第245話 黒いライオン
つづきです。
久し振りの人前での「かすみ」です。
かすみ:
まだ、この周辺を約二十体の大猪に囲まれているわ。
わたしが今三体を倒しただけで他にもまだ多数のモンスターがこちらに向かって来ているわ。
しっかり体制を立て直さないと全滅するわよ。
ダイチ:
どうして、それを言わなかったんだ。
危険な状況だと言ってくれていれば・・・
かすみ:
わたしは忠告しましたわ。
周囲の警戒が必要ないのか聞きましたわ。
ダイチさんとアレンさんは何と答えましたか?
ダイチ:
だ、大丈夫なはずと答えたと思う。
アレン:
リーダーの指示に従ってくれって言ったと思う。
かすみ:
そうですわ。その通りですわ。
アレンさん。周囲二百メートルの範囲に【索敵】を使ってみると良いわ。
それ以上の範囲の索敵は必要ありませんわ。
アレン:
ああ。分かった。
風よ。我の求めを見つけよ 【索敵】
げっ、まじでたくさんの大猪に囲まれてるぞ。
ダイチ。どうする?
ダイチ:
こんな状況の対応の仕方を俺たちは知らない。
カスミちゃんなら何とか出来るのか?
かすみ:
私なら余裕ですわ。
ジョアンナ:
じゃ~、指示をお願いしても良いかしら?
アリサ:
何かさっきまでのカスミちゃんとキャラが違わなくない?
かすみ:
実を言うとわたしはギルマスから貴方たちを見守るように言われていますわ。
もちろん、出来るだけ手出ししないように自主性を重んじられての判断ですわ。
この状態では一切の怪我無く無事に帰ることが無理と判断したから手出しされて頂きましたわ。
(カスミ):
ちょっとちょっと。かすみちゃん?
人前に出るとどうしてそう攻撃的な話し方になるの?
(かすみ):
それはカスミが甘いからですわ。
ここはわたしに任せて下さい。大丈夫ですわ。
アリサ:
ひょっとしてDランク冒険者というはウソの情報ですか?
かすみ:
ごめんなさいね。【催眠の雲】
大猪の匂いに誘き寄せられている脅威度の高いモンスターたちを見れば、きっと彼らは混乱するか怯えて腰を抜かすと思いますの。
最悪な展開は全員が混乱してバラバラに逃げてしまうことですの。さすがのわたしでもバラバラに逃げてしまうと対応出来ないのです。
だから、青い風の方々には悪いですが眠って貰いましたの。
かすみ:
聖女アンズ様。守りはお願いしますわ。
聖女アンズ:
分かりましたわ。
【守護結界】
これで聖女アンズ様が張った結界で守られるので安心出来ますの。
大猪の群れが襲って来るまでに結界で守れて良かったのです。
かすみ:
賢者アレク様。
大猪の処分をお願いしますわ。
群れのボスが奥に潜んでいるので、それ以外の雑魚をお願いしますわ。
賢者アレク:
おう。分かった。
【光矢・散】
賢者アレク様の魔法によって倒されてしまった配下の恨みを晴らそうとするためか、それとも最後はボスの俺様の登場と言わんばかりの大猪の群れを仕切っていた巨大な大猪がゆっくりと森の茂みから出て来たのです。
予想よりも大きな身体の大猪のボスの登場ですの。
さっさと倒さないとこのボスを倒して、順番待ちしている更に奥にいる脅威度の高いモンスターを誘き寄せなければなりませんの。
事前に得ていた情報では数年前に黒虎が出現したそうなのです。
黒虎なら、わたし一人でなら問題なく倒せるモンスターですが、Dランク冒険者パーティー五人を守りながらは無理ですの。
このままでは大猪のボスと黒虎の連戦になるかもと考えると聖女アンズ様の結界で青い風の方々を守って頂かないと守れそうにありません。
森の奥の方から脅威度の高いと森の主のような存在がこちらへ向かって来ているのです。
黒虎だと良いのですが、未知のモンスターだと村へ被害が出てしまうようなモンスターだと困りますの。
今のところはこちらへ向かっていますが、急に方向を変えて村の方へ行くと大変困るのです。脅威度の高いモンスターは一体ではなく二体もいたのです。
黒虎であれば番の可能性も視野に入れると大猪のボス処のお話ではないのです。
かすみ:
聖女アンズ様。
その状態でわたしへの【身体強化】は可能でしょうか?
聖女アンズ:
大丈夫ですわ。
【身体強化】
かすみ:
では、わたしも【身体強化】
神よ。わたしの名は聖女かすみーる。勇者カスミールの代行者なり。わたしの願いを叶え給え!
カスミ:
えっ? かすみちゃん?
ちょ、ちょっと待って・・・それは無理なの~
かすみ:
そこです。
【神滅の聖矢】
光の矢は森の中へと消えて行きましたの。
かすみに勇者の力を無理矢理使われたので凄く疲れてしまっていました。
カスミ:
ちょっと。かすみちゃん。
無理矢理、勇者の力を使うのは止めて欲しいな。
あれだけでも凄く疲れるんだから・・・
かすみ:
ごめんなさい。
でも、急ぐ必要があったから仕方なかったのですわ。
カスミ:
森の奥のモンスターは二体ともこっちに向かって来ていたでしょ?
それなのに急ぐってどうして?
かすみ:
二体もモンスターはいないですわ。
一体のモンスターが分裂して二体になったというべきかしら。
それも独立した思考を持っていそうだったから早々に倒しましたわ。
カスミ:
えっ? 黒虎でしょ??
そんなことがあるの??
かすみ:
森の奥にいたのは黒虎ではありませんわ。
わたしも本体をこの眼で確認した訳ではありませんが、あれば黒いライオンのモンスターですわ。
カスミ:
賢者アレク様。黒いライオンのモンスターっているのですか?
賢者アレク:
儂には聞いたことがないモンスターじゃな。
タイチ:
黒いライオンのモンスターはいるぞ。
たが、森に住み着くようなモンスターではないはずさ。
それに分裂するようなこともあり得ないと思う。
剣神ジョア:
おい。カスミ。
黒いライオンとやらがこっちに来るぞ。
かすみ:
あれを受けて倒せていないのですか?
それはあり得ませんわ。
剣神ジョア:
そんなのはどうでも良い。
来たぞ。構えろ。
森の中から出て来たのは満身創痍で今にも倒れそうな大きな黒いライオンのモンスターでしたの。
かすみの攻撃を受けたからこっちに来たのか。それとも満身創痍でこちらの方へ逃げて来たのかまでは分かりませんが、止めを刺すだけで終わりそうな様子なのです。
剣神ジョア:
おい。巨乳。
聖女の力をカスミの聖剣に込めてくれ。
私があれに止めを刺す。
聖女アンズ:
脳筋のジョアさんに命令されたくありませんが、これは仕方ありませんわ。
剣神ジョア
天源流奥義 【絶】
剣神ジョア様の奥義にて黒いライオンを倒せましたが、剣神ジョア様や聖女アンズ様には黒いライオンを一目見て直ぐに行動に移りましたの。
もしかするとこの二人は黒いライオンの正体を知っていたのではないでしょうか。
カスミ:
あのう。剣神ジョア様?
もしかして、あの黒いライオンは世界の脅威の因子ですか?
剣神ジョア:
ああ。そうだ。
理由は分からないが、何かの生物の世界の脅威の因子が黒虎を取り込み、あの黒いライオンになったと思う。
世界の脅威の因子が独自に分裂することはないと思いたい。
実際に黒いライオンが二体になっている所を目撃した訳ではないので、これは剣神ジョア様の予想ですが、黒虎を取り込んで、こちらへ来ようとしているモンスターと村の方へと向かおうとしているモンスターの二体に分かれた。
その二体を同時にかすみが【神滅の聖矢】で攻撃したが、こちらに向かっていた一体の方が満身創痍でもこちらに出て来たってことらしいのです。
世界の脅威の因子なので簡単には倒せませんが、【身体強化】で能力値を強化し勇者の力を使っていますから世界の脅威の因子を倒すに十分は力だと思いますの。
剣神ジョア様の攻撃も、聖女アンズ様の聖なる力と勇者の力があれば、中途半端な攻撃にはならないはずですからね。世界の脅威の因子を消滅させるには十分だったと思いますの。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




