21.閃きが答えにつながらない
篠崎は、この漢字の羅列が数字を現していると閃いた。先ほど解いた和歌の暗号で『10の目を回せ』と言っている以上、この漢字の暗号は『目を何回回すか』を指示していると考えるのが自然。しかも、この文字列は10列ある。縦方向の1列が数字を表していると考えられるのだ。
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久久久久久久久久遠久
仏仏仏遠仏仏仏仏遠仏
仏仏仏遠仏仏仏仏遠仏
久久久久久久久久久久
仏仏仏仏仏仏遠仏遠遠
遠遠遠遠遠遠遠遠遠遠
遠遠遠遠遠遠遠遠遠遠
仏仏仏仏遠仏仏遠仏仏
久久久久久久久久遠久
遠仏遠仏仏仏仏仏遠仏
遠仏遠仏仏仏仏仏遠仏
久久久久久久久久久久
仏仏遠遠仏遠仏遠遠遠
遠遠遠遠遠遠遠遠遠遠
遠遠遠遠遠遠遠遠遠遠
仏仏仏仏仏仏遠仏仏仏
久久遠遠久久久久遠久
仏仏遠遠仏仏仏仏遠仏
仏仏遠遠仏仏仏仏遠仏
久久久久久久久久久久
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心が躍る彼は、手にした鉛筆でメモ用紙に上の暗号の右端にある漢字1列を書き写した。
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久
仏
仏
久
遠
遠
遠
仏
久
仏
仏
久
遠
遠
遠
仏
久
仏
仏
久
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ところが、書いては見たものの、これが何の数字を表しているのか皆目見当が付かない。
「なんか閃いた?」
声をかけてきたのは曙橋だ。
「あ……ああ」
篠崎は曖昧な答えを返しながらも、頭の中では暗号解読を続ける。
「ああ、やっぱり、そこに注目したんだ」
「やっぱりって?」
「だって、10の目を回すって、何回回すか指示がないとおかしいから。しかも漢字は10列あるし」
篠崎は悔しがる。もしかしたら、今の今までわからなかったのが、自分が漢字の縦1列を書き写したものだから、気づかれたのではないだろうかと。
また「解けた」と言って賞賛を浴びるのかと、彼はやきもきした。
「もしかしたら、横に読むのかも」
そうやって彼はライバルの思考を攪乱させる手に出てみたが、
「それはないと思う。古文書が書かれた当時は縦書きだから」
と、あっさり交わされた。
「まあ、裏をかくこともあるかも知れないけど、縦書きと考えるのが普通」
「じゃあ、曙橋は、ここから先、何か閃いた?」
「全然」
そう言って首を振る彼女を見て、篠崎は内心ホッとした。




