代日高家当主から
託された、と書いてありました。」
日高望
「私が作った防犯システムにより
今の土地神タマヨノカミがいる霊力ダムには近づけないので私は、霊力ダムが出来る以前に戻りタマヨノカミに会って来ました。」
と言うと過去に戻った時の事を思い出し
ながら続きを話しだす。
◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼
私は、水鏡ダムが建築される前の1999年7月3日に戻ると古の巻物に記されていた,資格の無い者が入ると2度と戻れないと言われている霊峰白狐剣峯の入り口にある白い鳥居の前に立っていた。
白い鳥居の向こうから明らかに他とは違う
霊力を感じていた。
辺りは昼間なのに薄暗く、季節は夏なのに
霊峰から凍える程に冷たく流れてくる風が
全てを拒む様に吹き付ける。
私は,覚悟を決めて白い鳥居をくぐり抜けるとそこには数え切れない程に
埋め尽くされた刀や槍が無数に地面と岩に
突き刺さっている。
そしてその中心に一つの古い甲冑を
身に付けた白骨化した骸が、一振の刀を
抱えたまま座っている。
私は,明らかに違和感があるその光景を見て骸の方に警戒をしながら少し登って行くと
白い狐の絵が描かれている大きな岩を
見つける。
私は古の巻物に書かれていた言葉を霊力を、込めながら岩に向けて唱える。
「我は月と日の一族の者なり、古よりこの地を護りし土地神タマヨノカミよ盟約により我に力を授けよ。」
すると巨大な岩に描かれている白い狐の
絵が動き出して語りかける。
タマヨノカミ
「私の名はタマヨノカミと言う月と日の一族よ久しいな、名は何という?」
日高望「初めまして私の名は、日高望と
言います。」
日高望
「古の巻物によればこの地に、日菊が封印されていると記されておりますがその力を私に授けて下さい。」
タマヨノカミ
「何故故に日菊の力が欲しい?」
日高望
「この世界を、滅ぼそうとする者を、倒す為にどうしても力が必要なのです。」
タマヨノカミ
「ほう、ではその世界を滅しようとする者の名は何と言う?」
日高望
「悪魔メフィストフェレスと言います。」
タマヨノカミ
「メフィストフェレスだと、何と悲しい運命よ…」
タマヨノカミ「月と日の一族、日高望よ、
日菊は確かにこの地に封印されておるが
お主に渡す前に私の試練を受けて貰おう。」
そう言うと岩に描かれているタマヨノカミが岩から飛び出すと白く輝く美しい毛並みが風に揺れる。
金色の瞳を持ち体長15m程の大きさがある身体に似合わない程に機敏に動く。
そして気高く美しい声で咆哮をあげると
タマヨノカミの描かれていた岩がひび割れると地響きをたてて岩が開く、
するとそこから暖かく心地よい風が
吹いてくる。
開いた岩の扉の奥に小さな祭壇があった。
タマヨノカミが横になりながら
長く美しい毛並みの白い尾を祭壇に向けて
「日高望よ、その奥にある記憶の間に行き
星屑の記憶を飲み干し、過去を見てきなさい!」
「そして星蘭と日菊が何故この世に存在するのかを知りなさい。」
「それが私が貴方に与える試練です。」
と私に伝えると静かに眠りにつく
私はタマヨノカミに言われた通りに奥の祭壇にある記憶の間にいくと小さな水溜まりが、そこにはあり岩肌の隙間から光りが差し込み
水溜まりがキラキラと星屑の様に光る。
これが星屑の記憶だろうと思い、私はその
光り輝く水溜まりを、手ですくい口に運び
飲み干す。
すると冷たい水が、喉を通り抜けて、
全身に染み渡ると激しく強い睡魔が
私を襲い、そのまま倒れ込む…
◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁
「おいっ起きろ!こんな所で寝てると盗賊に襲われるぞ!」
私に声をかけて身体を揺さぶる。
視界がぼやけてあまり良く見えない
そして酷い糞便の臭いと何かが腐っている、独特な腐敗臭が混じり私の鼻と肺に粘り付く
私は、咳き込みながら
「ここは何処ですか?」と
目をこすり声の主に尋ねる。
すると「ここは平安京だよ。それより早く、起きてここから離れるぞ!」
声の主がそう言うと私の手を引っ張る。
視界が徐々に鮮明になると、そこには口から血を流して腐っている骸が至る場所放置されていた。
そして私の手を引っ張る者の姿を見ると
小さい黒い翼が背中から生えている
子供だった。
私は黒い翼を見て悪魔だと思い
手を払いのけると黒い翼を持つ子供が驚いて
「安心しろ確かに僕は,鬼や化け物の血を、引いているが人は喰わない!」
「それより今は人間の方が余程に怖い、ここにも直に魂狩りの人間達が襲って来る。」
とつぶらな黄色い瞳を丸くして
私の方に向けて話す。
すると遠くから笛の音と人が争う声が
聴こえる。
私は耳に精神を集中させて声と音がする方に意識を向ける。
「見つけたぞ!久し振りの若い女だゆっくりと楽しんだらこの刀に血を吸わせるか。」
私はその声を聞くと「歩空」と唱え
何者かに襲われている人の方向に飛んで
向かった。
傷だらけの白い甲冑を付けた女性が
不気味に赤く光る刀を持ち簡素な狩衣と烏帽子を付けた3人の、
検非違使に襲われている。
検非違使A
「女の癖に良い具足を付けてるじゃねぇか!」
検非違使A
「ついでに身ぐるみ剥いで売り払うか」
検非違使B
「まぁどっちにしても裸にひんむいて楽しむけどな!」
検非違使C
「お前はやってる最中に女を切り殺すから
一番最後にしろよ!」
検非違使B
「うるせぇーな、どっちにしろよ、殿に言われた通りにこの刀に血を吸わせねぇと
俺達が殺されるから良いじゃねぇか!」
と検非違使達が獣の様に揉めて話していた。
私は,まるで悪魔の様な人間達を見下ろし
ながら「この地に眠る地の精霊達よ邪成る者に裁きを与えよ。」(風礼奏残)と唱えると
竜巻と共に鋭い刃物の様な風が吹き乱れ
検非違使達の方へと吹き付ける。
すると検非違使達の身体に聖なる風の塊に
切り裂かれる。
検非違使達は痛みも感じずにそのまま
眠る様に転がる。
私が、助けた女性は、激しい戦闘で傷付いた
白い甲冑を外し軽く会釈をすると、
その女性から絹糸の様に滑らかな髪が
太陽の日射しが当たり金色に輝き
女性の瞳に天の川の様に星空の粒が映る。
その瞳は見る人を魅了する。
とても人間とは,思えぬ程に美しい女性の姿に私はどこかに見覚えがあると感じ記憶の中を探しているとフッと思い出す。
以前にローマの小さな古美術店に飾られていた作者不明の"暁の女神アウロラ"という絵に描かれている姿とその女性が瓜二つだった。
私が思わず見とれているとその女性が
こちらの方に歩いて近づき
「ご助力は感謝するが、何も命までは、取らなくても良いのでは?」
と自分が襲われていたのに彼らの事を
案じている女性の言葉に驚いていた。
私は少し怒りを感じ
「申し訳ないのですが貴方は、武器も取らずに彼等を、追い払えたのですか?」
と語尾がきつくなる。
するとその女性は,
「追い払わずとも私の力を使えば、姿を消せるのであの人達から逃げれましたよ。」
と私の顔を見詰めながら真剣に話す。
その真剣であどけない女性の顔見ていて
私は,思わず笑ってしまい
「安心してください彼等は、死んでいませんよ。」
「彼等の身に宿る邪気を祓っただけです。」
と検非違使達の方を指差すと彼等は
赤子の様に寝息をたてて穏やかに寝ている。
彼等が生きていると分かり
安堵するとその女性は,
「貴方はとても強く優しい方なのですね…」
「私の名は,アウロラと言います。」
「貴方の名は?」
と優しい笑顔で私に尋ねる。
私は自分の名をアウロラに告げると
後ろの方から
「おーいそこの白髪頭の親父!まだ生きてるか?」と大声が聞こえる。
私は声のする方に意識を向け目を凝らして見ると黄色い瞳を持つ子供が心配そうな表情でこちらに走って向かって来る。
走る勢いが凄く私にぶつかりそうになり
私は、とっさに後ろに下がり躱すと
人間ではない子供が激しく転んで
膝を擦りむいて泣いていた。
私の事を心配して走って来た,悪魔とはいえ敵意のない子供が泣いているのに、
心が痛み、後で妹の雪に渡そうと
思っていた、金平糖が入っている袋を
胸ポケットから取り出して
黒い小さな翼を持つ子供に渡すと
その子は黄色い瞳を潤ませて
泣きじゃくりながら金平糖を口に入れる。
するとその子供が泣き止むと頬を膨らませて
「甘くて美味しい!こんなの食べた事がない。」と黄色い瞳を丸くつぶらにしながら
喜びを表現するかの様に背中の翼を
小さく羽ばたかせ無邪気に私の周りを
走っていた。
その姿を見て私は思わず「可愛い。」と
呟く。
私の呟く声が聞こえたのかアウロラが
笑いながら「良い父親になりそうですね。」
とからかっていた。
私の周りを走り少し疲れたのか
その子供は「親父疲れた、おんぶ!」と
背中にへばりつく。
私は,仕方なくその子供を背負うと
アウロラが「本当の親子みたいですね。」と言うと私の方を見て
「望、先程の助けて頂いた事、感謝いたします。」
「私は,この後友人の所に行かないといけないので失礼します。」
といって純白の羽を広げて空に羽ばたいて
飛んで行った。
私の背中に捕まっている子供がアウロラを見て「あの人も母さんと一緒だ。」
と言うとそのまま、スヤスヤ静かに
寝息をたてて眠ってしまう。
空を見上げると太陽が沈み、紅い夕陽が
射し込み地面を紅く染めて暗闇を誘い出す
準備をしていた。
私は、敵意や邪気を感じない悪魔の子供を
背負いながら、歩いていると不思議な感情が胸に込み上げてくる。
この子の様に悪魔の中には善なる心を持つ者もいるかもしれない、ならば共存も出来るのかも知れないと考えていた。
すると何処からか声が聞こえ語りかける。
「その子供を地面において何処かに行きなさい。」
「さすれば命だけは取りません。」
その言葉と凄まじい圧迫感が私に襲い掛かる
私の事を信頼して静かに寝息をたてている子供を見詰め守らなければいけないと思い、
「貴方がこの子を傷つけるかも知れないのにおいて行く事等、断じて出来ません!」
と相手に言い放つ。
その言葉を聞くと
「そうですか…分かりました。」と言うと
急に凄まじい殺意と共に不気味な
静けさが拡がり視界が暗闇に覆われ
何も見えなくなる。
私は,瞳を閉じて精神を耳に集中させると
地面を駆ける足音と共に獣の様な息遣いが
聞こえる。
私の顔に向けて何か風を切り裂きながら
振り下ろされる。
それを避けると何かが砕ける音が聞こえる。
相手がかなりの強さだと肌で感じこのままだとこの子を守れないと思い
子供を地面において
「大地の神々よ此の地に邪を退ける盾を授けよ」(岩妨法壁)と子供に向けて唱え結界を
張り終えると
私は,抑えていた霊力を解放すると
相手が仕掛けた暗闇の術が吹き飛ばされる。
私は,襲ってきた相手の姿を捉えると
その者は、左目が淡く黄色に光り、右目が
深淵の闇を抱えた瞳を持つ。
顔が凛々しい若い青年だが
身体は獣の様な手足に鋭い爪が生え
漆黒の美しい毛並みが風に吹かれる度に
"ゆらゆら"と靡く。
その者は
「汝は、晴明と同じ陰陽道の使い手か?」
「我等を祓いに来たのだろうが、それは
我が決してさせん!」
と言うと左手に精神を集中させて
霊力を溜めると金色に耀く鋭い爪が生える。
私は,本気を出さねば殺られると思い
印を結びながら
「古より日の血を受け継ぐ我に力を与えよ」
(精霊召還、鐳埽)と唱えると、全身が銀白色に耀き雷を身に纏う。
凄まじい咆哮をあげると激しい稲妻と共に
閃光が拡がり無差別に周囲に降り注ぐ。
相手がその攻撃に怯んでいる内に
精神を両手に集中させ霊力を高めて
「聖なる日を司る神々よ我に邪を祓う力を与えよ」と唱えると
両手に一張りの太陽の様に紅く燃える大弓が
現れる。
心を無心にして弓の弦を引き相手に
燃える矢じりを向けて狙い定める。
相手が鐳埽の攻撃を避けてこちらに
金色に耀く爪を向けて襲い掛かる。
お互いの一撃が身体に当たる瞬間に
「二人共いい加減にしなさい!!」と
声が聞こえると私と相手が吹き飛ばされる。
とっさに受け身を取ると、何が起きたのか
分からず霊力を集中させて気配を探る。
気配を感じる方に目線を向けると
月夜の空をふわりと舞い降りる男が現れる。
その男は、他の貴族の様に派手な狩衣で
はなく闇夜に染まる漆黒の狩衣に
螺鈿細工の様な加工がされているのか
月の明かりに照らされて仄かに光りを放つ。
その男は,穏やかな表情と若い女性の様な
顔とは裏腹に底がわからない異質な
威圧感を醸し出す。
すると私の瞳を全て見透かすかの様に
見詰めると
「えらく長い時を旅をしてきましたね。」
「私の名は安倍晴明と申す者、この界隈の
見廻りを帝に申し付けられております。」
「私の大切な友人が失礼を働き申し訳ありません。」
「彼は、自分の息子が邪悪なる者達に連れ去られたと勘違いをしたみたいです。」
と私に言うと会釈をした。
私は安倍晴明の名を聞いて驚くと直感的に
正直に話した方が良いと思い
自分の名前とここに来た目的を
全てを話した。
安倍晴明は私の話しを一言一句を静かに
聞いていた。
全てを語り終えると少し悩んで安倍晴明は、「私の家で休みながら話しませんか?」と
穏やかに聞く。
するとさっきから私の話し黙って聞いていた
漆黒の毛並みが美しい獣人の青年が
「晴明!こいつは、信用ならん!家に入れるのは反対だ!」
と安倍晴明に詰め寄る。
安倍晴明は獣人の青年に優しく諭す様に
「良いですか、ケルベロス殿、彼は、君の大切な子供を守ってくれていたのですよ。」
「もし望殿が悪人ならば君の子供を盾にしてケルベロス殿の命を奪うと思いますよ。」
「だが彼は鬼の血を引くと分かっていても
子供の身を案じて自分達の術が当たらぬ様に結界を張りました。」
「あえて言うなれば、西洋の鬼は全て甘い物を食すると、永遠の眠りに陥る事を、望殿が知らずにこの子に与えてしまった事ですね。」
と話すと安倍晴明は眠りについている
悪魔の子供の方に近づいて
私が張った結界を軽く触れて解き、
子供のお腹に瞳を閉じて精神を集中させて「槐樹無毒」と唱え
淡く水色に光る手を深い眠りに、ついている
子供に当てると子供のお腹から少し溶けた
金平糖と共に緑色の泡がでで来る。
深い眠りについていた悪魔の子供が
「う~ん。」と言いながら目を覚ます。
私は,知らない事とはいえ悪魔の子供の頭を優しくなでながら「ごめんね。」と言って
抱き締める。
悪魔の子供は黄色いつぶらな瞳を見開き
「親父、どうしたの?苦しい。」
と戸惑っていた。
そしてケルベロスの方を向いて
「本当に申し訳ない!甘い物が悪魔にとって毒になるなんて知らなかったのです。」
と深々と頭を下げる。
安倍晴明は
「ケルベロス殿これでも貴方は、彼の事が信用出来ませんか?」と問い掛ける。
悪魔の子供が
「父さんこの人は,あいつらとは違って良い人だよ!」
「それにセイメイとおんなじだよ。」
「悪い奴らを倒してアウロラを助けたもん。」
「メフィは,望が好きだから、いじめるなら父さんとは口聞かない!」
と父親のケルベロスに詰め寄った。
ケルベロスはメフィの一言にたじろぎ
「晴明とメフィが良い奴だと言うのなら許そう。」
「望!もしお前が俺の大切な家族や友人を、傷つけるようなら命はないと思え!」
と私に告げるとケルベロスは身体の形を変えて獣人の姿から闇夜を覆うような巨大な翼を持つ漆黒の猟犬に変わりメフィを
背中にのせて満月の向こうに飛んで行く。
すると安倍晴明が
「望殿一緒に来て下さい!」と
私に言うとふわりとケルベロスの後を追って飛んで行く。
私も精神を集中させて(歩空)と唱え安倍晴明を追いかけて飛んで行った。
静寂の彼方を三人の人影が流星の様に飛んで行く…
オマケ(裏設定)
安倍晴明が初めて歩空「空を飛ぶ術」を編み出した人物である。
ライト兄弟よりも先に空を支配した人類とも呼べる。




