28.数字が意味する言葉
篠崎は右から順番に10個の半円球を回したが、何も起こらなかった。
試しに、スタート位置を1つずらし、2つずらしを試行してみたが、同じである。
「さあ、どうする、曙橋?」
「数字を逆にする。その0874692513の逆は……3152964780」
「また安直な……」
「安直じゃない」
「ホントかなぁ……。あっ、こういう消極的発言がいけないんだな。うん、とりあえず逆にして試してみよう」
篠崎は、メモ用紙に逆順の数字を書いた。
「これでよしっと。今度は左端にある丸いのから回すんだよね?」
「うん」
「では、いきますか。えーと、3152964780……。3152……? ん? んん!?」
篠崎が天井を見上げた。
「どうした?」
曙橋が篠崎の顔を覗き込むと、彼は急に笑い出した。
「おいおい、この数字、よく見てくれよ!」
篠崎が、再びメモ用紙を曙橋の目の前に突き出した。
「数字を?」
「そうだよ。この3152964780、なんて読む?」
「なんてって?」
「さすがの曙橋も気づかないってか? 菊川は?」
篠崎からメモ用紙を受け取った菊川は、目をこらして数字を読む。
「あー! わかった!」
破顔する菊川が曙橋に耳打ちすると、曙橋は目を丸くして「偶然じゃないの?」のつぶやいた。
「偶然なものか! これは、挑戦状だよ。当然、受けて立つよ」
そう言って、篠崎は拳を握りしめた。




