表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/46

平和?な水族館デート〜裏〜

夏樹と結衣の号令で集められた響と柊は、朝の4時という非常識な時間から翔の家の近くで張り込みをしていた。


「お前ら、さすがに早すぎだろ。絶対」


柊が欠伸混じりにそう言うと、夏樹は即座に言い返す。


「甘いわね。菜々は私達と同類よ?」


「つまり?」


「ワクワクしすぎて、この時間から動き出すタイプ」


「……なるほど、確かに」


アホのアホ理論に、何故か納得してしまうアホ柊。

そして何が面白いのか、ずっとテンション高めで今か今かと待ち続けるアホ響。


果たしてこの4人のアホ達は、無事に尾行を成功させられるのだろうか。


――1時間後。進展なし。

――2時間後。進展なし。

――3時間後。進展なし。


「クッソ……完全に騙されたじゃねぇか!アホ女共が!ぜんっぜん同類じゃねぇじゃねぇか!」


ついに痺れを切らした柊が噛みつく。


「うっさいわね!ちょっと計算違いだっただけよ!」


「そうだそうだ!念には念を、ってやつだろーが!」


アホ2人がアホ理論で対抗する中、唯一、何故かずっとワクワクしたままの響。


そして――

さらに1時間後。


ようやく、翔と菜々が姿を現した。

2人は翔の母親に「行ってきます」と声をかけ、仲良く並んで駅の方へと歩き出す。


「……出た」


「事前情報だと、行き先は水族館よね。響?」


「イェッサー!」


「よし、なら駅に――」


夏樹の言葉が途中で止まる。

それも当然だった。

彼女の視界に、手を繋いで歩く翔と菜々の姿が映ったからだ。


「……え、いつの間に……?」


結衣も同じく言葉を失う。

一瞬の沈黙。

そして次の瞬間。


「「ぶっっ殺してやる!!!」」


「待て待て待て待て!尾行だろ!?尾行!バカかお前ら!」


慌てて2人を抑える柊と響。

この2人がいなければ、間違いなくこの時点で事件が起きていた。



なんとか暴走する2人を押さえ込み、アホ4人は水族館前へと到着していた。

時刻は9時。開店まであと1時間。

翔達がチケットを購入するのを確認し、4人もこっそり後を追う。


「……1時間待ちか。今日、待ち時間長すぎじゃね?」


「人多いし、菜々ちゃんの提案なんじゃない?」


文句を言いつつも、翔達からギリギリ見つからない距離で待機する柊と夏樹。


一方、待ち時間に耐えられなかった響と結衣は、近くのガチャガチャコーナーへ消えていった。


……まとまりがなさすぎる。


やがて開店。

4人は人混みに紛れ、スパイミッションを開始した。

最初に翔達が向かったのは、入口すぐの巨大水槽。


「うおー!すげぇー!」


「バッカ!声デケェんだよ!」


スパイの自覚ゼロな響と、それを同じ音量で止める結衣。


「……お前ら2人とも静かにできねぇのか」


「無理だね……」


翔達が先へ進むのを確認し、4人も後を追う。


やがてふれあいコーナー。


「すっげぇ!結衣!エイだぞエイ!」


「え!マジ!?本物!?」


完全に観光客モードの2人を横目に、柊と夏樹は観察を続ける。

ヒトデの前で盛り上がる翔と菜々。


それを見つめる周囲の視線は、どう見ても仲の良いカップルを見る目だった。

その視線に、夏樹の胸が僅かに締め付けられる。


その後も昼食、イルカショーと順調に進む尾行。

翔達は最前列。

4人は少し後ろの席。


「……あそこ、バカ濡れるけど大丈夫か?」


響の言葉に視線を向けると、周囲がカッパ姿だらけなのに、翔と菜々だけが完全無防備。


「翔くんが濡れるのはいいけど……菜々ちゃんはちょっと可哀想かも」


「でも今さら声かけられねぇしな……見守るしかないな」


そして――


イルカショー、クライマックス。

複数のイルカが客席へ向かって泳ぎ、跳ね、着水。

凄まじい水しぶき。

無防備な2人は、想像の3倍ビショビショになった。


「「「「うおおおおお!!!!」」」」


気づけば4人全員、立ち上がって拍手していた。

嫉妬心という感情は、人をここまで正直にする。

だが、その歓声とは裏腹に、翔と菜々の距離は確実に縮まっていた。


その後、Tシャツ事件で腹を抱えて笑い、

水族館を出た頃には夕日が街を染めていた。


「……流石に疲れたな」


柊の言葉に、3人も同意する。

朝4時からの尾行。疲れないわけがない。

それでも最後まで尾行を続け、翔達が家へ向かうのを確認するため、朝集合した場所へ先回りした。


そこで――


異変が起きる。


「……あれ、誰?」


夏樹が指差す先。

翔の家の前で、スーツ姿の男が落ち着きなく徘徊していた。


「怪しすぎだろ……締めるか?」


「待て。翔くんの父親だったらどうすんだ」


だが、家に入らないのは明らかにおかしい。

迷っている間に、翔と菜々が帰ってきた。

男も気づき、近づく。


「ほら、やっぱり知り合――」


「ぶっ殺してやる!!!!」


住宅街に響く翔の怒声。


初めて見るその姿に、4人は言葉を失う。


――そして。


一番最初に動いたのは、柊だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ