第229話 とんでもない魔法
かすみーるも暴走
賢者アレク様の魔法をマネてみるとどうなるのか?
そんな疑問から取った行動が大変な結果になってしまいましたの。
カスミ:
開け異界の門よ。地獄の業炎よ。我の呼びかけに応じよ。炎の神アグニの名において。神炎の力で焼き尽くせ 【神炎の駆矢】
あっ、やば・・・止められない
先程の賢者アレク様が使った【神炎の駆矢】よりも大量の魔力を使った私が行使した【神炎の駆矢】が発動してしまいましたの。
【神炎の矢】は青白い炎で出来た矢の魔法です。
三十センチぐらいの長さで、大きさは矢よりも太いかなと思うぐらいの魔法の矢が目的に向かって飛んで行きますの。
この魔法が上位魔法と言われるのは、青白い炎が高温で赤い炎の魔法よりも強力だからなのです。
【神炎の駆矢】にもなると無数の矢が目標目掛けて飛んで行く訳ですが、私の魔力と勇者の力を吸い上げた魔法は賢者アレク様の使った魔法とは比べ物になりませんの。
賢者アレク様が勇者の力を吸い上げて使っても矢の大きさは約三十センチぐらいで元の魔法よりも気持ち大きい? と思うぐらいで明らかに大きく感じる大きさではありませんでした。
勇者の力を使ってもそう変化が無かったように思いましたの。
ですが、私の魔力と勇者の力を吸い上げた【神炎の駆矢】は、矢の大きさが一メートルぐらいで長さが二メートルぐらいありますの。
これではドラム缶サイズの【神炎の矢】が無数に飛んで行くってことですの。
それは私の予想通りの出来事でしたの。
【神炎の矢】は地面に着弾すると矢が地面に刺さるようなグサが似合う魔法なのです。
少し簡素に表現しましたが、私が使った【神炎の駆矢】がグサどころの擬音ではありませんの。
ドガンとかドンとか重そうなドラム缶がどんどん投げ捨てられた時に発生するような重量のありそうな音なのです。
それも魔力をちょっとだけ加減を間違えたら、こんな結果になってしまったのです。
【身体強化】で魔力も四倍になっているのですが、100の魔力を使おうとしたら1、000や10,000もの魔力を使ってしまったのです。
【身体強化】の効果で160万という私の魔力から100でも1,000でも誤差の範囲なのです。
それが10,000でも然程変わらない魔力の量なので、ちょっとだけ加減を間違えたら大変にことになったのです。
もし、これが全魔力を使った魔法だったと思うと恐怖なのです。
このドラム缶サイズの魔法の百六十倍は最低でもありそうなのです。
【神炎の駆矢】を使わなくても【神炎の矢】一発で十分は攻撃になるのではないかと思ってしまったのは秘密ですの。
学校も校舎のような魔法がドスン、ドスンと降って来ても困りますからね。
多分、ドスン、ドスンでは済まないような気がしますが、ここはそんな想像をしないでおこうと思いましたの。
もし、ドラム缶サイズの魔法を普通のサイズの魔法の形に持っていければ、強力な魔法が出来上がるなんて考えていませんよ?
だって、使用する魔力の値が違い過ぎるのですよ。
人が使う魔法は良くて20、000ぐらいの魔力なのです。私の能力値は40万なのです。
お互いに【身体強化】を使って四倍の効果を得たとしても160万の魔力を8万の魔力にまで抑え込むのは無理がありますからね。
例えるなら、水が限界まで入ったタルに更に水を入れようとしているのと同じですからね。
入らない水は溢れてしまいますし、満杯なのにそれ以上の水を入れようとする行為自体も無意味なのです。
かすみ:
神よ。わたしの名は聖女かすみーる。勇者カスミールの代行者なり。わたしの願いを叶え給え!
カスミ:
えっ?
ちょっと待って・・・それは無理なの~
かすみ:
そこです。
【神滅の聖矢】
聖女かすみが使った【神滅の聖矢】は一瞬だけピカっと光った思うと遠く離れた所で凄く大きな光の柱が立ち上りました。
そして、少し間を置いてから凄い轟音が聞こえて来たと思うと、衝撃波と大地の震動が私を襲って来ましたの。
かすみ:
これは封印しないと駄目な魔法ですね。
聖女かすみがあっけらかんという言葉の意味を理解するには時間が必要でしたの。
これは、後から賢者アレク様から聞いた話ですが、聖女かすみーるは私の能力値をそのまま使えるのではないかと言われ、また聖女のスキルだけでなく私が持つスキルなども使えるのではないかと言われましたの。
それぐらいの力がないと【神滅の聖矢】を放った時の出来事を説明出来ないんだとか。
おそらくですが、聖女かすみが使った【神滅の聖矢】はダンジョンの壁に衝突し爆発したと。
その爆発具合は賢者アレク様が使える最大の魔法でもあり得ないエネルギーを保有していると思われるのだとか。
爆発の規模や使われた魔力の量が尋常では無かったということだけしか分からなかったのです。
それも聖女アンズ様が同じことは出来ないので比べようがないのだとか。
う~ん。凄い力を持った魔法のような聖女の力が使われたとしか判断出来ないのは不満なのです。
確か、タイガの大森林のランクSは、上層は直径五キロの円形、中層は直径十キロの円形、下層は直径十五キロの円形、深層は直径二十キロの円形、最下層は直径二十五キロの円形というダンジョンの壁までの距離は最長は直径なのです。
最下層の情報までしかないので、最深層の情報は私も知りませんの。
ここは百十二階層ですがダンジョンの外周は調べていませんからね。
最短ルートでこの階層まで来たのでダンジョンの壁の最長の距離なんて分からないです。
最低でも最下層の二十五キロ以上であることは分かりますが、これが三十キロなのか四十キロなのかと言った具体的な距離は分からないのです。
最深層だから、他の階層よりも広いなんてあり得ますからね。
ただ言えることは、聖女かすみが使った魔法が凄い威力だったということなのです。
一瞬、光の柱を見たと思ったら、間髪入れずに轟音と衝撃波がほぼ同時に襲って来たのです。
中心地に近い距離に居たか、それともその魔法の威力がとてつもなく凄かったのかのどちらかですからね。
たぶん、百キロには満たない距離なので中心地に近いもあるんだろうけど、賢者アレク様から数十キロも離れた地にそこまで大きな魔法の行使は出来ないと言われたので威力も考えたくないぐらいに凄かったんだと思いましたの。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




