第239話 旅路 北部都市ジェルガルード
高速馬車移動のつづきです。
祝)月間10,000PVを超えました。
これも皆様のお陰です。ありがとうございますmm
ここは帝都グランドールを出発して十日目に到着した「北部都市ジェルガルード」というこれまでの街と違って〇〇郡と付かない大きな都市です。
これまで高速馬車で停車していた街の中では一番大きい都市ではないでしょうか。
帝都グランドールからハイグレード豊国との国境までの高速馬車二十日間の丁度中間にあたる位置に北部都市があるのです。
高速馬車で十日目の距離にあたるのです。
高速馬車の運行ルートと交わるように定期便の馬車の運行ルートがある巨大なターミナルみたいになっているのには驚きですの。
グランドワール王国にもありましたが、サラブ領サラブからアルフレン領アルフレンまでを結ぶ定期便と高速馬車が交わる都市ですの。
定期便から高速馬車へと乗り換えが可能な大きな都市なのです。
グランドワール王国では王都グランドワールやサラブ領サラブのようなの大きな都市で乗り換えが行われています。
北部都市という名称から予想も出来ますが、帝国国内の南部にも大きな都市があるのだろうと予想出来ていまえるぐらい安易なネーミングだなと思いましたの。
もしかすると北部、南部、西部、東部と言った感じで大きな都市がグランドール帝国の中心にある帝都グランドールを囲う形であるのかもしれませんね。
定期便と高速馬車が交わるぐらいで巨大なターミナルになるはずがないと思われるかもしれません。
基本的に定期便と高速馬車以外にも馬車の航路はあるのです。複数の馬車の航路が重なり合うことで巨大なターミナルを作り上げている訳。
これまでにも高速馬車が停車するような大きな街もありましたが、その大きな街からも他の町へと馬車が出ています。
何も高速馬車の停車する街というだけの役割の大きな街ではないのです。
帝都グランドールにある冒険者ギルドには立ち寄ることはありませんでしたが、今日は少し時間があるので北部都市ジェルガルードの冒険者ギルドへ行って少しだけどんな依頼があるのか覗いておこうと思いましたの。
グランドワール王国の冒険者ギルドとグランドール帝国の冒険者ギルドは冒険者ギルドという組織では繋がっていますが、管轄する地域が変われば取り扱っている依頼の数が内容も変わって来るはずですの。
これはどこの冒険者ギルドに行っても同じことが言えるはずですの。
だって、海に近い都市の冒険者ギルドの依頼に山の幸の採取依頼があるはず訳ないですものね。
海の近くにある冒険者あギルドには海の近くでしか出来ない依頼や山が近くになる冒険者ギルドには山の近くしか出来ない依頼があるはずですからね。
さずがに、遠く離れた地域まで行って来てみたい依頼は少ないはずなのです。
稀に遠くまで物資の輸送などの依頼があるそうですが、移動する経費を考えると割に合わないので依頼を受ける冒険者さんはいないですよ。
百ゴールドの経費を使って五十ゴールドしか稼げない依頼は冒険者ギルドの方で依頼を受けないみたいな処理もあるようですの。
複数の依頼の同時に達成出来る依頼を一つの依頼だけみて、割に合わないと判断している冒険者さんはいるそうですが・・・
私がどんな依頼があるか掲示板を見ていると女性冒険者さんが声をかけてきました。その女性冒険者さんは北部都市のAランク冒険者の方で新人ぽい私に声をかけたんだとか。
マーガレット:
お嬢ちゃんは、どんな依頼を探しているの?
良かったらお姉さんに話してごらん。
カスミ:
???
マーガレット:
いきなり声をかけて悪かったね。
私はマーガレットという者だ。
この北部都市では少し名が知れた冒険者パーティーのメンバーなんだ。
困っていそうな新人冒険者に声をかけてスムーズに依頼を受けて貰おうと声をかけたのだが・・・
カスミ:
私の名前はカスミールです。
ご心配には及びませんよ。
私が新人の冒険者だったとしてもこんな時間から依頼を受けるなんて考えないのではないでしょうか。
マーガレット:
・・・
カスミ:
私は新人冒険者ではないので一人でも大丈夫ですよ。
北部都市に初めて来たので、この街にはどんな依頼があるのか確認していただけですから。
マーガレット:
そうか。それはすまなかったな。
聞いてよいのか分からないが、良かったら何処から来て何処に向かうのか教えて欲しいな。
カスミ:
私はグランドワール王国から来ました。
ハイグレード豊国への依頼を受けたので向かっている途中です。
マーガレット:
ハイグレード豊国へ向かうのか。
あの国に何かイベントのような依頼ってあったかな?
遠くから冒険者を呼ぶような出来事や緊急の依頼とかも聞いたことがないな。
カスミ以外にハイグレード豊国に行くという冒険者も見かけないしな。
カスミ:
そうですか。ありがとうございます。
特に変わった事情がなくて逆に良かったです。
マーガレットさんはソロ冒険者さんですか?
お一人のようですが・・・
マーガレット:
私か? 普段は冒険者パーティーで活動しているんだ。
今日は遅くなったしまったが、いつもの日課の新人冒険者が依頼の掲示板を見てアドバイス出来たらなと思って新人ぽい冒険者に声をかけていたのさ。
カスミ:
私。そんなに新人ぽく見えますか?
これでもSランク冒険者ですよ。
マーガレット:
え、Sランク冒険者と言ったか?
すまない。Sランク冒険者には見えなかったんだ。
新人のそれも小さな女の子が依頼の掲示板を見ているようにしか見えなかったんだ。
もしかして、攻略の幼女と呼ばれている女性冒険者か?
カスミ:
ええ、他の冒険者さんからはそう呼ばれることもありますね。
マーガレット:
あ、あの攻略の幼女が私の目の前にいる・・・
あっ、握手して貰っても構わないですか?
カスミ:
握手ですか?
別に構いませんが、どうして握手なんか・・・
私が言い終わらない内にマーガレットさんに両手を引っ張られて、両手でそれぞれ握手することになりました。
余程、嬉しかったのか「もう手を洗わない」とか「手袋をした方が良いだろうか」とか「仲間に自慢出来る」とか小さな声でぶつぶつと呟いているのです。
何だか怖い・・・
北部都市ジェルガルードの冒険者ギルドの依頼も珍しいものや緊急の要件などSランク冒険者の私が手を出すような依頼はありませんでしたの。
北部都市から少し離れた村や街まで出向いてモンスターを狩る依頼は何処の町でも珍しい依頼とは呼びません。
冒険者ギルドで出会ったマーガレットさんはAランク冒険者パーティー「花園」のメンバーだそうです。
マーガレットさんはいつもあの時間ぐらいに冒険者ギルドに出向いて依頼の掲示板を見ている新人冒険者さんに声をかけるんだとか。
あの時間に新人冒険者さんに声をかけても意味がないと思うのは私だけでしょうか。夕方から夜に近い時間帯はソロで活動している冒険者さんや冒険者パーティーで活動して依頼を完了させて戻って来るような時間帯なのです。
マーガレットさんが「花園」の活動で依頼を終えて戻って来た時にいる掲示板を見ている新人ぽい冒険者に声をかけているだけなの。
本当に新人冒険者さんにアドバイスをしたいのであれば、朝一の依頼がたくさんある時間帯にどんな依頼を受けようか迷っている新人冒険者さんに声をかけるべきなのです。
花園というAランク冒険者パーティーのパーティーリーダーさんはマーガレットさんでした。
他のメンバーの方に「ガーベラさん」「パンジーさん」「カトレアさん」「ナデシコさん」「コスモスさん」という花の名前の女性が集った冒険者パーティーだったのです。
こんなに花の名前の女性ばかりが集れば「花園」という冒険者パーティー名も肯けますの。
パーティーの半数以上のメンバーがいれば〇ランク冒険者パーティーと名乗れますの。
例えば、Cランク冒険者さんが二人、Dランク冒険者さんが三人、Bランク冒険者さんが一人の場合の冒険者パーティーは六人中三人以上がCランク冒険者なのでCランク冒険者パーティーとなります。
Aランク冒険者パーティーを名乗る場合は半数以上がAランク冒険者であれば可能ですが、花園では全員がAランク冒険者さんなのでAランク冒険者パーティーとなりますの。
一人二人ぐらいはBランク冒険者やCランク冒険者のようなランクの冒険者さんが加わっていることが多いんだとか。
冒険者は常に危険と隣り合わせなので、誰かが怪我して休養中とか意見が合わなくて抜けてしまったとか色んな事情で冒険者パーティーメンバーの出入りは良くあることですの。
花園という冒険者パーティーを全員が女性で、全員がAランク冒険者なんて凄い訳ですの。
誰か一人抜けてもAランク冒険者で、しかも花の名前を持つ女性という限定的な条件をクリア出来る冒険者さんは中々いないのではと思うのです。
北部都市で出会ったAランク冒険者のマーガレットさんでしたが、またいつか何処かで会えると良いなと思う今日このごろです。
それでは、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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