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3人の女神 2

「うっ…あったま痛てぇ…」

 

目を覚ますと俺は自室にいた。頭がズキズキと痛み視界がうっすらとぼやける。何があったのか理解できず、なぜここにいるのかさえも分からない

 

「翔!!」

 

「うお!!」

 

俺を呼ぶその声でようやく俺は完全に意識を取り戻した、声の主は結衣。自室のベットで寝る俺の体に抱きついてくる。どういう状況か理解もできず頭がまたパンクしそうになる

 

「まて、結衣…落ち着け、何があった?」


混乱する頭を無理矢理抑え込み、俺並にパニックになっている結衣に声をかける

 

「いや、お前部活の途中で倒れて、保健室に連れてかれて親が家にいないから…どうしようもうっ…うわぁぁぁ!!」

 

急に泣き出し更に抱きしめる力を強める結衣。全く状況が飲み込めない、いや、このなかなかに俺得な状況は分かってる。なんで結衣が自室にいるのか、倒れてから俺はどーなったのか…何一つわっかんねぇ…

 

「落ち着け、俺は大丈夫だから…な?」

 

大泣きする結衣の頭を撫で、落ち着きを取り戻させようと死力を尽くす

 

「うぅ…う…」

 

ようやく泣き止んだ結衣。俺の顔から無意識に安堵の息が漏れる。服がびちょびちょだが、まぁ、いい。俺パジャマだし…は?はぁあ!!?

 

「なんで俺パジャマァァァァ!!?誰得たよ!…いやお前ら得か…」

 

「う…き、着替えさせた」

 

着替えさせた、じゃねぇ!!ダメだろ!!いや、ダメだろ!!

 

「何もしてねぇだろうなぁ?」

 

「な、何もしてないよ!!」

 

珍しく赤面する辺り、本当に何もしていないらしく、再び安堵する

 

「今下で夏樹と菜々が晩御飯作ってるから」

 

「そうか…は?」

 

安堵したのも束の間、結衣の発言で再び頭に衝撃が走る。あ〜ダメだ、またぶっ倒れてしまいそうだ

 

俺は飛び起きリビングへと向かった、もはや考えちゃ負けだ

 

「あ、翔君!目覚めたんだね…良かった…良かったよぉおお!」

 

「か、翔さん!い、意識が戻ったんですねぇぇえ!」

 

リビングで洗い物をしていた菜々、食卓に皿を並べていた夏樹。2人同時に泣き出し俺に飛びついてくる

なんなんだろう、俺不治の病にでも侵されたのか?死の淵から蘇ってきたレベルのリアクションに、ついに俺の脳みそはオーバーフローした

 

「大丈夫俺なら全然大丈夫だから、落ち着け、な?な?」

 

俺は2人の頭を撫で落ち着かせる。結衣と同じように落ち着きを取り戻してきた菜々と夏樹。そしてリビングへと到着した半泣きの結衣。色々とおかしい、どういう状況だよ

 

「よーし、落ち着いて。で、なんだこの状況?」

 

「うっ…翔君が倒れて…皆で運んでぇ…うぅ…」

 

「か、翔さんの…お母様が…い、いないからぁ…」

 

「よし、わかったわかった。だいたい分かったから落ち着け、な?」

 

大方、俺が倒れて保健室に運ばれて、家に連絡が行ったが親がいないから、3人で運んで看病してご飯を作ってた。って感じだろう

優しさの塊の3人に思わず瞳が潤むが、それを押し殺し俺は普段通りに振る舞う

 

そして、それから数分が経ち、ようやく正常心を取り戻した3人は俺をリビングの食卓の椅子に座らせ美味そうな料理を、ドンドンと運んできてくれた。材料も結衣が走って買ってきたらしい、それを夏樹と菜々が料理し、結衣は俺の看病。それぞれが俺のために全力で、役割を果たしてくれたのだ

 

「ありがとな、ほんとに」

 

「大丈夫だよ」

 

「気にすんな〜」

 

「お互い様ですよ」

 

優しすぎる3人に再び瞳が潤む。前世だと絶対に起こり得ない状況に、俺は心に再び前世のようにはならないと強く誓った

 

やがて全ての料理が運ばれ、食卓が埋め尽くされる。3人も食べるのかと思ったら3人とも立ってこちらを見ていた

 

「どうした?一緒に食べようぜ、俺1人じゃ食べきれないし、みんなで食べたほうが楽しいに決まってるからな」

 

「「「…うん!!(はい!!)」」」

 

俺がそう言うと3人とも嬉しそうに返事をし、席に着いた。俺の隣の席を争う争奪戦が行われたが、それはまぁ、別の話ということで

 

 

やがて、4人で楽しく食卓を囲み全ての料理を平らげた。あーんは勿論3人からやられ、3人にもやった。まさか3人にこんな事をするなんて夢にも思わなかった

今日の朝までは死ぬ覚悟だったのに、上手く事が進んでくれて心の底から安堵する。まぁ倒れて本当に死にかけてたんですけど

他にも部活の話やクラスの話、勉強の話などでとても盛り上がり気付けば時計の針は夜の10時を指していた

 

「お前ら大丈夫か?時間的に。親に怒られたりしないか?」

 

「私は大丈夫だよ、翔君の看病って言ったらお母さん行きなさいって言ってたから」

 

「私も大丈夫。翔が倒れたって説明したら起きるまで看病して来てあげなさいって」

 

「私も全然大丈夫ですよ。翔さんのことって言ったら、そんなの気にせずに翔君の看病してあげなさい!って」

 

おい、親

 

「そ、そうか。帰りほんとに気おつけろよ?変なやつ多いからな」

 

「うん、じゃあね翔君。お大事に」

 

「私家こっから4分ぐらいだから大丈夫だって、ゆっくり休めよ」

 

「同じく4分程度しか、かからないので大丈夫です。ちゃんと休んでくださいよ」

 

「おう、3人共じゃあな」

 

そうクールに見送った俺だったが、まさかの全員俺の家から4分の位置だった事に俺の頭はめちゃくちゃ動揺していた

まぁ、もう今日は考えるのは辞めよう。色々ありすぎた

3人を見送った俺はリビングへと戻る

 

「さて、やるか」

 

流石に料理、看病までしてもらってるのに、片付けまでさせるのは気が引けるというか、男としてそれは流石に許せない。片付けもするといい張る3人をなんとか説得し解決したが…予想以上に多いなあ

 

食卓に広がる皿の山。俺は全て台所に運び、ひとつひとつ丁寧に、スポンジで洗っていく。乾燥機等に入りきらない分は、綺麗なタオルで水を拭き取り、食器棚にしまった。そして仕上げに食卓をタオルで拭き終了だ

 

「はーーー、疲れた」

 

こうしてワイワイしてると3人ともヤンデレ要素なんてないのになぁ…むしろ『女神』と言っても過言ではないだろう

 

時刻は気付けば11時。片付けに1時間かかってしまった。普段から家事してなかった分、母親の偉大さを思い知ると同時に尊敬する

 

リビングの電気を消し、自室に戻り明日の用意を済ませ布団に入った。早く寝なければまた、倒れる可能性があるし3人にもう迷惑はかけたくないからな

 

俺は考える事もせず眠りについた



俺は無性にイラついていた。理由は新しく陸上部に入部してきた後輩の事だ


「颯太〜、あの翔とか言うやつウザくね?」


「蓮ってマジですぐ男嫌いになるよなぁ、けど分かるわ。絞めとく?」


颯太の言う通り翔本人を絞めるのもアリだが、もっといいアイデアが浮かびそうなんだよな


「ってか女の子は当たりじゃね?マジでヤりてぇわ。翔とかいうガキの看病アイツらがしてたけど、どういう関係なんだろうな」


「それだ」


颯太のその言葉で俺の頭の中には素晴らしいアイデアが思い浮かぶ


「あの女共、さらっちまおうぜ」



登場人物一旦全員軽くまとめときます!


木下 翔(きのした かける) 主人公 転生して若返り2度目の人生に挑む


朝日 響(あさひ ひびき) 翔の友達でボクシング部 翔の1度目の人生には存在しない


暁 柊(あかつき しゅう) 翔の友達で響とも友達 響とよくツルんでいる


高橋 夏樹(たかはし なつき) 翔が大好きなヤンデレ1号

人懐っこい性格 陸上部マネージャー


如月 結衣(きさらぎ ゆい) 翔が大好きなヤンデレ2号 ヤンチャな性格


黒瀬 菜々(くろせ なな) 翔が大好きなヤンデレ3号 基本敬語キャラ


氏原 海斗(うじはら かいと) 陸上部部長


桜 陽菜(さくら ひな)陸上部副部長 クールな性格


日向(日向) 陸上部の3年生 無口な性格 1度目の人生には存在しない


木村 小和(きむら こより)陸上部2年生 時期部長候補 天然な性格 1度目の人生には存在しない


山岸 剛(やまぎし たけし) 陸上部2年生時期副部長 ふざけるの好きの明るい性格 1度目の人生には存在しない


長谷川 蓮(はせがわ れん) 陸上部2年生 ヤンキー 1度目の人生で翔をいじめていた


井上 颯太(いのうえ そうた) 陸上部2年生 蓮のツレでヤンキー 1度目の人生には存在しない



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