第28話 初めてのダンジョン探索
順調なはずの探索が・・・一転してピンチに
ダンジョンの入り口を管理する男性が、私を見ると初めてダンジョンに来た冒険者であると考えたようで声をかけて来ました。
どうやら、私の行動は挙動不審だったのかもしれません。
(少し、ビビッてしまいました)
男性職員:
お嬢ちゃん。一人かい?
カスミ:
はい。一人ですが何か?
男性職員:
得物はその厳つい戦斧だけかい? 予備の武器は持ってるかい?
カスミ:
武器は問題ないので大丈夫です。
ここに冒険者カードを差し込めば良いですか?
男性職員:
ああ。無事に帰って来いよ。
そう声をかけられ私は冒険者カードを手に取りダンジョンへと進んで行きます。
【ランクEのダンジョン】:私が今日から探索する初めてのダンジョンです。
ここは一階層だと思いますが、思ってたよりはダンジョン内は明るいようです。
もっと暗い所でランタンなど灯の確保が必要かと思っていました。
所々、明かりが届かない場所があるので足元注意は必要のようです。
薄暗いけれど、灯が必要なぐらいの暗さではないって感じですかね。
一階層のモンスターはスライムなので、壁や天井から襲って来ることもあるそうなので気を付けながら先へと進んで行きます。
私のダンジョン探索の最初のモンスターはスライムでした。
ていうか、一階層にはスライムしか出ないのでスライムが最初の敵なのは当然です。
逆に、スライム以外のモンスターが出た方が怖いです。
ここでイレギュラーに黒虎出ましたと言って、魔石を売る口実になると良いなと思っていないですよ?
あれから私も強くはなりましたが、まだまだ黒虎に勝てるほどの強さを手に入れている訳ではありませんからね。
まだ勇者の力に頼るしかない私は強くないですから、ここでイレギュラーな存在は勘弁して欲しいです。
今日の私の戦闘スタイルは、長槍を装備して背中に戦斧を背負った格好です。
いつでも長槍を手放して、戦斧に切り替えが出来るようにした戦闘スタイルです。
長槍の刃先でスライムを突っつきますが、あまり力を込めていないのでスライムの弾力に負けて、ポヨンポヨンした感触が手に伝わります。
スライムの体内に目玉のような物があります。
これを上手く突けば倒せそうですが私の力でスライムを貫通出来るかどうかが心配なところです。
「やああ。」とそう叫び私はスライムを槍で突きます。
全力を込めたつもりでしたが僅かに届かなったようでスライムは何ともなっていませんでした。
戦斧でスライムの目玉を狙ってみても同じようにスライムの弾力には勝てませんでした。
長槍でも戦斧でもスライムは平気そうです。
仕方ないので、魔法を使うことにしました。
私は戦斧を背負って、長槍をダンジョンの壁に立てかけます。
周囲に人がいないことの確認をして、魔法を使う準備をします。
カスミ:
光よ。我が敵を貫け 【光矢】
光で出来た矢がスライムを貫くとパシュという音がしたと思ったらスライムが消滅していました。
スライムを倒した後にはスライムの魔石が一つ落ちていました。
私が出した結論は、スライムは物理攻撃(武器で攻撃)は効果がないかもしれませんが、魔法には凄く弱い(多分、どの魔法でも違いはなさそう)
スライムの魔石では稼ぎにはなりません。
ゴブリン亜種やオークやオーク亜種ぐらいのドロップアイテムを得ないと稼げないと思います。
武器を新調に百五十万ゴールドも使ってしまったから手持ちも減って来ています。
スライムは魔法で倒せば簡単なので人目を気にして魔法を使ってスライムを倒しつつ、次の階層への階段を探します。
私は三連発で魔法が使えるから一度に三体までなら同時に倒すことは出来ます。
それ以上の数になると同時にって訳にはいかないですが、しょせんはスライムです。遅れを取るようなことにはなりませんでした。
いちいち長槍を壁に立てかけ、戦闘が終了するとそれを手に取るを繰り返すことが段々と面倒になって来ました。
スライムが相手だから、戦斧は使わないけど、いつでも使えるようにしていれば長槍は歩くのにも邪魔だし、今は必要ない武器としてゴブリン戦までポーチに仕舞っておきます。
少し手が空いたから歩くスピードが上がったように感じます。
早速、二階層への階段を見つけたので二階に降ります。
二階層もスライムのみなので、さっさと三階層への階段を見つけたいところです。
二階層ではスライムと戦闘になることもなく三階層への階段は簡単に見つかり三階層へと降ります。
三階層はゴブリンとスライムですが、スライムがいるので長槍は出しません。
ここも四階層への階段は思っていたよりも直ぐに見つかり五階層へと降ります。
五階層からはゴブリンとゴブリン亜種なので長槍の出番です。
槍術と剣術のレベル上げには長槍と長剣を使わないとレベルアップ出来ないですからね。
長槍が良い武器なのか、槍術レベル5が凄いのか分かりませんが、ゴブリン相手も楽勝でした。
一突きでゴブリンを倒せるところが気持ち良かったです。
たまに、ゴブリンも群れで出て来るけど、槍の一突きは変わらないです。
少し見た目が変わった感じのゴブリンがいる時もありますが影響はありません。
流石に、明らかにデカいゴブリン(大人のゴブリン?)は素早く避けたりするので面倒だったのですが、苦戦することなく倒せるぐらいには私は強いみたいです。
五階層から六階層への階段見つけ降りると六階層は大きな広間になっていました。私の姿を視認したのか「グオオオオオー」と凄く大きな叫び声が聞こえます。
その大きな叫び声に反応するように「グギャグギャ」という声が聞こえ始めました。そう。ここはゴブリンの巣くう集落=モンスターハウスです。
おそらくは、最初の大声がゴブリンキングと呼ばれる存在で、そのリーダー? ボス? の指示に全体が従うって感じで一斉に声を上げたようです。
これ、どうするの?
Dランク冒険者パーティーがどうにか出来る数じゃないと思います。
パッと見で約百体ぐらいのゴブリンの集落に見えます。
ゴブリンキング(集落の長)もいる訳だし、「もう、無理なんじゃね?」と言いたいです。
周囲を見回しても下への階段も見当たらないので、もしかして階段で逃げられるなんてオチもありませんでした。
元々は小さな集落だったけど、ランクEのダンジョンを誰も利用しなくなり、集落が巨大化して誰も手が付けられなくなって放置されてた気がします。
ランクEのダンジョンは、おそらくはクラスチェンジした冒険者がレベル調整する用に利用するダンジョンと思われます。
パーティーを組んでいる冒険者だとメンバーの協力を得て、それ以上のダンジョンでレベル上げも出来てランクEのダンジョンを利用しなくなった結果が、ゴブリンの大量発生を作ってしまったと思います。
仕方ないです。出来るだけのことはしてみるつもりです。
まずは、上の階に上がって準備をします。
戦斧と長槍はポーチの中に入れて、長剣をポーチから出します。
長剣の方がゴブリンを斬るには丁度良さそうです。
次に、クラスチェンジ出来る候補の中から、この場面に合いそうなクラスを検討します。
剣士、戦士、魔法士、火魔法士、風魔法士、水魔法士、土魔法士、光魔法士、闇魔法士、斧士、槍士、魔法剣士、魔法戦士、盾士、聖女の中からどれが適切なのでしょうか。
魔法のスキルレベルの高いスキルはありますが、強い魔法は使えないので話になりません。
強力な魔法で一気に殲滅するという作戦が成立しませんでした。
ここはやはり物理攻撃ぐらいしか思い付きません。
長剣が使えるクラスは剣士、戦士、魔法剣士、魔法戦士の四つのクラス。
魔法で有利に戦えるクラスは、魔法士のクラスのみ。
こんなことが起きるなら、魔法剣士がどんなクラスが調べておくべきでした。
魔法剣というスキルがどのようなスキルか良く分からなかったのでクラスチェンジしなかった訳ですからね。
ポーションx三十本、傷薬x五十個、毒消し薬x二十個が、アイテムポーチの中で保管中のアイテムです。
回復の効果は、傷薬よりもポーションの方が効果は高いので傷薬は気休め程度にしかなりそうにないです。
「私、ピンチです。誰か助けて~」と心の中で叫んでいます(><)
クラスチェンジの候補には【勇者】のクラスはありません。
勇者の力を使わないでピンチを乗り越えろという試練なのかもしれません。
または、ここで朽ち果てる運命なのかもしれません。
幸いにも、ここは五階です。
今なら、ここから逃げて助けを求めることだって来ます。
でも、これだけの数のゴブリンを助けを求めたからといって討伐出来るとは限らないんじゃないかという不安もあります。
もしかすると、Aランク冒険者の力なら余裕で討伐出来るかもしれません。
まぁ、Aランク冒険者の力を知らない私が今ここで何を言っても状況は変わらないんですが(;^_^A
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




