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新月オウ…代償と罰

オマケ(裏設定)


審理書の中にいるケルベロスは実はお腹が空かない。


だが以前に食べた妻の料理を思いだし物思いにふける時がある。

絶え間なく爆発音が鳴り響くと

建物が揺れて天井から砂ぼこりが落ちる。


 僕の右目が焼けつく様に痛みが走り

 頭がズキズキと痛む

 僕は,目を覚ますと雪ばあちゃんと夢莉が

 泣きながら僕を抱き締めた。


 月詠一希「ここは,何処なの?」


 雪ばあちゃん「ここは、水鏡町警察署の

 地下室だよ。」


 月詠一希「信長や藤堂さん達は何処?」


 夢莉「信長さんは,悪魔との戦いのせいで、魂が傷付いて、目を覚まさないで、ずっと眠ったままなの。」


 雪ばあちゃん「藤堂さんは,水鏡町以外の警察署とずっと連絡をとっている。」


 するとコンコンと扉をノックする

 音が聞こえると藤堂さんが

「一希、良かった目が覚めてもう一週間も、眠ったままだからな。」

 僕は,藤堂さんに今の状況がを聞いた。


 藤堂さんの表情が険しくなる。

 そして重い口を開くと

「おそらくだが人間が生存しているのは、この水鏡町だけの可能性が高い。」


「全国の警察署に連絡をするが応答が、全くない。」


「そして水鏡町の外に様子を見に行った

 探索部隊の連絡が途絶えた。」


「悪魔に襲われて全滅したと思われる。」


「現に探索部隊の、身体の一部が水鏡町に、張られた結界の近くで散乱していた。」


「一番最悪な話しになるが、日高さんが張ってくれた結界が、悪魔達の猛攻により、ひび割れてきた。」


「悪魔達が、この水鏡町に入って来るのも、時間の問題だろう。」


「だが安心しろ一希お前達だけは、この俺が命に代えても必ず護る。」

 そう言うと藤堂さんは,僕達を見詰めて

 優しく僕の頭を撫でる。


 僕は,辺りを見渡して今の状況を理解すると

「藤堂さん!外にいる悪魔達を僕が祓うよ!」と言うと星蘭を呼び出す為に

 精神を右目に集中させて

「星詠みの時より来る神具よ闇の盟約者の月詠一希の命により目覚めよ!」と唱えるが

 星蘭が呼び出せず、右目に激しい痛みが走る。

 すると夢莉が「お兄ちゃん多分、星蘭使えないよ。」と言って鏡を僕に渡すので覗きこむと自分の顔が見える。

 僕の右目が抉れてぽっかりと

 穴が空いていた。


 藤堂さんは、「一希、今お前が生きているのは奇跡だと治療をしてくれた医者が、言っていたよ。」


 僕は,「こんな時に星蘭を使えない僕は,役にたたない、ごめんなさい。」と

 皆に謝ると僕の頬にバチンと音がなると

 痛みが走る。

 雪ばあちゃんが僕を平手で叩き泣きながら「かずちゃんそんな事言わないで!私達は,このまま眼を覚まさずに死んでしまうのかと思い、どれだけ心配したか!」と

 怒っていた。


 夢莉も同じ様に僕を怒ると二人で

 泣いていた。


 藤堂さんは、「一希!力の有無だけが、この世に存在する理由にはならない。」


「まだお前は、子供だから分からないかも、知れないが、子供の笑顔を護るのが、大人の義務なんだよ!」

 そう言うと地上に繋がる階段を

 駆け上がって行く。


 僕は,その言葉を聞いて、何故か両目から、暖かい物が流れる。


 すると「人が心地好く、寝ておるのにうるさいわ!」と怒鳴り声が聞こえる。


 声のする方を見ると腕を組ながら、いつもと

 同じ様に立っている信長が僕を殴ると

「このたわけが、心配させるでない!」と

 一言話すとまたそのまま深い眠りに付く。


 僕は,傷だらけの信長を見て何故か

 涙が溢れ僕が着ていた毛布を信長にかけると

 ベッドに戻り座り込む。


 そして僕は,この状況を打開する為の方法を考えていた。


 いつもなら星蘭の知識が頭の中に流れるが

 今は,何も聞こえない。

 だが何故か僕は,何とかなるという

 自信が沸き上がる。


 しかしいくら考えても打開する方法が

 見付からないとベッドの上で転がっていると

 ズボンのポケットに固い違和感がある。


 僕は,ポケットに手を入れて固い物を

 取り出すと

 小さな月と太陽の装飾が施されている

 手鏡だった。


 僕が以前に(過去の)日高大伯父さんから

 もらった手鏡だ。

 僕は,手鏡を渡された時に言われた言葉を

 思い出した。

 確か過去の日高大伯父さんと手鏡は

 繋がっている。


 日高大伯父さんの助言を貰うために手鏡を

 祈る様に握り締めて念を送り込んだ。


 すると淡く緑色に光り輝き、鏡にぼんやりと

 人影が映る。

 まるでブラウン管テレビの様に、徐々に鏡に

 映る者の姿がはっきり見えてきた。


「アレッ一希お兄ちゃん?」と子供の頃の

 雪ばあちゃんが映る。


 僕は,「ごめん雪さん、そこに望君はいますか?」と聞くと「ちょっと待ってて。」と

 言って子供の頃の雪ばあちゃんが

 鏡から離れる。


 しばらくして狐目の少年が鏡を覗き

「一希さん、お久しぶりですね、その目の怪我はどうしましたか?」と心配そうに話す。僕は、今の状況を全て子供の頃の

 望大伯父さんに伝えた。

 数分間の沈黙が続くと望大伯父さんが

「今の状況を、変えれる方法が一つだけあります。」


「しかしこの方法は、上手くいくか私にも、自信がありません。」


 僕は「他に方法がないのなら何でもやる!」と望(少年期)に伝えた。


 日高望「一希さんの決意は、分かりました。では、これから行う儀式について、説明しますね。」


 日高望「秘術の名前は禁忌呪法(現身うつしみの儀),と伝えられている秘術です。」


 月詠一希「正邪反転の儀も、禁忌呪法と言っていたけど現身の儀も禁忌の理由があるの?」


 日高望「はい、正邪反転の儀は,その呪法、自体も強力で解くことが出来ないのと、儀式を行うのに、非道で残忍な行為をするのが、理由です。」


 日高望「現身の儀は、現在の記憶を保持した

 まま己の魂を過去の自分の肉体に宿らせるという呪法です。」


 日高望「そして、現身の儀もまた儀式を行うのに、大きな代償を払わなければならない、という特性があります。」


 月詠一希「まさかその儀式も誰かを犠牲にするの?だったら出来ない!」


 日高望「一希さん、代償は何にでもありますよ。」


 日高望「ただ呪法の力が強力な程払う、代償も大きくなるのも仕方ない事です。」


 日高望「現身の儀の代償は、過去に戻る魂の持ち主にある寿命を糧にしなければいけないという呪法です。」


 日高望「この呪法を使用すると一希さんの、寿命を代償にしなければいけません!」


 日高望「伝承によれば誰でもこの呪法を使用出来るが、使用した者は、全員若くして、

 亡くなったと言われています。」


 日高望「一希さんは,早くに亡くなったとしても、この呪法を使って未来を、変えたいですか?」


 と僕を試すかの様に問いかける。


 僕は,瞳を閉じて自分に問いかける正直、

 死ぬのは怖い、痛いのも嫌だ、だけど

 一つだけ僕の心の中に強い想いが

 沸き上がる。


 父親《月詠直人》の言葉が浮かぶ

 夢莉《妹》海里《母親》を守れと言われたのに僕は,誰も守れなかった。

 そして気づけた筈なのに同級生の

 賀茂綺羅々さんを救えなかった。


 僕は星蘭があってもなくても

 無力で誰も救えない

 そして失った者達はもう二度戻らないと

 諦めていた。


 けどもしもう一度やり直せれば

 今度は,皆救えるかもしれない。


 だったら自分の命をかけても惜しくはない!


 僕は,答えを見つけると望大伯父さんの

 瞳を真っ直ぐ見詰めて

「僕は,皆を救いたい、だから過去に

 戻って皆を守る!」


「望さん,お願いします。力を僕に貸して下さい!」

 と頭を下げて頼み込む。


「一希さん分かりました。貴方の覚悟を受けとりましたよ、私も全力でお手伝いします。」

 と望大伯父さんは、言うと同い年の少年の

 覚悟を、感じて何故か瞳から涙が落ちる。


 望大伯父さんは,「では,過去に戻る前に一希さん,の時代にいる藤堂さんと賀茂さん達に会って綺羅々さんが、事件に巻き込まれる、当時の事を詳しく聞いて下さい!」


「私はそれまでに、現身の儀にはいる為の

 準備をしてきます。」


「情報が全て集まったら又この手鏡に念じて下さい。」


 そう言うと手鏡から光りが消えて

 元の鏡に戻る。

 全てを聞いていた夢莉と雪ばあちゃんが

 僕の顔を見てただ泣いていた。


 僕は,雪ばあちゃんに「ごめん、ばあちゃん僕行くね!」と笑って言うと地上に繋がる

 階段を上って行った。


 階段を登り切ると地鳴りや破裂音が鳴り響きその度に警察署が揺れる。


 その音で警察署内に避難していた町民達が

 怯えていた。


 僕は沢山の人混みの中を藤堂を探して

 歩いた。


 するとズドーンとまるで

 戦闘機から爆弾を落とされたかの様な音が

 鳴り今までの時よりも激しく建物が揺れる。


 その音に怯えて悲鳴と絶望の声が聞こえて

 来る。


 すると背後から「月詠君!」と大きな声で

 呼ばれ僕は、振り向くと賀茂綺羅々さんの、父親(賀茂頼則武)ともう1人赤い長い髪を、束ね、分厚い眼鏡を掛けた少年が

 立っていた。


 僕は一瞬、賀茂綺羅々の父親《賀茂頼則武》の姿が変わり果て誰か分からなかった。

 その姿は、以前の鬼神の様な気迫がなく

 筋骨隆々な肉体も痩せ細り

 最初にあった時には綺麗に剃られていた

 顎の髭も手入れをされず無造作に

 伸ばされていた。


 綺羅々の父親、賀茂頼則武は弱々しい声で


「一希君、元気になって良かった。」


「一時、意識が無くてこのまま亡くなるのかと心配したよ!」


「綺羅々ちゃんと一希君は、仲が良かったから…」と言うと綺羅々の父親は想い出すと

 泣いていた。


 父親の痛々しい姿を慰めながら、眼鏡を掛けた少年が


「綺羅々は,強い父さんの事が、格好よくて好きだと言っていた。」


「だから今は,無理をしてでも前を向いて、戦おう!」


 と毅然と父親に伝えていた。

 すると眼鏡の少年が僕の方を見て


「初めまして綺羅々の兄の、賀茂太郎です。」


「妹から月詠君の事は聞いていました。」


「妹と仲良くしてくれて、ありがとうございます。」

 と右手を僕に差し出した。


 僕は,あまりに冷静で強く生きている

 綺羅々の兄、賀茂太郎の姿を見てただ圧倒されていた。


 そして差し出された右手に手を添えて握手をすると僕は、賀茂親子に全てを話すと

 強力して欲しいと頭を下げて頼んだ。


 僕に綺羅々の父親、賀茂頼則武が手を添えて


「月詠君,頭を上げて、こっちの方こそお願いしたい。」


「私達は,何をすれば良いかな?」


 と伝えると綺羅々の兄、賀茂太郎が

「ごめんあまりにも唐突で凄い話しなので、少しだけ、確かめても良いかな?」

 と言うと眼鏡を外し僕の瞳を見詰める。


僕は,賀茂太郎さんの顔見て、綺羅々さんにそっくりで少し驚く。


 精神集中すると賀茂太郎の瞳が

 真珠の様に白くなり僕は意識が眠くなる。


 賀茂太郎「では、質問をするね。」


 賀茂太郎「月詠君、僕の名前を聞いた時にどう思った?」


 月詠一希「太郎と聞いてダサいと思った。」


 賀茂太郎「ふ~ん、そうか…、次の質問をするね。」


 賀茂太郎「現身の儀とはどんな呪法かな?」


月詠一希「自分の寿命を使って、過去の時代に戻り過去の自分の肉体に宿る、禁忌呪法です。」


賀茂太郎「なるほど、じゃあ何で自分の寿命を使ってまで過去に戻りたいのかな?」


月詠一希「綺羅々とここにいる人達を守りたいからです。」


賀茂太郎「僕達に協力して欲しいと、言っていたけど現身の儀に払う代償を、僕達も払うの?」


月詠一希「いいえ、代償を払うのは魂が

過去へと戻る人のだけです。」


月詠一希「賀茂さん達に協力を頼んだのは

綺羅々が事件に巻き込まれた時の、時間と場所を特定する為の、情報が欲しいからです。」


賀茂太郎「では,現身の儀は使うのに特別な条件はあるの?」


月詠一希「詳しい事は分かりませんが、誰でも寿命を代償にすれば使える筈です。」


賀茂太郎さんは、質問を終え眼鏡をかけると精神集中を解いた。


 すると僕の意識が鮮明になる。

 僕は賀茂太郎さんの瞳を見詰めた後の

 記憶が何故かなかった。

 その事を悩んでいると賀茂太郎さんは

 笑いながら僕に自分の能力に

 関する事を話す。


「僕の能力は心眼しんがんと言ってね、僕の瞳を見たものは嘘をつけなくなるんだ。」


 と僕に能力の説明をすると、続けて

「月詠君、君の事を疑ってすまない、あまりに荒唐無稽な話しなので何か裏があるのか、と思ったよ。」


「僕達は何でも協力するよ、それと僕も現身の儀を行い過去に戻りたいのだけれど、それは可能なのかい?」


 と言うので僕は,綺羅々さんが悲しむと考えてとっさに、「この呪法は星蘭の持ち主でしか使えない。」と、嘘をついた。


 もし綺羅々のお兄さんが現身の儀を使ったら、寿命を代償として払い、早くに死んでしまう。


 そうなってはまた悲しみを生んでしまう

 そうなる事が僕は嫌だった。


 すると賀茂太郎さんが僕の心の中を見抜いたかの様に「月詠君、きみは本当にお人好しの馬鹿としか言い様がないな。」

 と言ってため息をしていた。


 二人のやり取りを聞いていた綺羅々の

父親、賀茂頼則武は大きく深呼吸をすると

瞳に精気が漲る。

 そして「子供が頑張るのに大人の私が嘆いていては亡くなった妻に怒られる。」と自分の頬を叩き、僕に、綺羅々が事件に

 巻き込まれるまでの事を賀茂親子は自分達が、知っている事を思い出しながら語りだす。


 ◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼



 二階建てのピンクのクマが壁に描かれている近所では有名な家族が住んでいた。


 父親の名は、賀茂頼則武かもよりのりたけで賀茂流柔術師範でありその肉体は、

 50代とは思えない程に鍛え上げられていた。彼の日課は、賀茂流柔術の鍛錬の為に

 朝3時に起きて町内を見廻りながら5キロをジョギングすると、腹筋、スクワット、

 縄跳び、腕立て伏せ、各100回1セットを

 3セット行い、120キロの重いペンチブレスを80回持ち上げて己を鍛え上げる。

 それを朝と夕に行うのが日課だ。

 そして彼は、水鏡町唯一の

 スーパー"おづぬ"の経営者でもある。


 その賀茂頼則武の息子であり綺羅々の兄で

 ある、賀茂太郎は父親と違い基本的には家で常に一人将棋をしていた。


 彼はこの世界が荒れる以前は、数々のゲーム大会を優勝しておりゲーマー達の間では

 神童と呼ばれていた。しかし現在は

 インターネットゲームを出来る人達が

 少なくなり電力不足の理由もあるため最近はチェスと将棋にはまっていた。


 現に彼は水鏡町主催の将棋大会で元プロ棋士の八段と対局して勝った経験がある。

 その時の大会での成績は

 10勝1敗という成績で準優勝だった。

 ちなみにその時の将棋大会優勝者は

 月詠一希達が通う学校の校長

 第42代目安倍晴明だった。

 賀茂太郎は、対局して敗北した時に

 安倍晴明校長に"太郎"て名前覚えやすくて

 良いわと爆笑された事を根に持っていた。


 なので賀茂太郎は次の大会で安倍晴明校長に

 勝つ為に将棋を黙々と指していた。


 そして賀茂頼則武の娘、賀茂綺羅々は

 クラスのムードメーカーでもあり

 家でも家族の中心にいた。

 綺羅々がいると何故かその

 場所が明るくなった。

 賀茂綺羅々は,父親に似ているのか

 運動神経が凄く学校でも常にスポーツの

 成績が上位で水鏡町主催のトライアスロンで準優勝した経験がある。ちなみに優勝したのは綺羅々達の父親、賀茂頼則武である。


 そして世界規模に大流行した疫病サビアの

 感染者に襲われて亡くなった

 賀茂綺羅々達の母親、

 賀茂雫かもしずくの位牌と仏壇がある。

 必ず出掛ける前と食事をする時には

 家族全員で手を合わせて雫と会話をする。


 今の世界で、珍しい程に家族全員が

 支え合って生きている家族だ。


 今日も、雫を含めて4人で夕食を食べていた。


 綺羅々「今日、学校に新しい転校生が来たんだ。」


 頼則武「綺羅々ちゃんと一緒に話していた子だね。」


 綺羅々「うんパパも話しをしていたけど

 月詠一希君ていう名前なの、とっても良い子だよ。」


 頼則武「まぁ良い子だとは,思うけどね…」


 太郎「ふーん、そうなんだこの時期に転校生は珍しいね。」


 太郎「その転校生は,どんな人かな?」


 綺羅々「色々大変な思いしてきたけど、頑張ってる良い子だよ。」


 頼則武「一希君とお付き合いするのは、お父さんは許さないよ!」


 綺羅々「違うから!男の子と話す度にパパはそれを言うよね。」


 太郎「確かにいつも父さん同じ事を言ってるよね。」


 綺羅々「そうだ、パパ、今度の日曜日に星風ドームでやるMiyabiのコンサートに行きたいけど良い?」


 頼則武「それは、難しいよ綺羅々ちゃん。」


 頼則武「その日は,黒日で陰陽道による占いでも良くない事が起こると出てるからパパは反対だな。」


 綺羅々「え~でも友達と約束したもん。それに沢山の友達と行くから大丈夫だよ。」


 それを聞いても父親の頼則武は,難しい顔を

 してなかなか日曜日の外出の許可を出さなかった。


 父親に反対されてがっかりしている

 妹が可哀想だと思い兄の太郎は,


「父さん、僕も綺羅々と一緒にMiyabiのコンサートに行くよ。」


「何かあれば僕の力で綺羅々を守るからさ、父さん許してあげなよ。」


 すると父親の頼則武は、「そうは言ってもな…」とまだ渋い顔をしていた。


 すると綺羅々が父親に業を煮やして怒り


「これから何か危険な事が有ると言われても、私はわからないよ!」


「パパは、その占いでママを守れたの!」


「私達がサビアの感染者に襲われていたの

 を庇ってママは、死んじゃたのも、パパは、分かってたの!」


 そう父親に言うと二階の自分の部屋に

 涙を浮かべて行った。


 悲痛な娘の一言に父、頼則武は、

「そうだよな、あの娘の言うとおりだ…」とうつ向いていた。


 その光景を見て兄の太郎は,何も言えずに

 母の遺影に向かって手を合わせていた。


 重苦しい空気が家の中に漂う。


◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐◐


そして2025年2月16日日曜日の朝、

綺羅々が一階のリビングに降りてくる。


すると朝の日課を終えた父親、頼則武が

綺羅々に可愛いクマのイラストが描かれている袋を手渡すと娘の顔を見詰め


「綺羅々ちゃんこの前は、ごめんね。」


「Miyabiのコンサートに気を付けて行ってらっしゃい。」と娘の綺羅々に伝えた。


すると綺羅々は、「パパ、Miyabiのコンサートに行っても良いの?」と父親に尋ねると


父親の頼則武は、「良いよ、但し門限は、

7時までだからね、友達と楽しんで

来なさい。」と言って娘の頭を優しく撫でるとそのままスーパーおづぬへ出掛けた。


兄の太郎は、二階の階段で二人の会話を

聞いて"綺羅々良かったな"と思いまた自分の部屋に戻って行った。


綺羅々は、喜んで自分の部屋に戻り

コンサートに出掛ける準備をしていた。

ふと、ベッドに置いてある、父親から

貰った可愛いクマのイラストが描かれている

袋を思い出すとベッドに飛び乗り座る。


袋を開けて中身を見ると

そこには綺羅々の好きな色の

白いTシャツと白いスニーカーそして

以前に綺羅々が欲しいと言っていた、

クマの刺繍がしてあるデニムのズボンと

一通の手紙が袋の中に入っていた。


 綺羅々は手紙を開けて見る。

⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯

 私達の宝物の綺羅々へ


 いつも我慢ばかりさせてごめんね。


 こんな世界になり父さんは、

 お母さんを失って綺羅々まで

 失ったらと考えると怖くなり

 綺羅々の大切な時間を

 縛ってしまう。

 駄目な父さんです。


人生は一度きりだからいっぱい

楽しんで来なさい。

そして私達に沢山の土産話を持ってきてね。


 追伸

それとそのプレゼントはこの前の

お詫びです。綺羅々はおしゃれが苦手

だからそれを着て行きなさい。


賀茂頼則武

⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯


その手紙を見て綺羅々は机に座り

"この前はお父さんごめんなさい"と手紙を

書いて父親のトレーニング器具の上に置くと

父親がプレゼントしてくれた服を着て

母親の形見の雫の型のペンダントを着けて

待ち合わせ場所に向かった。



しばらく立つと父親が「ただいまー!」と

仕事から帰ってきた。


太郎は,父親に「父さんお帰りなさい。」

と返事をすると、父親が時計を見て

「5時か、今頃、綺羅々は楽しんでいるかな?」

と聞いてきたので太郎は、

「そうだね確か、Miyabiのコンサートが

始まるのが4時30分だってチラシに書いて、合ったから今頃は、Miyabiの曲を聴いてる頃だろね。」

と父親と談笑していた。


父親の頼則武は「確かMiyabiのコンサートが終わるのが六時と書いて合ったからそれに、合わせて作っておくか!」


と言って台所に向かい夕食の準備に

取りかかる。

兄の太郎は,自分の部屋に戻り

一人将棋を始める。


一階の台所からカレーの匂いがしてくる。

兄の太郎は時計を見ると6時27分だった。


"もう一時間も一人将棋をしていたのか"と

思い一階におりてリビングに行くと、

娘が無事に帰ってくるか心配して

リビングでスクワットをしていた

父親がそこにいた。


頼則武が「ちょっと、心配になって来たから、星風ドームまで行ってくるわ!」

と言って外に出る。


僕は行き違いにならないように

家で待つ事にした。


兄の太郎は,窓から夜空を見上げると血の様に紅く不気味に光る満月を見て

胸騒ぎがしていた。


綺羅々の兄、太郎は、時計を見ると7時35分になっている。

胸騒ぎが止まらないのでリビングに警察署に念のため行ってくると手紙を残して、

外に出ると自転車に乗って走り出す。


賀茂家から警察署までは自転車で10分程の距離であっという間に警察署に着くと綺羅々の兄、太郎は受付に歩いて行く。


夜の8時近いと警察署もほとんど明かりが

なく物静かで少し不気味な気配がした。


受付に着くとそこには誰もいない

太郎は,受付に有る呼び鈴を鳴らした。

すると欠伸をしながらボサボサな頭を

右手で整えて、奥から一人の

男性警察官が来る


「こんな時間に子供一人で何か合ったのか?」


と警察官が太郎に尋ねるので

「妹の綺羅々が星風ドームでやっている、Miyabiのコンサートに行ったきり帰って

来ないのです。」と太郎が伝えると


警察官の表情が変わり険しい顔になる。

「それは、妹さんが心配だね。」


「おじさんの名前は藤堂未琴て言うけど、

きみと妹さんの名前を教えてくれるかな?」


と言うので「僕の名前は賀茂太郎です。妹は賀茂綺羅々と言います。」

と藤堂と名乗る警察官に名前を伝えると

藤堂警察官が

「ありがとうちょっと待っててくれる。」


と言って無線で何処かに連絡をしている。


「こちら警察署管内無線係の志保里です。」

と女性の声が聞こえる。


「こちら水鏡町警察署、特殊班の藤堂巡査長、今、星風ドームに妹が行ったきり帰って来ないと心配している子供がいるが、星風ドームの

警備班に繋げてくれないか?」

と聴こえる。

「了解しましたでは、警備班に繋げます。」

と言うとプツンと無線の音が切れる。

しばらくして

「こちら星風ドーム警備班、紗央莉巡査長です。」


「特殊班、藤堂さんどうしましたか?」


と無線で藤堂さんに聞くと

「そちらに、賀茂綺羅々という女の子が

行っているらしいが、まだコンサートは続いているのか?」

と警備班の紗央莉さんに聞くと「いえもうMiyabiのコンサートは終わり、後片付けも

終了していてこちらには、誰もいません。」


すると藤堂巡査長が「すまないが念のために星風ドーム周辺を見てくれないか?」

と星風ドームの警備班に伝えると


「了解しました。」


「申し訳ないのですが、賀茂綺羅々さんの、特徴を教えて頂けますか?」


すると藤堂巡査長は,"あっいけねぇ"と独り言を言うと太郎の方に来て

「太郎君、綺羅々さんの特徴を教えてくれないか?」


と言うので太郎は,

「赤い髪を縛って、ポニーテールにしていて上は白いTシャツを着て、靴は白いスニーカーで下はデニムのズボンを履いて出かけて

行きました。」


「身長は大体147cm位の目が二重の口元にほくろがあります。」


それを聞いて藤堂巡査長はありがとうと

会釈して無線の相手である警備班に同じ様に伝えていた。

警備班の紗央莉さんが

「了解しました、では、周辺を捜索します。」と言うと無線が切れる。


「じゃあ連絡が来るまでしばらく待ってくれ。」と藤堂巡査長が言うと

太郎に缶のオレンジジュースを渡す。


「ありがとうございます。」と太郎は

藤堂巡査長にお礼を言うとジュースを

ポケットにしまう。


すると警察署の外から「おいっなめてんじゃねーぞ!」と喧騒が聞こえる。

藤堂巡査長は太郎に外に出るなと伝えると

声のする方に向かって走る。


太郎は警察署の一階に有る大きな窓から

藤堂巡査長の様子を見る。


すると茶髪の若い青年と見覚えがある

筋骨隆々の男性が揉めていて藤堂巡査長が

止めていた。


太郎は曇った眼鏡を服で拭き取り掛け直し

もう一度外から三人を見直すと自分の父親が茶髪の若い青年の首を掴み持ち上げそれを、必死で藤堂巡査長が止めている。


太郎は,急いで外に出で言い争っている

場所に走り出す。


頼則武「小僧、俺の娘に何をした!」


茶髪の青年「苦しい、離してくれ…俺は言われただけで何も知らねぇ。」


藤堂巡査長「止めて離しなさい、このままだとその子が死んでしまう。」


頼則武「うるさい!この小僧は俺の娘を何処かに連れてった、と他の奴に聞いた!」


そうすると茶髪の青年が強く首を閉めて

持ち上げられているので泡を吹いて

そのまま意識を失う。


すると頼則武は「寝るな!」と右手て殴りかかるので太郎が全力で止める。


「父さんその人は、意識がないこのままだと死ぬ!」と言うと頼則武は太郎の方を向いて突然に泣き出す。


「星風ドームまで行ったが綺羅々が見付からず探していたら綺羅々がいつも着けていた、雫のペンダントを持っているこいつらの仲間達がいた。」


「そいつらに少し話しを聞いたら雫のペンダントを着けていた女の子を何処かに連れて行かれた。」


「その後に雫のペンダントをこの小僧から貰ったと言っていたから捕まえて今話しを聞こうとしていた。」


「もしも綺羅々に何か合ったら俺は生きていけない。」


と泣きじゃくるので太郎は父親の顔を

平手でたたくと

「親父しっかりしろ!綺羅々に

何かあったかは、まだ分からない、それよりも、少しは冷静になれ!」と言って太郎は

気絶した青年を揺さぶり眼鏡を外して

精神を集中させると"心眼"が発動して瞳が

白くなり青年の瞳を見詰める。


賀茂太郎「きみの名前は何て言うの?」


茶髪の青年「俺は柊木勝哉。」


賀茂太郎「一つ聞くけど勝哉はこの雫のペンダントを何処で手に入れたの?」


柊木勝哉「Miyabiから貰った。」


賀茂太郎「Miyabiが何でこのペンダントを、持っているか知ってる?


柊木勝哉「俺は,Miyabiが好む女の子をMiyabiの所へ連れて行く仕事をしていた。」


柊木勝哉「今回はMiyabiの好みと違う元気で若く純潔だと思われる女の子を連れて来て、欲しいと言われた。」


柊木勝哉「俺は,依頼を受けて、コンサート会場で要望通りの女の子を探していたら、

赤いポニーテールの元気な女の子がいたので声を、かけると最初は警戒されたが、Miyabiの限定バッチを渡すと喜んだ。」


柊木勝哉「そしてその子をMiyabiに会わせるとMiyabiは、女の子に何かを飲まして眠らした。」


柊木勝哉「その時に金目の物だと女の子が、着けていた雫のペンダントを外して俺に渡した。」


賀茂太郎「その女の子がどうなったか知っているか?」


柊木勝哉「知らねぇ。それにあいつの後ろにはヤバい組織がいるから、下手に関わると、俺が殺される。」


柊木勝哉「ただ一つ言えるのが、Miyabiに、連れてかれた女は,皆行方不明になる、それだけだ。」


それを聞いた太郎と頼則武そして藤堂巡査長は,脳裏に最悪のシナリオがよぎる。


藤堂巡査長は「これから検問を張りMiyabiを重要容疑者として捜査します。」

と太郎と頼則武に伝えると走って

警察署に行く。


太郎の心眼が解けた柊木が放心状態で

座っている。


そこに鬼神の様に血管を全身に浮かベ

憤怒の形相で柊木の胸ぐらを掴む父親の

頼則武が「もしも娘が無事に帰って来なければ貴様に地獄を見せてやる。」と睨み付ける


柊木は,その凄まじい気迫で全身に恐怖が、襲い意識がなくなると尿失禁をして気絶する。


太郎は怒りと不安に包まれている父親を

警察署に連れて行くと藤堂巡査長とは

別の警察官が柊木勝哉に手錠をかけて

運んで行った。


それから警察官が総動員し夜通しで捜索したが妹の綺羅々が見付からずにいた……


◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼


賀茂親子が知っている事を全て話し終える。


僕は話しを聞いていて胸が苦しくなる。


するとまた激しい音と共に警察署が揺れる。


僕は賀茂親子にお礼を言って藤堂さんを

探そうとすると賀茂太郎さんに

呼び止められる。

「僕達は過去に戻れないけど、妹を助ける為に力になりたい!」


「だから過去に戻ったら僕達にこの言葉を、言ってくれないか。」


「あの時の約束を守りに来た。」


「そう伝えてくれれば必ず僕達は、手を貸すから!」

そう言うと父親の賀茂頼則武が驚いて「それは、絶対駄目だその言葉だけは…」と何かを言おうとしている、父親の口を塞いで

賀茂太郎は僕に頭を下げる。


僕も二人に頭を下げて別れると藤堂さんを

探した。


警察署の中に避難した人達が沢山いてなかなか見付からずにいた。


僕は片目しか見えないのでキョロキョロと視界を補う為に辺りを見渡すと

ドンと誰かにぶつかる。


甘い花の優しい香りがする。


僕がしりもちを付くと「大丈夫?」と海の様に透き通った青い瞳を持つ女性が転んだ僕に手を差し出す。


僕は女性の手を掴むと立ち上がる。

その女性は、無表情だが目鼻立ちが整い

肌が決め細やかで透き通るような白さ持つ

その姿は、とても美しくまるで、

ギリシャ神話に出てくる

アフロディーテという女神のようでした。


その女神は泡から生まれたと言われている。

その女性もアフロディーテと同じで

何処か危険で壊れそうな儚さが見られた。


そして何故か僕はその女性の事を

懐かしく感じる。

するとその女性が僕の顔見ると

「もしかして一希君?」

と僕の名前を言うので頷くと

「ほら貴方のおばあちゃんの月詠志保里よ。」


「直人が、一度しか家に連れて来ないから、覚えてないか。」

その事を言われてぼんやりと思い出す。


僕は幼い頃に一度だけ父さん|《月詠直人》に連れられてこの女性に会った事がある。

だが外見がとても65歳には見えない

父親と同じ位の30代に見えた。


志保里「そうか、もうこんなに大きくなったんだね…」


志保里「声が直人とそっくりね。」


志保里「でも瞳が海里と同じなのが悲しいわ。」


そう言うと後ろに振り向いて警察署の

外に出る。


僕は,今の外が危険だと志保里ばあちゃんの方に走って行くと悪魔が警察署の周りを

囲んでいた。


月詠志保里は怒りに震えながら

「貴方達、悪魔は、私の大切な人達を全部奪う!」


「私の息子も孫もそして私の愛する人まで、貴方達は奪う!」


「私に残されているのは、もう一希しかいない!」


「私は悪魔のお前達を全て滅する。」


そう言うと志保里ばあちゃんの身体が、深い青色に光出す。

志保里ばあちゃんが瞳を閉じて精神を

集中させる。そして

「古の神々よ月の血を引く我に星の力を授けよ。」(月氷獄鬼げっぴょうごうき)と

唱えると凄まじい冷気で辺り一面が凍り付き悪魔達が全て物を言わぬ

氷像となる。


そして複雑な印を結ぶと地面に幾何学的な

紋様が刻まれる。

するとそこから巨大な氷の鬼が現れる。

志保里は「その邪為るものを食らい尽くせ。」と氷の鬼に命じると凍った悪魔達を

巨大な口を開けてパキパキと音を立てて貪る氷漬けの悪魔達はなす術もなく

自分の食べられる順番を待つだけだった。


志保里ばあちゃんの圧倒的な力に

他の悪魔達は怯えて逃げて行く。


すると逃げた悪魔達に黒い稲妻が落ちて

全てを焼き払う。そして頭上から

凄まじい重圧と共に一人の空を黒く染める程の大きさを持つ翼を広げて、

まるでルビーの様な紅い目を持つ

悪魔が空から降りて来る。


僕はその悪魔に見覚えが合った。

悪魔は僕の方に向くと優しい声で


「一希、元気だった?」


「お母さんの海里よ。」


「しばらく見ない間に一希も大きくなったんだね。」と僕に語りかける。


すると志保里ばあちゃんが僕の前に立つと

海里と名乗る悪魔に

「お前はもう一希の母親では、ない!」


「何で直人を殺した悪魔になった!」


「どうして娘の夢莉を手にかけた、悪魔の手先になった!」


「何故私の大切な望をメフィストに捧げた!」


僕は,その事を聞いて頭の中が真っ白になる。すると悪魔となった海里が


「確かに私の大切な人を悪魔に奪われた。」


「だけどルシファー様を蘇らせれば、愛おしい直人や夢莉も蘇り、永遠にこの世界で楽しく生きられる。」


「現にメフィスト様の城で私は、直人と二人で暮らしているわ。」


「私は、子供達を我が家に迎えに来ただけなのよ!」


「それなのに望は、私の幸せを壊して、

メフィスト様の城まで来ると私を人間に

戻そうと強聖水を無理矢理に飲ませよう

とした。」


「だから切り裂いてあげたの、でも安心して一瞬だったから痛みも感じなかった筈よ。」


そう言うと海里は手に持っていた何かの塊を志保里の足元にめがけて転がす。


その塊はゴロゴロと地面を転がり

志保里ばあちゃんの足元で止まると

望大伯父さんの変わり果てた首だった。


志保里ばあちゃんは、変わり果てた望大伯父さんの首を優しく抱き締めると

「炎の精霊達に命ずるこの哀れな魂を清めたまえ」と言うと望の首に、暖かい光が包み込むと金色の炎に包まれる。そのまま灰となり

天へと帰って行く…


志保里ばあちゃんは,悪魔となった海里を、氷の様な冷たく青い瞳で睨み付けると

精神を、指先に集中させながら

「闇に飲まれた亡者よ古の神々による天罰を与える。」と言うと激しい氷の稲妻が落ちる

そのまま(氷解硬結ひょうかいこうけつ)と唱えると悪魔の海里の足元から凍りついていく。


すると悪魔となった海里が不敵な笑みを

浮かべながら紙の依り代を放り投げて

「闇夜に落ちる星屑よその身を捧げ我を護れ!」と言い(蘯輪射擊とうりんしゃげき)と唱えると海里を襲う魂まで凍り付く冷気が志保里ばあちゃんの方へと跳ね返り

そのまま氷像となる。


凍り漬けになった志保里ばあちゃんを嘲笑うと拳を振り下ろし氷像を粉々に砕いた。


僕は,悲鳴にも近い声で悪魔海里に向かい


「母さん何で皆の命を、奪い傷付けると?」


「母さん僕に言ったよね、命は美しくとても尊い物だと。」


「お前は,母さんじゃあない偽者だ!」


「母さんだったら僕達を傷付ける様な事は、しない!」


「母さんだったら人を無闇に傷付ける事は、しない!」


「どうして父さんを殺した悪魔になったの?」と悲痛な声で叫ぶ。


僕の眼から涙と絶望が溢れて来る。

そして悪魔海里は,何も出来ない

僕に向かって鋭い爪を振り下ろす。


すると僕の背後から液体が入った

小瓶が飛んで悪魔の海里にかかる。


その液体に触れると硫酸をかけた様に

肉の焼き焦げる様な匂いと共に悪魔特有の

腐敗した臭いが薄れていく

あまりの苦しみで悪魔の海里は獣の様に

咆哮をあげる。


僕は,小瓶が飛んで来た方向をみると

妹の夢莉が息を切らしてそこにいた。


「ママ、お願いもう誰も傷つけないで

優しいママに戻って!」


と強聖水を母親の海里に向かって投げた

夢莉が祈る様に叫ぶ。


僕達の声を聞いた悪魔海里が

急に苦しみ出して地面に倒れる。

「カズキ、ゴメンネ、オネガイ、ワタシヲ、コロシテ、モウ、オサエキレナイ。」


とかすれた声で僕達に話す。


僕は,悲鳴なのか祈りなのかわからない想いで声をあげる。


「お母さんお願い元に戻って!母さんを殺すなんて僕には出来ない!」


と悪魔となった海里にすがり付いて

泣きじゃくる。

すると海里は,悪魔に変わった手で夢莉の頭を撫でながら「ユウリ、ダメナ、オカアサンデ、ゴメンネ!」と紅い瞳から涙が溢れて

大地を濡らす。僕達は,母が自我を取り戻すのかも知れないと声をかけ続ける。

また空から不気味な雷鳴と共に声が

聞こえて来る。

「感動的な場面だけど私的には、面白くない。」


「やっぱりもっと絶望のスパイスを足さないと味気がないな。」


急に辺りが暗くなり大気が激しく揺れる。


ゆっくりと漆黒の翼を羽ばたかせこちらに

向かって来る。

また新しい悪魔が僕に語りかける。


「やぁ私の名前は,蝿川陽治はえかわようじそして欲望の悪魔ベルゼブブでもある。」

その姿を見た夢莉が全身が恐怖で震え

その場に座り込む。


僕は,夢莉の顔を見ると

瞳が絶望と恐怖に染まり顔色が

青ざめていた。


悪魔の蝿川陽治は,その様子をみていて不気味に薄ら笑いを浮かべると僕達に向かって


「夢莉ちゃんが怯えるのも仕方がないよ。」


「だって夢莉ちゃんの目の前で、君達のお母さんを何度も犯して美味しく味わったからね。」


「君達のお母さんは,私が犯してきたどの女よりも美しくそして強くもっとも汚れた最高の女性だよ。」


それを言うと強聖水を浴びて自我を取り戻しかけている母親の海里の身体を起こして

唇に口付けをする。


すると蝿川陽治の姿が僕達の

父親月詠直人の姿に変わり母親に優しく耳元で

「海里,僕達の子供達は,星蘭に取り憑かれてもう元には戻らない!」


「また僕達の家で二人だけで永遠に愛し合おう。」と囁くと悪魔の海里に


「闇の風よこの者を我等の望む場所に誘え!」(妖魔風唱デビルゲート)と唱えると凄まじい稲光と共に空間が歪み、そこから

紫色の竜巻が現れ、僕達の母親を飲み込む。


僕は竜巻から母親の海里を取り返そうと、

手を掴もうとするが蝿川陽治が

僕の手を蹴飛ばしてそれを防ぐと僕の髪を

つかんで嘲笑い

「月詠一希、ママが恋しいのは分かるが人の恋路は邪魔をしてはいけないなぁ。」と

言い星蘭を使えない僕の首を右手で締めて

生臭い息を僕に吹き掛けて笑いながら

「このままメフィスト様にこの小僧を連れて行けば、私に褒美と更なる力を授けて貰える。」と喜んでいた。

すると一発の銃声が鳴り響き

蝿川陽治の右手に銃弾が当たると

右手が吹き飛び黒い灰となって消えていく。

蝿川陽治は,「何故だ、人間の作った、拳銃ごときでは私に傷一つ、つけれない筈なのに!」

「私の身体に拳銃を打つ愚か者は、何処の誰だ?」と銃弾が飛んで来た方向を睨み付けるとそこには藤堂さんが、拳銃を構え立っていた。


僕は,蝿川陽治に首を捕まれていたが

藤堂さんがその手を吹き飛ばしてくれた

おかげで蝿川陽治から離れて距離をとった。

僕は藤堂さんにどうして拳銃が通用したのかを聞くと藤堂さんは

「最近力に目覚めてな!強く感情を込めると拳銃の威力が強くなる。まぁ警官らしい能力かな。」と言って

,僕の無事を確認すると悪魔の方を

睨み付けて


「蝿川陽治、貴様は俺の顔を覚えているか?」と憎しみと憎悪を向けて話す。


蝿川は「あぁ覚えているよ、君の母親の伊吹もいい女だったよ、身体の相性も最高だったしね。」と道化の様におどけて話す。


藤堂さんは怒りが込み上げて

唇を噛み締めるとそこから血が滲む。


「まぁ何にしても皆死ぬから良いかな。」

と言うと蝿川陽治が力を解放すると黒い渦が身体を包むと姿が禍々しく変わっていく。

胴体から肉を引き裂く音が聞こえる。

とそこから顔が生えて三つに分かれる。

その顔は正面は笑顔、左は憤怒の形相、

右は悲壮に満ちた表情をしていた。


更に胴体の左右から黒い液体がグニュグニュと不気味な音をたてて滲み出ると

六本の腕の形になる。


その姿はヒンドゥー教の鬼神、阿修羅の姿に似ていたが明らかに邪悪な者だと分かる。


姿が変わると首元に複数の生首を首飾りの

様に付けている。


藤堂さんが生首の一つに見覚えが合った

自分の母親の藤堂伊吹の顔がそこにあった。


藤堂さんの表情が怒りや憎悪よりも

深く黒い闇に染まっていく…


その姿に変わった蝿川陽治は

「久しぶりに本来の姿になったよ、この姿は

欲望の悪魔ベルゼブブの本来の姿さ。」


そして藤堂さんを挑発するように、

生首の首飾りの一つの藤堂さんの

母親伊吹の頬を長い舌で舐めると

伊吹の表情が変わり涙を流していた。


藤堂さんは大声で「蝿川、止めろ!」と拳銃を構えて引き金を引くと銃声と共に銃弾が、飛び蝿川にめがけて飛んでいく。


するとベルゼブブの左側の憤怒の表情を持つ顔が藤堂さんが放った銃弾を食べると

ベルゼブブの身体が大きくなる。


ベルゼブブは,藤堂さんが撃った玉を、

食べ終わると「いやぁ実に美味しい怒りの、こもった攻撃だ!」と喜んでいた。


藤堂さんは更に拳銃を連射すると

またベルゼブブの憤怒の顔が全て食べる。

食べ終わると凄まじい妖気が放たれると

アスファルトの地面が粉々に割れる。


するとベルゼブブの左側の腕が

細長く伸びて黒い刃を光らせる刀となる。


「楽しかったよ未琴君、私が伊吹の元へ送ってあげるよ!」と藤堂さんに

黒い刃が襲いかかる。

僕は,藤堂さんの方へ走るが、

間に合わない。


もうダメだと諦めた時、凄い速さで近付き

ベルゼブブの黒い刃の軌道を素手で反らす。


軌道を、ずらされた黒い刃が砕けた、

アスファルトに落ちると、スパッと地面が、豆腐の様に真っ二つになる。


「間に合って、良かった!」と

聞こえ声のする方を見ると

綺羅々の兄"賀茂太郎"と父親"賀茂頼則武"の姿が見えた。


ベルゼブブが自分の攻撃を防がれて驚くと

右側の腕が槍と斧に変わる。

「たかが一回攻撃を、かわした所で喜ぶな!」と叫ぶと今度は両手の武器で三人に激しく鋭い攻撃を与える。

すると賀茂太郎の肉体が白く光ると凄い速さで藤堂さんをベルゼブブから離す。


全ての攻撃が賀茂頼則武に降り注ぐと

まるで水が流れる様な手の動きで

全ての残擊を反らすと深く腰を

落として両手の拳に気を溜めると

賀茂頼則武は,拳に溜めた気を

ベルゼブブの憤怒の顔に放つ(賀茂流柔術"破甲はこう"水蛇みずち)頼則武の一撃でベルゼブブの顔が蛇にかじられた様に

抉れる。ベルゼブブの凄まじい悲鳴が

響くと警察署のガラスが割れる。


悪魔ベルゼブブは,賀茂頼則武に

顔を抉られて怒りに震え


「貴様、良くも私の顔に傷をつけたな!」


「この罪は万死に値する!」

と言うと禍々しい風がベルゼブブに

集まっていく。

賀茂頼則武は静かにベルゼブブの攻撃に

備えて構えていた。

すると

「ベルゼブブ!メフィスト様の命令です。」


「今すぐ攻撃を止めなさい!」

と声がすると黒い霧が集まり人の形になる。


瞳孔が細長くまるで猫の様な緑色の瞳を持つ女性が現れる。

その女性は不気味なほどに静かに話し出す。

「月詠一希君、初めまして、私の名前は、余川仁美よかわひとみ、本来の名は疫病の悪魔ネルガルです。」


「メフィスト様の伝言を預かって来まし

た。」


「月詠一希君、明日の朝9時にメフィスト様があなたを迎えに来ます。」


「メフィスト様の望みを叶えてくれれば

ここに住む人達の命だけは、保証します。」


「断ればメフィスト様が住民を皆殺しにしてそのままあなたをルシファー様の器にします。」


「では,明日の9時を楽しみにしています。」と伝え終えると

ベルゼブブとネルガルの周囲に

黒い霧が集まり出す。


怒りが抑えられないベルゼブブが

「月詠一希!貴様が断れば俺は、そこにいる男を、ぶっ殺す事が出来る絶対に断れ!」

と言い残して黒い霧に包まれた悪魔二人は

消えていく…


僕達は戦いが終わりほっとすると僕は氷像となり砕かれた月詠志保里の方へと歩いて行く

すると砕かれた氷像の中には紙で作られた

依り代がバラバラになって落ちていた。


すると志保里ばあちゃんが警察署の中から

歩いてくる。

僕は無事で生きていた志保里ばあちゃんの方へと走って抱き付く。

「あらあら一希は、直人と同じで甘えん坊さんね。」と言って僕を抱き締める。


僕は志保里ばあちゃんにどうやって

助かったのかを聞くと

「端から全力で戦っていないわよ。」


「計画通りに警察署内で依り代を使って

戦っていただけ。」と

笑っていた。

僕は、じゃあ望大伯父さんも

生きてるかを聞くと


「えぇ、生きてるわ、あんな小者に望が殺られる訳ないじゃない!」


「ただ望に言われていたのが、依り代で作った自分の生首をバレない様に始末して欲しい、と言われたから下手な芝居をうって、

燃やしたの。」


その事を僕に話すと志保里ばあちゃんは

望大伯父さんの計画を話すから賀茂親子と

藤堂さんそして雪ばあちゃんと夢莉と信長を連れてきて欲しいと言うので

皆を呼んでくる。


月詠志保里「今から望の計画を、皆さんに

お話します。」


月詠志保里「今回、土地神に使われた、禁忌呪法が月詠家と日高家しか、知らない{正邪反転の儀}を行われた事で望と私は、身内に悪魔と繋がる者がいると考えました。」


月詠志保里「私は,水鏡町の中を望は悪魔の本拠地"東京都"を調べる事にしたの。」


月詠志保里「望は,東京都の悪魔の気配が、強い渋谷区の周辺を調べていたら、亡くなった筈の海里を見付ける。」


月詠志保里「そこで望は,海里の事を調べていると海里の周辺で犯罪者が、不自然な亡くなりかたをしている事が分かると、悪魔になっている可能性があると考えた。」


月詠志保里「望は,以前に悪魔になった者を元の人間に戻した事がある事を思い出して

海里を、浄めて元の人間に戻そうと考えた。」


月詠志保里「だが調べていくともう、海里は

メフィストの思惑通りに悪魔の誘惑に負けて深い闇に飲まれた。」


一希「メフィストの思惑て何?」


月詠志保里「魔王ルシファーを復活させる為には、強靭な肉体と闇に染まった魂が必要なのです。」


月詠志保里「メフィストは、海里を一希の魂を闇に染める起爆剤に使えると、考えたみたい。」


一希「何で母さんを悪魔にすると僕が闇に染まるの?」


夢莉「それはお兄ちゃん何となくわからない?」


信長「お主は,馬鹿か?考えてみれば誰でも分かるぞ!」


一希「えっごめん、わかんない。」


信長「一希、お主は、星蘭のせいもあるが感情的になりやすい傾向がある。」


信長「故にもしお主の母君が悪魔にされて他の誰かを傷付けていたら、間違いなく止めるだろう!」


一希「当たり前だろ!母さんが、罪を重ねるのは防ぎたいに決まってるだろう。」


信長「では,もしお主の母君を止める事が、出来ずそれでも悪事を働き続ければお主は、母君をどうする?」


一希「本来の悪魔なら星蘭を使って払うけど…母さんだったら、どうすれば良いかわからない。」


信長「つまり母君の凶行を見過ごす事しか、お主には出来ぬと言うことじゃ。」


信長「人は一度越えては行けない境を越えるとその次も簡単に越える。」


信長「それを続けて行けば必然的にお主は、闇に染まる。」


一希「でももし母さんが人を傷付けるのを、止めてくれたらそうならないよ。」


夢莉「その時は多分メフィストはママを

お兄ちゃんの目の前で殺すと思う。」


夢莉「そうすればすぐ星蘭に飲まれて、多分メフィストの思い通りになると思う…」


その事を言われて僕は,納得する。


月詠志保里「ごめん話しを戻しても良い?」


月詠志保里「とにかく一希を魔王ルシファーの器にする為には、身も心も闇に染めないといけないの。」


月詠志保里「それでここからが本題で明日の9時までには時間がある。」


月詠志保里「それまでに二人の悪魔達の情報を出来るだけ集めて、過去に戻りその悪魔を払う事が全てを救う唯一の方法なの。」


賀茂頼則武「その二人の悪魔とは?」


月詠志保里「疫病の悪魔ネルガルの余川仁美と欲望の悪魔ベルゼブブ蝿川陽治よ。」


賀茂太郎「何でその二人を払う事が世界を

救える方法なのですか?」


月詠志保里「それは,世界にサビアを撒いたのは疫病の悪魔ネルガル、そして世界が暴力と犯罪で荒れている原因は世界を牛耳るマフィア"DES"のボスで人を凶暴にするウイルスを撒いている蝿川陽治だからよ。」


賀茂頼則武「サビアを撒いたのは疫病の悪魔ネルガルなのですか?」


月詠志保里「えぇそうよ、この二人の悪魔が事を起こす前に払う事ができれば全ての不幸がなかった事になる。」


雪ばあちゃん「志保里さん一つ聞きたいのどうしてもこの水鏡町のここにいる人達にその話しをするの?」


雪ばあちゃん「もしかしたらこの中に悪魔と手を組んでいる人がいるかも知れない。」


雪ばあちゃん「それにそんな悪魔達の事を、どうやって調べるの?望お兄ちゃんがいたのにきっと何も分からなかったから、手を打てないでいるのでしょ。」


月詠志保里「流石は望の妹ね、ほぼ読み通りだけど少しだけ違うわ!」


月詠志保里「それはここにいる人達は全員、悪魔達がこの世界を破滅に追い込んだ最初の場所と関わりがあるの!」


一希「えぇ!!そうなの?」


月詠志保里「望が何度も過去に戻り調べていたけどどうしても悪魔達が行われたと思う、事件の一番最初の場所と時間が分からなかったらしいの。」


月詠志保里「そこで望は,日高家のもっとも得意とされる全ての始まりが分かる方術、

星詠みを使い、お告げを聞くとここにいる、人達の、名前が出てきてその人達に導かれ、全てが上手くいくと出たらしいの。」


月詠志保里「ただ一人だけここにいない人、がいるけどね。」


賀茂太郎「それは,誰ですか?」


月詠志保里「それは賀茂さん達が一番知っている人よ!」


賀茂太郎「まさか妹の綺羅々ですか?」


月詠志保里「えぇ、そうよ!」


賀茂頼則武「娘はもうこの世にいない…」


月詠志保里「だからそれを全て救うのが望と立てた計画なの!」


月詠志保里「一希君,過去の望に現身の儀を行うと言われたでしょ!」


月詠志保里「まず私達は,一希君が無事に、綺羅々ちゃんを救うまで一希の肉体を守るのが最初の作戦の要よ。」


一希「僕は,何をすれば良いの?」


月詠志保里「貴方は,綺羅々ちゃんを救う為に過去の私達を説得して協力をして、貰いなさい!」


一希「僕と信長だけじゃ駄目なの?」


月詠志保里「それが難しいから協力を求めなさいと言ってるの!」


月詠志保里「綺羅々ちゃんがさらわれた日は悪魔がもっとも活発になり力も強くなる黒日なのよ!」


月詠志保里「とにかく言うことをちゃんと、聞いて綺羅々ちゃんを救って来なさい!」


一希「じゃあ志保里ばあちゃんが僕に協力してくれる様にするにはどうすれば良い?」


月詠志保里「私はそのまま言えば一希君の力に必ずなるわ!」


雪ばあちゃん「私もかずちゃんが言えば

何でも力になるよ。」


夢莉「雪ばあちゃん達と一緒で手伝うよ!」


藤堂「俺は"仇を見付けた"と言えば多分力を貸す筈だ。」


賀茂太郎「僕達はさっきも言った通り"約束を守りに来た"と言えば絶対力になると思うよ。」


賀茂頼則武「私はそれを言われたら正直協力を断るかも知れない…」


一希「えぇじゃあどうすれば…」


賀茂太郎「大丈夫、過去の僕が責任を持って協力させるから!」


信長「ワシはパンケーキを」


一希「あっ大丈夫無理矢理手伝わせるから!」


すると信長が僕の頭を思い切り叩く。

何故か懐かしくて思わず涙が出る。


信長は泣いている僕に驚き「男の癖に泣くでない!」と怒る。


話しが何となくまとまると僕のポケットに

ある手鏡が光り出した。


過去の望大伯父さんが鏡に映ると

「私の方は準備が出来ました。」


「一希さんも準備が出来ましたか?」


僕は過去の望大伯父さんの問い掛けに頷くと


「では一希さん安全な場所で横になって下さ

い。」


「そして行きたい日付と時間を浮かべて

眼を閉じて心を無にすれば後は、私が術を

行使します。」


その声を聞いた月詠志保里は,

「なら地下室が一番良いわね!」

と言うので僕は地下室に降りて避難所にあるベッドに横になると2025年2月15日と頭に、浮かべて何も考えずに心を無にしていた。


手鏡が淡く緑色に光ると「星の神々よこの者の魂を数多の時より望む場所へと導きたまえ」と印を結ぶと(現身の儀)が発動すると

僕の魂が身体から抜けて飛んでいく。


◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻◼◻


いくつもの何かが僕の中を通り抜けてどこかに消える。僕はただひたすら心を無にして

2025年2月15日と念じる。


するとボカっと頭に何か当たり

僕は,倒れる。

意識が朦朧としていると信長の声が聞こえ

「この、戯けが修行中にいきなり寝るでないわ!」と僕を見て怒鳴っている。

僕は,そのまま意識を失った…


「お兄ちゃん大丈夫?」と声が聞こえる。


僕は、眼を覚めると夢莉に今の西暦と日付を聞いた。すると心配そうに僕を見詰めて


「お兄ちゃん今は西暦2025年の2月15日だけど本当に大丈夫?」と聞いて来た。

僕は現身の儀が成功したのが分かると

今が何時かも理解ができた。


確か2月15日の9時頃には信長に戦い方を

教わっていた。

そして右目を触ると傷がなくて眼が見える。

僕が喜んでいると頭にケルベロスの声が響く

「汝は禁忌をおかして過去に戻ったその代償と罰を受けて貰おう」

と言うと僕の右手に数字が浮かび12が一気減り1に変わる。


「その数字が終わりを告げた時には約束通り無の世界を永遠に彷徨う事となる。」

僕はそんなことは覚悟の上だとケルベロスに言うと「そうか…」と一言言うと

ケルベロスの声が消える。

僕は,志保里ばあちゃんの作戦を

遂行するためにまず警察署に

向かう事にした。

今度こそは大切な人を全て救うぞと

気合いをいれて歩いて行く…



オマケ(裏設定)


日高家は庶民の霊的問題を解決するので

余りお金を取らない。


月詠家は政治家や大富豪に対しての霊的依頼しか受けないので莫大な財力と権力を持っている。


その考え方の違いで衝突するのだろう。


裏設定②


月詠志保里は

息子である月詠直人と日高海里の交際を反対していた。


初めて自分に逆らう息子を変えた海里が憎くて

仕方がないのであった。







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