第233話 勇者の力の検証 青の勇者編
これにて第九章は終わります。
【神滅の聖矢】
これが聖女かすみーるが使った魔法ですの。
魔法名から考えても聖女のクラス特有の魔法としか思えませんの。
でも、どこかで上位の光魔法や聖女アンズ様が知っている魔法であって欲しかったと思っていましたの。
聖女アンズ様の「こんな魔法は知りませんわ」という一言で完了してしまいました。賢者アレク様も知らないし、聖女アンズ様も知らない聖女の魔法ぽい魔法と呼べばよいのでしょうか。
呪文や魔法名から聖女の魔法と判断出来るのですが、聖女アンズ様が知らないとはいかに?
聖女アンズ:
私の知らない魔法ってたくさんありますわよ。
全ての魔法を熟知しているようなことはありませんわ。
「神よ」から始まる呪文は神聖魔法や聖女の特有の魔法ですの。
聖女アンズ様のこの一言で、かすみーるが使った魔法が神聖魔法や聖女専用の魔法であると絞り込みことが出来ましたの。
『勇者カスミールの代行者なり。』という呪文も気になると言えば気になる部分ですの。
『神よ。わたしの名は聖女かすみーる。勇者カスミールの代行者なり。わたしの願いを叶え給え!』
普通の呪文では『神よ。術者の名』で始めることが多く、その後に人物の名が入るようなことはありませんの。
普通は使わない「勇者カスミールの代行者」という呪文が加わることで聖女専用や神聖魔法も普通ではないと判断出来る情報と思いましたの。
タイチ:
カスミ。そんなことを考えていないで続きをやるぞ。
カスミ:
えっ? どうして考えないんですか?
タイチ:
結果の出ない疑問だろ?
それならカスミの考察でしかないのさ。
「〇〇だから〇〇だ」みたいな正しい答えを導くことは出来ない。
要は、カスミの推測の範囲で解決するしかない。
魔法のエキスパートのアレクと聖女のアンズの知識にすらない情報を導き出せるなんて素人には無理なのさ。
カスミ:
私は素人?
タイチ:
そうさ。クラスの熟練度はマスターしているが、知識面や実技面では賢者や聖女のクラスのアレクやアンズに敵うはずがない。
ジョアの作り出した「天源流」の流派は剣術系のクラスをマスターしたって身に付く訳ではないからさ。
そうでした。熟練度で技術が上がるけど、それ以上に技術を磨いている人はもっと凄い技術を持っています。
「剣闘技レベル10」が剣術系のスキルの最大なのです。
剣闘技レベル10で剣を振り続ける必要だってあるのです。
青の勇者様が言いたいのは剣闘技レベル10がスタート地点に立った素人と同じって意味なのです。
私自身が有無出した流派もない訳ですし、賢者アレク様や聖女アンズたちと対等に魔法談義や聖女について語り合えないのだから。
能力があっても知識や経験がまだまだ足りないのです。
カスミ:
そう言えば、先程の「続き」って何をするのですか?
タイチ:
あぁ、続きのことか?
それなら、カスミに青の勇者の力を使って貰うんだよ。
僕の勇者の力がどこまであるか分からないけど、カスミなら青の勇者の力を引き出せるはずさ。
その後は・・・
カスミ:
私の赤の勇者の力ですよね?
タイチ:
ああ。そうだ。
赤の勇者の力もどれぐらい出せるか検証しておきたいからね。
可能なら、赤の勇者の力と青の勇者の力を【天地】のような力の出し方ではない方法で考えて欲しいな。
カスミ:
考えてみますね。
青の勇者様の力を使えと言われてもスキル【水神】を限界まで引き出すか。
それとも【天地】のように青の勇者様の力を使うかのどちらかになりそうなのです。
それか・・・いえこれは駄目ですね。賢者アレク様が以前使ったように水魔法に勇者の力を込めるとかって案は駄目そうなの。
純粋に勇者の力ではないですし、私の力だけでは限界まで引き出せそうにありませんからね。
やっぱり、青の勇者様の力を存分に使うには【天地】の青の勇者の力を使います。それに合わせて、青の勇者様のスキル【水神】の力も使おうと思いますの。
カスミ:
空の【青】
【青】は空の力。
そう言いながら青の聖剣を天に向けて指します。
タイチ:
あっ、それはちょっと力を使い過ぎてないか?
凄い力が抜けるような感覚が・す・る。
カスミ:
青の勇者様。
我慢して下さい。
勇者の力を使えば、力が抜けるのは分かってたはずですよ。
【水神】の効果ですが、水なのに雷? と思わせるような天から降り注ぐ竜ような雨を降らせています。
その方が青の勇者様の【色】の効果が発揮出来ると思ったのです。
赤の勇者の力を使った時は【赤雷】だった訳ですが今回は水の竜ですの。
タイチ:
カスミ。勇者の力を使い過ぎてないかい?
カスミ:
そんなに使っているように思えませんが・・・
タイチ:
これまで何度か力を抜かれるような感覚はあったが、これまで以上に凄い疲れるんだ。
何とかならないか?
カスミ:
何ともなりませんよ。
後、少しですから我慢して下さい。
青の勇者様の限界が近そうなので早めに切り上げます。
カスミ:
天源流 【五月雨】
天に刺していた青の聖剣を引き抜いて振るいます。
音とは無数に降り注ぐ水竜が字面に衝突する音。
風は吹いてはいませんが空気が流れ、砂漠の砂が流れる音。
これらの音が聞こえていましたが、静寂が一瞬したかと思うと再び音が聞こえ始めたのです。
もちろん、水竜は消えてしまったので衝突する音は聞こえませんが・・・
タイチ:
カスミ。さすがに力を抜き過ぎではないか?
カスミ:
【天地創造】の時よりきつかったでしょう。
余計に力を使ってしまいましたから・・・
タイチ:
それだと、もっと凄い威力が出せるということになるが?
カスミ:
はい。おそらく可能でしょう。
タイチ:
限界を見たかったんだが・・・
カスミ:
それは身体の負担が大きいと判断したからです。
これでも緑の勇者様を助けた時に使った神の試練よりは数倍の威力があります。
でも、それ以上の力を引き出すのはまだ私の身体では無理なのです。
私の身体が耐えられるように強化される必要がありますの。
身体が大人のような強靭な身体になるか、強い力に影響なく使える持久力みたいなものを身に付けるかです。
某アニメとかで表現される筋肉の鎧みたいなものが備わると最大出力でも耐えられるのかもしれませんが今はまだ無理なのです。
筋トレを始める必要があるのかもしれませんが、そこまでする必要はないと思いますの。
身体がしっかり成長すれば、たぶんですが耐えられる肉体になると思うからなのです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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