表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第Ⅱ章 人里に出た三匹
44/157

041 村観察 中編

引き続き村観察です。


 午後も再び村に戻って観察をしたわ。


 語学学習という意味では町長の家が一番良さそうな会話をしてくれるんだけれど、基本的に一人で作業していることが多いようなので、村の作業場でしゃべりながら作業しているのを眺めた方が良さそうかなと、午後は作業場へ移動したわ。


 村の共同作業場は木材の製材所と女性達の糸紬場があるの。製材所はそこらの木を乾燥させて製材しているわ。これら製材したものは馬車でどっかに運んでいるようね。糸は編み上げて使用するものと商品用とあるみたいだけれど、これもたぶん最終的にはどっかに売りに行くんでしょうね。

 私は木工所よりおばちゃん達が多い糸紬場へ向かったわ。こういう作業は女性の方がよく話すものだから、会話をより多く聞けるでしょう?


 話している内容は相変わらず分からないけれど、こういう人達の話す内容ってどこの世界も似たようなものじゃないかしら。自分の子供がどうこうした話や親兄弟の話とか、自分の家族にまつわることから、若い男女の恋愛模様についての噂話だとか、定番の亭主の悪口だとか。実際に見ていて周りの話を聞いて若い娘さんが赤面しているシーンがあれば、良い年の奥さん達が大笑いしているところだとか、何を話しているかお察しな場面が沢山出てきていたわ。


 作業場だけに作業内容に関する単語は頻繁に出ている様ね。紡がれた糸を編んでいる人が、別の人に何やら尋ねることがあって、それについて別の人がこうすれば良いのよ!みたいに編み方を見せて教えているシーンとかが有ったわ。


 でもねぇ。会話に加われないのは仕方ないとして、ただじっと見ているだけって意外に疲れるのよね。全く意味が分からない話をしているところに一人でポツンと突っ立っているって、結構な拷問だと思わない?

 手芸は私も出来るから仲間に入りたい的な物もあるというか、手持無沙汰というか。結局編み棒を用意して彼女達が紡いだ糸を使って同じ作業をしてみることにしたわ。


 彼女達が作っているのはコースターの様なサイズのお花っぽく見えるものよ。何人かでそれを作って、それを繋いでマフラーみたいな物を作ったりしている様ね。糸は何かの毛を紡いだものの様で、羊毛に似ているから、そんな感じの毛の動物から取った物なんでしょう。結構太目に紡がれているから大味な印象のものが出来るけれど、使い方次第じゃないかしら。

 私も彼女達が作っているものと同じものを作ったわ。その方が彼女達も少しは助かるだろうし、私からのお勉強料金ってことで。


 編みながら話を聞いていると、その手の内容についての話がなんとなく理解出来てきたわ。若い女の子がどこで躓いていて、おばちゃんが何を話しているのかとか、そのものを相手にしていることで伝わってくるものがあるのよ。

 私も作業をしていてどこが難しくて簡単かが理解できてくると、世話焼きおばちゃんみたいに教えたい衝動にかられちゃうんだけど、そこはぐっと我慢よ! おばちゃんが良い感じにしっかり教えてくれるんだから、それを見て頑張りなさいって心の中で応援する私。


 3時くらいになった頃、女性達は手を休めて休憩に入ったわ。いそいそとお茶の用意をしに行く人がいて、器を持ってきてテーブルに並べる人もいるわ。私も外に出てガレージから飲み物を出し、再び中に入ったらお茶がカップに入れられていくのが見えたわ。それを木のお盆に乗せて配り歩く人。受け取って感謝の言葉を述べる声。そう、有難うはそう言うのね。そして、どう致しましてはそれなのねって感じに見入っていたわ。


 休憩中は先程までの話題とは何やら違いそうね。何を話しているのかは分からないけれど、楽しそうな計画を立てているのかしら。笑顔で和気あいあいとしていて微笑ましいわ。

 私も水筒の中のケリー特製ハーブティを飲んでほっこりしていたら、突然作業場の戸が乱暴に開けられたの。何事かしらとそちらを見ると、若い男の子が息を切らせて何やら叫んでるわ。それを聞いた女性達は動揺した様子を見せて立ち上がったの。

 男の子が去ったら、年配の女性が掛け声を掛けるのを合図にみんな外に出て行ったわ。

 私も彼らの最後から外に出てみたんだけれど、村の男達と女達で向かう方向が逆なのよね。それに男達の手には農具の鎌の他に剣を持っている人もいる。武装していると考えると何かが襲撃してきたのかしら。

 私は鑑定を起動して周囲の状況を確かめると、ここに出てきてはいけないはずのアレが向かってくるのが見えたの。


 なるほど、これは酷い。


 私はまず女達が向かった先に行ったわ。

 彼女達が向かった先は村長さんの家の様ね。

 家の前では息子の嫁さんっぽいあの子が村人達を受け入れている様子があったの。子供達も集められている様ね。どうやらここが避難場所で間違いないかしら。

 この村はうっすらと村の境界の範囲まで広がる魔法陣による結界が施されているのは確認していたけれど、これはアレに対抗できるほどの出力は無いのよね。魔法陣についての解析は済ませてあるから、これを利用させて貰うことにしたわ。


 魔法陣に魔力を注ぎ込み、一時的に高出力にしてみたわ。

 たぶん、これでアレが襲ってきても耐えられるかしら。

 それを終えたら男達が向かう村の外に向かったの。

 

 私が向かった時には、山の方から丁度「アレ」が下りてくるところだったわ。

 

 アレっていうのは「ラズウルドグロー」よ。

 それも5匹向かってきている。

 村人の中の重武装……といっても皮の鎧だけど……っぽい人が前に出て鉄の剣を構えていたわ。他の村人はただの服に剣や構や鍬とかを持っているわね。

 でも、グローのステータスを考えるとねぇ……大丈夫かなぁ。

 まずは村人達のお手並み拝見。


 重武装の一人の村人が走って向かっていく。

 彼は剣を振り被って先頭を走るグローに剣を振り下ろす。しかし、全く歯が立たずスポコーーーンって吹っ飛ばされたわ。



「え」



 見事に吹っ飛ばされた村人が地面に落下したのが見えたわ。

 アレは結構大ダメージ確定よね。

 いやいや、ちょっと、そりゃ無理だとは思ったけれど呆気なさすぎない?

 こんなんでよくこの辺で暮らしていけたわね。

 グローを倒せなかったらゲージなんて来た日には壊滅よ? って、あぁ、グローで壊滅待った無しか。


 うーん、アレはまずいよねぇ。

 私の計画にとってもー……仕方ない。

 私は新しい魔法を試してみたわ。



「ヌリカベスケルトン!」



 光学的に透過しているヌリカベがG達の前に立ち塞がる。

 そんな事とは知らないG達が壁に派手に激突して反動で後ろに跳ね返されたわ。

 後続のG達も馬鹿正直に突っ込んで吹っ飛ばされる始末。


 一先ずこれで時間は稼げるわね。


 私は倒れた村人君のもとに走ったわ。

 彼の所に行ったら、その子って村長さんの所の息子だったのよ。


 アチャー、このまま逝ったら奥さん泣くわよ。

 仕方ないわねぇ。


 私はガレージからポーションを出して振りかけてやったわ。

 飲ませなくても彼くらいの力なら回復は確実だから。

 そして錬金で鉄剣に精霊銀を混ぜ込んで強化して、レザープレートアーマーの下にカーボン仕込んでおいたわ。そして、魔法付与で剣に風の力を宿してやったの。これで振るえばガリの剣っぽい使い方は出来るでしょう。


 起き上がった彼は突然回復した自分に驚いている様子だったけれど、グローの方を見て駆け出して行ったわ。でも、さっきまでの彼と明らかに違うスピードで走ってるのよ。


 何で?


 まるで風の様に駆け出していく村長の息子。なんかあまりに不自然でシュールね。

 その時、壁に激突しまくってたG達にも動きが有ったわ。あいつら性懲りも無く壁にぶつかりまくっていたのに、また激突するかと思う手前で飛んだのよ。しかも、羽を出して。



「しまった!?」



 そうよ。

 Gって羽あるじゃない!

 んでもって、飛んでこっちに突進してくるじゃない!

 何でいつも逃げないで向かってくるのか不思議なくらいこっちに来るじゃない!

 やっぱりあいつらも同じで、グロー達が一斉に飛び立って壁を越えてきたわ。

 そこに先程の村長の息子が跳躍してグローに向かって剣を振り被る。今度も駄目だろうと諦めた目を向けている村人達の予想に反して、グローは真っ二つに切り裂かれたの。



「あらぁ……」



 私も半ば感心する程の切れ味だけど、やられたグローを見た他のグローが羽ばたいて村長の息子に進路を変えて突進するのが見える。その向かってくるG全てをぶった切って彼は地面に着地したわ。

 彼の着地後、上空から降り注ぐグローの遺体の破片。私は土地が汚染されるのも嫌だから地面に聖属性の幕を張っておいたわ。ぼとぼとと落ちた破片が地面の結界に触れてジュージュー言って溶けてしまったのは予想外だけれど、蒸発して消えたので結果オーライってことで良いわよね?

 村人達もGの始末しなくていいし。


 私知ーらないっと。


 こっそり魔法を解除しておいたわ。

 村長の息子の付与魔法も消えたけど、あの装備自体はそのままなのよねー。まぁ、今後もGが来るかもしれないし、良いよね?

 その時、唐突にアレがきたわ。



 スキルレベルが上がりました。

 聖属性 Lv、5 → 6



 まぁ、結構使ったものね。そろそろ来ても良い頃よね。


 村人達は村長の息子に駆け寄ってもみくちゃにしていたわ。

 新たな勇者の誕生ってところかしら。

 まぁ、村が彼によって守られたことは紛れもない事実だし。


 勝利の凱旋をする村長の息子が避難所にいる彼女と感動の再開をするシーンとか、お約束もしっかり見られたわ。その際に奥さんがアレンとか言っているから、息子はアレンなのね。そして息子は彼女の事をマルティアって呼んだからマルティアで確定よね。


 その後は勝利の宴のための準備がいそいそと行われていたわ。

 人々はアレンの事を凄いと褒めたりして話に花が咲いていた感じかしら。


 その日はもう彼の事で持ち切りで話もみんな彼の事ばかり。

 強いだとか格好いいだとか話しているっぽいのが分かったくらいが収穫かなぁ。



 私は彼らの嬉しそうな顔を後ろにキャンプ地へ帰ることにしたわ。

 それにしても、なんでアレンはあんなに強くなったのかしら。

 ポーションにそんな効能があるのかしら?

 私は彼自体には魔法を施していないんだけどなぁ。

グローの襲撃も何とか村人が撃退してくれました。

しかし、不可解な現象も目にして何か引っかかったキョーコでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ