第230話 かすみが使った魔法 検証編
本当に??
聖女かすみが使った魔法は、ピカっと光ったらドゴーンという凄い音がしたの。
これではまるでピカドゴンではないでしょうか。
確か、青の勇者様は元の世界の核爆弾のような効果の魔法は作れないし、使えないという制約があると言ってたような気がしますが、私の感覚では間違いなく核爆弾に近い物ではないかと思いましたの。
でも、神が許可した=魔法が行使出来たから問題ないのかな?
タイチ:
それは現象だけだからと思うよ。
核だと放射能とかこの世界には向かない影響が出るけど、あの魔法は誰にマネ出来ないけど、結果は人がやろうと思えば出来ないことではないんだ。
カスミ:
それは魔法の効果が光速や音速などを超えるということですか?
タイチ:
カスミも知っていると思うが【光矢】という魔法がある。
光で出来た矢を放つ魔法だが、矢は光速で飛んで行くんだ。
カスミ:
初級の魔法なのに光速で飛んで行くんですか?
タイチ:
ああ。そうだ。
この魔法は術者の近くに発生した矢はその場で待機するんだ。
術者の指示(命令)があれば目標に向かって飛んで行く。
他の属性の矢の魔法は全て同じ原理だ。
光矢だけはその光という特性で光速で飛んで行くが、他の属性は矢が飛んで行くのと同じ速度だな。
賢者アレク:
儂からも補足しておくと光矢は貫通する矢を放つ魔法じゃ。
魔法の威力は他の属性には少しだけ劣るんじゃ。
カスミ:
それは光矢が最強にならないためですか?
賢者アレク:
そうじゃな。
魔法を使う者が光矢しか使わなくならないようにしているらしい。
カスミ:
「らしい」ってことは、また神ですか?
賢者アレク:
多分じゃがな。
実際に儂らが使ってもそう劣るとは感じられないんじゃが威力は劣ると言われておるな。
カスミ:
貫通するってことは近くに人がいると集団戦では使い辛い魔法ですよね。
賢者アレク:
そうじゃな。
まぁ、初級魔法じゃから射程距離は短いから心配するような結果は訪れん。
上級魔法や上位魔法となると射程距離が延びるので警戒が必要になる。
急に光の矢が飛んでくると驚くじゃろうから仲間が密集している場面ではおいそれとは使えんからの。
カスミ:
ピカっと光ってドンという現象だけなら光魔法を使える術者なら誰でも出来るってことですか?
賢者アレク:
魔法の破壊力を気にしないのであれば・・・という前提じゃがの。
光魔法は魔法の到達速度と貫通力が自慢な魔法じゃな。
火魔法が爆発力と燃焼を自慢しているのと同じじゃ。
確かに、矢の魔法で火矢は爆発し対象を燃やす効果があります。
光矢は貫通力と目標への到達速度が他の矢の魔法よりも優れています。
では、風矢は?
周囲を切り裂く力が他の魔法よりも優れていると言えるます。
それぞれの魔法に優れた点があるのは理解出来ましたが、聖女かすみが使った魔法はどうだったでしょうか? あれは本当に光魔法だったのでしょうか?
ピカっと光ってドンという音と共に衝撃波が届いた訳ですから、光魔法の上位にあたる魔法かもしれません。
勇者の力と私の高い魔力があったから実現出来た?
でも、聖女は魔法を使えないはずじゃ?
タイチ:
聖女も魔法は使えるぞ。
カスミ:
そうなのですか?
タイチ:
聖女というクラスに限らず、人は誰でも魔法は使えるように作られている。
個々に熟練度という見えない数値があって、魔法の熟練度を早く習得出来た者が魔法を使えるんだ。
聖女のクラスに就ける者でも魔法のスキルに目覚めたなら魔法が使えるようになる。
個々によって求められる熟練度が異なるが魔法が使えるようになる条件は誰でも平等なのさ。
青の勇者様が言うには、魔法の求められる熟練度が1000の者と100の者のように人それぞれに熟練度の値が異なっていて、魔法が使えない者は求められる熟練度の数値が大きいからレベルアップ出来ない=魔法が使えないと判断するんだそうです。
決して人は最初から魔法が使えないって訳ではなさそうですの。
ただ、人の人生に於いて発動しない呪文の詠唱を10,000回、20、000回と言った行為が繰り返される訳です。
100,000回も詠唱しても効果がないよりは他のスキルに力を入れた方は効果的だったりするので駄目と分かってても100回ぐらいで諦めるよう指導されるようです。
元々、魔法の才能に見込みがある者には【神の恩恵(ステータス)】でスキルやクラスが発現するので分かり易い目安になるんだとか。
近接戦闘系のスキルばかり上達するのが早い者が、急に魔法使いになるんだと方向転換するようなことでもなけば【神の恩恵(ステータス)】の通りのスキルやクラスを人々は優先するのです。
エルフのような100年を魔法に、100年を武術にとか時間を費やせる存在や青の勇者様を慕う会のように熟練度をジェルスライムによって無理矢理上げるなんて場合を除くと人が100年生きるとしても求められる熟練度の数値が未知数なので死ぬまでに魔法が使えるようになるとは限らないのです。
武器を使えて魔法も使えるという存在こそが恵まれた人ということになるんでしょうね。
私のように多種の武器や色んな属性の魔法が使える人は貴重なのです。
まぁ、私の場合は例外中の例外ですがね。
賢者の一族さんたちに熟練度を稼がせて貰っていますし、勇者とクラスチェンジの関係か一般人よりも熟練度が上がりやすいですからね。
聖女かすみーるが私の能力値やスキルなどをそのまま使えるとなると何だか危険な気もしますが、ここは気のせいということにしておこうと思いますの。
本来なら使える機会のないはずのスキルを使えるようになっているはずですからね。
クラス特性というか聖女のクラスは魔法使い系統のスキルを使えないクラスだったら、さっきのような聖女の力+魔法の力を行使出来るとなると注意が必要なのです。
でも、あれは私の意思とは別にかすみが勝手に行った魔法なのです。
あれ? 何処かで似たような体験をしたような気がしますが・・・
そうです。私の意思とは別に私が行動するのって剣神ジョア様が私の身体を使って戦うのと同じだと思いました。
今の青の勇者様のパーティーは実体がないから私の身体を使う。かすみも私の身体を使う・・・
タイチ:
そうだ。カスミの考えてる通りさ。
魔王ガリアも物造りをする時はカスミの身体を使っている時があるな。
私の知らない所で私の身体を使う?
そんなことがあり得るのでしょうか?
私の知らない所でこんなことが起っているとは思ってもみなかったと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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