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10.暗号解読(その1) 続き
「この暗号――」
ここで篠崎が「ちょっと待って」と曙橋の言葉を遮った。
「何?」
「ねえ、ヒント教えて?」
「ヒントは、全部ひらがなであること」
「漢字にしちゃダメなの?」
「漢字にすると、意味が固定化してそちらに引きずられて自由な発想が出来なくなる」
「ひらがなにしても、拾った単語から意味がわかるからおんなじじゃない?」
「漢字にするよりまし。そもそも、この和歌――といっても和歌っぽく見せているだけだけど――意味がない」
「意味がない!?」
「そう。ここに出てくる単語と暗号とは何ら関係がない」
「はあっ!? どういうこと?」
「ここに書かれていないことに意味があるから。ただし、さらに並び替えないと答えが出ないけど」
「ちょっと待って、ちょっと待って。まさかこれ、あぶり出しとか?」
「違う。じゃあ、見てて。こういうことだから」
曙橋は、一番上のメモ用紙を破り、まっさらな紙に鉛筆を走らせた。
いよいよ、次のページで暗号が解けます。