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薬草研究部

扉を開くと濃い土と薬品の香りがした。

整理された畑の中に薬草が生えている。町中を歩いてもめったに見かけない植物ばかりだ。

扉に転移魔法がかかっていたからか、気づけばビニールハウスの中にいた。

赤と緑というクリスマスカラーの花に水をやっている生徒がこちらを向いた。

ネクタイの色から一つ上の二年生と分かる。

「あれ、えっとお友達?」

蓬はコクリと頷く

「バレなきゃいいって部長が」

「そ、っそうだったんだ」

明らかに困惑している様子を見ていると、冗談だったのではと心配になる。

「あ、そうだ二年生の鉄原だよ。よろしくね」

一つ上なのは分かるがずっとオドオドしているので心配になってくる。

「みんな花火草を見に来たんだよね、そろそろだから外に行こ」

空になったジョウロを持ち、外に行こうとする。

「あの〜火花草ってなんですか?」

「あれ、春花さんから聞いてないの?」

不思議な顔をした先輩を見て気づいた。我々は一人も今日の薬草研究部で何を行うのか知らないことに。


外に出るとまんまるになりかけた月の下に20人くらいの部員達が真っ赤な花達を咲かせている畑を囲んでいる。

「おや、本当に友人達を連れてきたね」

「はい」

蓬はまたもコクリと頷くがどう見ても部員達しかいない。

「部長の芝浦だ。うちの部活にお客さんが来るのは珍しいよ。見ての通りそこまで部員もいないが、分からなないことがあるなら聞いてくれ」

癖のある緑髪にキラリと光る茶色の目がみえる。

「それでは、火花草ってなんですか」

「あれ、春花から聞いてないのか」

結局、鉄原先輩からも聞き逃してしまった。

コクコクと頷くと、芝浦部長はいたずらっぽく目を輝かせた

「確かにこの草は聞くより見るほうが早い」

ふと、隣を見ると蓬も頷いている。

「さぁ、時間だよ」

そう言って、空に指を指す。


「わぁ‥」

思わず声を上げる。

空には赤、白、黄色などの色とりどりの花火が散っていた。

眩い月の光の中でも、その花火をその魅力を存分に発揮していた。

さっと消えてしまう火の花は儚いがその儚さが美しさを際立たせるのだろう。

気づけば花火は消え、また月の輝く静かな夜が帰ってきた。


「この月花草は少し変わった植物でな、月の輝く夜に火花のような花粉を撒くんだ。月の出る夜に火花を散らすから火花草と呼ばれている。」

「こんなにきれいなら、もっと宣伝したほうがいいのでは?」

明良が疑問を口にする。

「確かにそのとおりだが、この火花草の花粉は魔力増強剤や錬金術の材料、下痢止めなんかに使えるからあまり咲かせられないんだ。だが、来年のために種の回収が必要だから咲かせられるのはこの数本だけってことだ。」

よくよく目を凝らすと火花草の周りに薄い結界が張ってある。確実に受粉できるよう対策しているのだろう。

「それにこの草は貴重でな、不埒な輩が火花見たさに乱獲したり、盗難したせいで絶滅の危機に瀕していたのだ。だから、この花の存在はあまり部員以外に知らせていない。まぁ、君たちはきっと大丈夫だろう」

こっちを向いた部長は少し微笑んだが、目が全く笑っていない。口外しないようよくよく心に刻んだ。


「さぁ、もう夜遅い。片付けはやっとくから一、二年生は帰りな」

忙しそうな先輩たちを尻目に帰路に着いた。


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