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収穫祭 「私の心臓を掴むあなたの手が冷たくも温かい」  作者: 秦江湖


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千尋と明・千尋

家に戻ると深呼吸した。


一華はなんなんだろう?どうしてあんなことを。

さっきの様子からは今までにないものを感じた。


あんな一華は見たことがない。


リビングのソファーに倒れこむように身をゆだねると、天井を見上げながら考えた。



まずは一華のことより明さんだ。


こういうときは明さんと話さないといけない。


どういうふうに話し出したらいいだろう?なにしろ初めてのことだから戸惑ってしまう。

考えているうちに明さんの帰ってくる時間は近付いていた。



「夕飯は作らないといけないな」そう思って立ち上がって、まだ夕方の水やりをしていないことを思い出した。


私としたことが、大事なことを忘れてしまうなんて。


水やりを終えてなんとか夕食ができたころに、明さんが帰ってきた。

考えて、とにかく感情的にはならないようにすることにした。


「明さんお帰りなさい」


私が迎えると、いつもと変わらない様子だ。

帰宅した明さんをいつものようにリビングまで迎え入れてから聞いた。


「明さん、私になにか言うことはない?」

「言うことって?」

「一華のこと」


明さんの表情から動揺が見てとれた。


「一華と二人で会ってない?」


「小川さんが資産を運用したいと相談されたからうちの仕事として会っているだけだよ。いくつか紹介した銘柄にも投資してくれたし、あくまでお客さんだよ」


「じゃあこれはなに?」


一華から送られてきた写真を見せた。

二人の情事と、その事後を写したものを。


明さんは絶句した。


「いつから?いつから一華とこういう関係になっていたの?」


「なら君はどうなんだ?知らないアドレスからこんなものが送られてきたよ」


明さんはスマホの画面を見せた。

そこには私と浩平がホテルから出てくるところだった。

こんなところに二人で私は行っていない。


「これはフェイク画像よ」


「なら、俺のも同じようにフェイク画像だとは思わないのか?」


「明さんの場合は一華が自分で関係を持ったと、私にわざわざ言ってきたのよ」


「この男はだれなんだ?」


「スクールの講師よ。でも男女の関係じゃない」


「その割には随分頻繁に会っているじゃないか」


「だからって、よりによって私の友達を抱くの?」


「俺は知らない」


「じゃあ一華が嘘をついてるっていうの?」


「とにかく、今度時間を作って話そう」


「いいわ。いつ?」


「とにかく早急に時間を作るよ」



その間に一華に連絡でもとって、あれは悪戯だったとか口裏を合わせてもらうのかな?


まあいい。

私には私の考えがある。



「じゃあ時間ができたら教えて」


そう言って話を切り上げると、「今日は一緒に食べたくない。ご飯は作ってあるから食器だけキッチンに置いておいて。私が洗うから」と、言って自室に篭った。


部屋で一息入れると鏡を見る。



「あんな感じで良かったのかな?」


なにしろ本当にこういうことは初めてなのだ。


どうしていいのかわからず、結局はいつもの自分のままで話した。

一華の様子を思い出すと、これだけで終わるような気はしなかった。



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