↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメクリエーター、転生先はツンデレ王子の想い人でしたが、面倒だと思っていたら隣国の皇太子に愛されました  作者: 遠野まみみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

1・転生したら若返った

月見里やまなし先輩、お疲れさまでしたー」 「おやすみなさーい」

月見里優香が会社を出たのは終電ギリギリだった。


連日の泊まり込み&徹夜仕事が終わって、やっと帰宅して風呂…

入るよりもとにかく眠りたい。

アニメの背景の仕事は大好きで、辞めるつもりは微塵もなく

徹夜くらいは何でもないけれど、やはり眠いものは眠いし

27歳、アラサーの身には少々きつい。


何日ぶりに横になっただろう。

急いで着替えて幸せ…と思いながら、

ベッドに横になったとたんに優香は気を失った。


               *


頭の中が回転して、なんだか暗黒の世界に落ちるような感覚がした。

何も聞こえないし見えない。夢のような、そうでないような不思議な感じ。

優香が何?と、思っていたら何も感じなくなった。


               *


目が覚めたのはフカフカのベッドの上。見慣れない部屋。

頭の中に知らない記憶が蘇る。高貴な身分な感じのイケメンな男の人が

ほほ笑みかける。

「あれ?これ誰の記憶?」ぼんやり目を開けると声がした。


「お嬢様が生き返られましたー」とメイドの恰好をした女性が

ドアから出て行った。


はい?と思って身体を起こすと、やたらレースが付いたドレスのような

パジャマ…?を着ていた。わたしの趣味じゃない。

でも、なんだか着なれている気がする。


起きだして鏡に映る姿を見て声を失った。


「わ…わたし?でもちょっと顔が違わない!?しかも若いし!

じ…10代?かな??

しかも髪が長くてツヤツヤしている。お肌もつるんつるんで本当にわたし…?

何で?どうしてこうなった?…異世界転生ってやつ?いや、

まさかわたしに限ってそんな事あるはずないし」


部屋を見回すと、アンティーク家具でいっぱい。ワードローブの中にはドレス。

引き出しには宝石。


「ちょっと待て、こら。こういう背景は仕事で描いたことあるけど、

ヴィクトリアン調?それに何だろう。恋人とかお城とか、

覚えのない記憶がある…? いや冷静になれ、自分。疲れているんだ。

仕事のし過ぎだって。夢だってば」と

自分を落ち着かせてしていたら、扉が開いて家族が入って来た。

確かに、優香は彼らが家族だと認識している。


「レミリア!起きていいのかい?」と、父が言う。

「ああ、神様、ありがとうございます」と、母に抱きしめられた。

「姉上、良かった」と弟の…ウィリアム。


すると、一つの記憶が浮かんできた。


わたしの名はレミリア・フェルリアン・レ・ヴァレンタイン。

17歳。侯爵令嬢。

どうやら「レ」が貴族階級を表すらしい。侯爵か…とてもいい位だわ。


行儀見習いのために城に上がって、皇后陛下の侍女を務めた。

そこで皇太子と出会って、好きになって婚約の話が出た矢先に

彼の浮気を知って病気で倒れた。

そのままレミリアが亡くなって、同時にわたしが過労死して入れ替わった?


浮気を知ったくらいで倒れるとか、メンタル弱いの?

それとも他に何かあったの? 

…そうか、たまに思い出すのはレミリアの記憶なんだわ。と、理解した。


今わたしは17歳。わたしが17の時はアニメキャラに夢中だったな。

婚約とか結婚なんて考えられない。面倒くさそう。

絵を描いていければ恋人はいらない。と、今も優香は思っている。


「あの…大丈夫ですので、もう少休ませてください」

お願いすると、「ああ、そうだね」と言って一人にしてくれた。


この世界にいたレミリアはどこに?私が元いた世界にいるの?

優香の頭の中は疑問だらけで混乱していた。


ははは。もうどうしよう。と頭を抱えてしゃがんだら

アンティーク家具の模様が目に入った。

「なんて素敵な模様。せっかくなので取材させていただきましょう

(絵描きあるある)

カメラはないので、スケッチだわ。紙とペン。色鉛筆は…あった」


部屋の壁の模様や家具の飾りをへばりついて描いていたら、

「失礼します」と、部屋に入って来たメイドが心配そうに見てきた。


「あの…お嬢様?どこか具合の悪いところはありませんか?」と、聞いてきたので

「え?うん。どこもなんともないわ」と、色鉛筆を動かしながら答えたら

メイドは急いで部屋を出て、仲間に「お嬢様の様子がおかしい」と報告していた。


「へんな人とか、変わってる人と言われないように生きてきたのに言われてるわ」

と、今スケッチした部屋を見渡して、細部がわかる事に気が付く。


まるで目の前に画面が出るように見えて、「アップで見たい」と

意識すると拡大されて柱の傷までわかった。

これはデジカメみたいな記憶力! これが私の能力!?…すごい。嬉しい。


何度か『起動』『アップ』『記録』を繰り返して、普通に周りをみれば

勝手に記録されて意識すると記録されたものを見る事ができる事を知った。


これはまさに デ ジ カ 目 ? …なんてね。

…でも背景を描く仕事がない今、何の役に立つんだろう?



               *


ふと窓から外を見ると、なんともすばらしい庭が広がっているのが目に入った。

これはもっと見たい、描きたいというわけで庭に出て庭をスケッチしていたら、

いきなりバラが降ってきた。


「何?」 振り返った時に肘鉄を喰らわせてしまった。

そこにいたのは皇太子のウォルター・アーサー・ド・バレッタシュタインだった。


「き…君?」バラの花びらを握ったウォルターが咳き込む。

「あわわわ。ごめんなさい。つい。当たってしまった」焦る優香に

「フン、無事だったのか」と、ウォルターが冷たく笑う。


「あらすごくいい声。声優さんみたい。で、どちら様でしたっけ?」 

「声優?何だそれは。私を覚えていないのか?」

ウォルターはショックを隠せない。


「あっ。婚約寸前で浮気してた皇太子ですよね!?」

「ぐぐ…。か…身体が何事もなかったら、城に戻れ。母上が心配している。

…別に心配だったから来たわけではないからな」

「あ…はい。ってか、ツンデレ…。見事なツンデレ初めて見た」

「ツ…?おかしな事を言うな。まだ具合が悪いのか?大事にするんだ、いいな」

そう言って去って行くウォルターを見送りながら

ツンデレ…。笑う。なんかかわいい。と思う優香。


でも、ど…どどどどどうしようー。城とか王妃とか。

たしかレミリアは王妃の話し相手をしていたっけ。

…私、勤まるかなー?? でも彼はとってもいい声だわ。声だけみたいだけど。


               *


とにかく、夢でないのならわたしはここで生きていくしかない。

アラサーの大人なのだから、落ち着け。落ち着いて対処しろ。

改めて鏡を見て、「わたしはレミリア」と、優香は自分に言い聞かせるのだった。



読んでくださってありがとうございました。

更新は週に1度の予定ですが、次回もよろしくお願いいたします。


次回2話・転生したら王妃の侍女

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。