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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第Ⅱ章 人里に出た三匹
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042 村観察 後編

引き続き村を観察しています。


 村での騒動の後の夜、私はキャンプ地に戻ってパトラッシュと夕食を食べていたわ。

 といっても、パトラッシュに食事は不要なので、ただ一緒にいるだけだけれどね。



「今日はグローが5匹来たけれど、こっちはどうだったの?」

「魔物は結界を避けて進んだ」

「まぁ、じゃぁ、ここは全くの無事だったわけね」

「あぁ。魔物は破邪の結界を好まぬ。この力が支配している場所に近寄ろうとする魔物はいないだろう」

「で、パトラッシュは何をしていたの?」

「我は魔物の出所を調査することにした。場所は水源地よりしばしそれた山肌に亀裂が走り、穴が開いていた」

「それは酷いわね。もしかしたらまた来るかもしれないってことじゃない?」

「その可能性は否定しない」

「そういうことなら、明日調査しなくちゃだめじゃない。」

「主、その役目は我が行おう。詳しく調査して報告するので、それから判断を仰ぐ」

「わかったわ。でも、無理しないで頂戴ね」

「心配かたじけない」

「かたじけないだなんて、随分古風な言葉を知っているのね。フフ」



 ラズウルドグローに対する村人達の反応は慣れていない感じだった。

 それは村人達の強さを考えてもそう考えざるを得ない。

 アレが出てくるのは例外的な出来事だったということになるけれど、その原因って、やっぱり私達なのかなぁ。

 グローが暮らせなくなったから出てきたのか、たまたまなのかが分からないけれど、何らかの理由でグローが出てきたことは間違いない。……いずれにせよ、パトラッシュが件の洞窟の状況を調べてからでも遅くないかしら。


 食事が終わってからは、明日も朝が早いからさっさと寝支度して寝たわ。朝が早いってのは、夜明け直ぐに村人達は起きて作業を始めるのよ。だから、私もそれに対応しないと貴重な会話を聞くことが出来ないってわけ。

 

 透明になる魔法はトランスルーにしたわ。


 昔飼っていた熱帯魚に透ける魚の種類がいて、その名前にちなんだだけなんだけれど、私が分かれば良いことだから。キャンプも現在は光学迷彩している状態だから、傍目には分からないわ。一応周囲をパトラッシュに留守番してもらっているから、万が一村人が近づいても魔物だー!って感じで逃げるでしょうし。




 私は夜明けの村の中の様子を見て回ったわ。

 朝食の支度をする奥さん方の動きが家々の窓越しに見えるから、覗き見ながら動きを観察する感じ。子供達が起きてきて挨拶を交わしているのが聞こえてきたり、家から出て井戸の方に行って行水するお父さんもいるわね。……井戸の水って結構冷たい雪解け水っぽいけれど寒くないのかしら。半裸の男の体はそそるけれど、もう少し綺麗目の方が目の保養よとか、そんなこと思っていたら、家の外に汚物をぶちまける。

 確かに朝はトイレに行列するのは分かるけれど、うぅ、これは酷い。


 私はそっと浄化の魔法を使って汚物を浄化してやったわ。

 ……さすがに放置していたら私がまた踏むことになるでしょう?


 そこかしこで汚物のぶん投げが行われる朝の景色。

 いやぁ、中世世界って、恐ろしいですねぇ。


 こういう映像って、テレビアニメとかではキラキラした何かとして描かれたりするのよね。もう、いっそ清々しいくらいに輝いているものが放物線を描くのよ。でも、あれらはみんな大好きう○こです。本当に有難うございましたって感じなのよねぇ。

 お子様は喜ぶかもしれないけれど、大の大人のおネエさんが喜ぶと思って? ……残念ながら汚姉ではないのよ。


 朝から馬鹿なことを考えてないで、さてこの二日ほどの調査で分かった事とかを整理かしら。

 単語を拾うこと自体は何とか出来てきたけれど、それが文としてまとまるには至っていない。それは語彙がまだ圧倒的に足りないからってことになるんだけれど、そもそもこの世界にはスキルというものがあるのよね。

 私の考えることを相手に変換して伝える能力と、相手の言葉を私の言葉に変換して受け入れる能力、そして文字としての認識能力が存在するかもしれないかしら。

 文字を理解するには言葉を理解しないと無理だから、まず言葉の理解になるわけだけど、私は既に僅かであるけれど単語を拾っている。これは言語理解の基礎的な行動だと思うのだけど、例えば書き取りとかをしたら、何か出てこないかしら。


 私はこれまで拾った言葉の音と日本語の意味をメモ帳に羅列するように書きまくったわ。

 ドリルの様にどんどこ書いていたら。



 新たなスキルを獲得しました。

 言語学 Lv,1



 キターーーーー!これで勝つる!!!

 ……でも、これ、書き取りで来たから、書き取りしないと意味なし?

 まぁ、何であれ取っ掛かりが出来れば大丈夫と思うけれど。


 さて、スキルを獲得したら、次は積み上げよね。

 私は単語としての意味の理解だけでなく、音としての理解に努めたわ。言葉は音として伝わる以上、音に聞きなれないと分からないものよね。音を聴いていると、意味のある単語以外の接続詞の様なものの音とかがあることが分かってくるわ。それは意味としてはよく分からなくても同じ音として何度も利用される……そういう音を拾い集めて書き記していく。その繰り返しをしていったわ。

 そんな作業を昼過ぎまで続けていたら、



 スキルレベルが上がりました。

 言語学 Lv,1 → 2

 基礎的言語理解が解除されました。


 基礎的言語理解って言うくらいだから、少しは繋がるのかしら。

 私は時間帯的に人が一番多そうな糸紬場に行ってみたの。

 中に入ってみて会話に聞き耳を立てると、



「私、分からない。ここ、難しい」

「分からない、何処。難しくない……」



 なんだか言葉が微妙な翻訳具合に分かる!?

 語順が日本語とは違うからこういう意味の繋がりになるんだけれど、これも慣れれば理解できそうね。

 聞き流す様に暫く聞いていたら、会話の中身が分かるから退屈しなかったわ。

 話の内容は予想通りに家族の話や作業内容に関する話ね。近所の噂話や夏祭りの話もしていたわね。勿論、昨日の戦闘の話もあったけれど、そこら辺はあまり詳しくは出てこなかったわ。

 単純に村長の息子のアレンはよく出来た息子だとか、アレンの様に自分の息子も強くなってほしいだとか、アレンみたいな旦那だったら良かったのにだとか。……リア充逝って良し。


 もう、これだからノンケのイケメンは困るのよぉ。

 私なんて端から眼中に入らないでしょう?

 入るというならカモンベイベーなのよ?


 とはいえ、ノンケへの片思いなんて不毛なだけよ。

 え? 何唐突に言っているんだって?

 ……おネエにはおネエなりの苦労があるってことよ。ホホホ。


 昼に戻った時にパトラッシュに言葉が分かるようになってきたと話したわ。

 パトラッシュは私とは思念で会話しているから意思疎通できるそうだけれど、この世界とは違う言葉を話しているということは理解していたの。

 私は村人達の会話が片言ながら理解できるから、積極的に聞いて頭の中で整理するようにしていったわ。

 それを続けていたら、帰る頃に来たのよ。



 スキルレベルが上がりました。

 言語学 Lv,2 → 3

 言語変換辞書が解放されました。



 言語変換辞書ってどういうこと?

 言語変換辞書ってくらいだから、日本語と異世界語を変換するための辞書ってことかしら。

 試しに村人の会話を拾ってみたら、メモ帳で対応を記述済みの言葉はすらすらと理解できるの。それに、文章の整理能力が早くなったのか日本語で理解している感じに近づいた気がするわ。

 とはいえ、分からない言葉は相変わらずただの音でしかないけれど、一度意味を理解するとメモらなくてもしっかり変換候補として記憶されるみたいね。これは便利だわ。


 私は鼻歌交じりにキャンプ地に帰ったわ。

 この感じで行けば、数日中に言葉を話すのも出来そうかも。

 ようやくこの世界の人間達に係われる基礎が築かれようとしていることに、安堵の様なものを感じたわ。だって、全く意味も理解できないままだったら、いつまでたっても何も出来ず仕舞いでしょう?

 絶対にマスターしてみせるわ。



「主、調査結果についてだが……」



 パトラッシュは午前と午後の一部の時間を使って、二回に分けて周辺を見て回ったそうなんだけれど、出てきた場所らしきものは以前見付けた場所だけの様ね。

 中の調査もしたそうで、入ってすぐに上の方に縦穴が開いていて、たぶんその穴から出て来たのではないかと。

 縦穴を登ってみたけれどかなり上まで繋がっているらしくて、あまり深入りして不測の事態が起きても困るから切り上げたそうよ。


 縦穴と聞くとゲージの出入りを疑ってしまうわね。

 なるべく早く塞いじゃった方が良いかしら。



「明日埋め戻しをしに行きましょう」

「了解した」



 というわけで、明日の予定が決まったわ。

遂に言語理解への取っ掛かりが出来ました。

次はグローの出てきた穴の調査です。

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