第198話 力加減
緑の勇者様一行の行動は?
おはようございます。今日も元気なカスミールです。
今日の予定は七十七階層の何処かにいると思われる緑の勇者様を見つけ出すことです。
昨夜は十分に寝ることが出来たので救援するには体調も元気も万全なのです。
カスミ:
魔王ガリア様。
お願いしていたように、この七十七階層だけ力の制限の解除をお願いします。
魔王ガリア:
ああ。分かった。
だが、普段と破壊力が違うから力の扱いには気をつけろよ。
カスミ:
はい。分かってます。
力の制限を設定していますが、何処かの漫画やアニメのように力が暴走したり、強力な力を発揮出来るような制限ではありませんの。
特に本来の力を使えないことが負荷となって身体を鍛えるって漫画やアニメなど流行りましたからね。
力の上限が上がったって言えば良いのかな。
リンゴの握り潰すことが出来なかった人がリンゴを握り潰せるようになったってことです。
力の暴走は、思わぬ処で力が制御出来ていないことなので、リンゴを受け取った時に誤ってリンゴがグシャとなってしまったや走ると勢い余って壁にぶつかって壁を壊してしまうとかのことです。
力が十倍になっても力を制御出来る能力があるのです。
カスミ:
界〇〇十倍だぁ(笑)
タイチ:
やると思ったけど、そんなことは出来ないぞ。
ただ力の制限を解除しただけだしな。
能力値の制御は出来ますが、上がってしまっている能力値が高いので力を出した時の影響を気にしなければなりませんの。
大きな岩を破壊するつもりで殴ったとします。力を制限されている時だと岩は割れる程度でしたが、全力で殴れば爆散するって具合です。
全力を出した時のように爆散させずに、力を制限されている時のよりも岩をもっと小さく割るにはどれぐらいの力を使えば良いのか分からないのです。
上手く言えないですが、これは魔法にも言えることですが力加減が分からないので力を出した時の影響が心配なの。
丁度良い具合に使えない場合もあるってことですの。
剣神ジョア:
なあなあ。青のタイチさん。
タイチ:
それは駄目だ。
剣神ジョア:
まだ、何も言っていないのに・・・
タイチ:
ジョアの言いそうなことは予想出来る。
カスミの全力を体感してみたいのだろ?
それもアンズの身体強化とカスミの身体強化の重ね掛けの方だよな?
剣神ジョア:
そうなんだよ。
一度で良いからさ。
この世界の最高の力を体感してみたいんだ。
駄目かな?
タイチ:
駄目だ。
緑の勇者様を探し出す方が先だ。
勇者を見つけても駄目だぞ。
剣神ジョア:
・・・。
やっぱり剣神ジョア様は私の全力を試してみたかったんだなと思いました。
聖女アンズ様からも脳筋と呼ばれるぐらいですから、それもあるなとは思いましたの。
この階層だけが特別仕様かもしれません。これまでの階層では何ともなかったですが、この階層よりも更に下の階層のことまでは分かりません。
賢者アレク様から天眼や探索系のスキルや察知系のスキルや隠密のスキルなども「特定のスキルが使えないようじゃ」なんてことで教えて貰えました。
おそらく、鑑定のスキルも天眼の下位互換のスキルなので使えないのでしょうね。五感を強化するようなスキルは全滅と思っても良いと思いますの。
タイチ:
この階層だけかもしれないが、スキルなどで何が使えないのか各自で確認しておいてくれ。
神が関わって来てるから何が起るか分からないぞ。
カスミ:
はい。分かりました。
探知、察知、鑑定、天眼、隠密、気配遮断など便利スキルが全て封じられていました。魔法、勇者の力、勇者装備、魔道具の類は無事に使えることが確認出来ました。
こうしてみると緑の勇者様と同じ条件でこの階層を攻略してみせろというようなメッセージにも見えます。
それが出来なかったのが緑の勇者様でそのペナルティを受けて捕らわれてしまったと考えることも出来るかなと思いますの。
カスミ:
青の勇者様はどう考えます?
タイチ:
勇者単独でこの階層を攻略しろか。
あり得ない話ではないかもね。
神は世界の脅威を勇者に倒させようとしている。
仮に、勇者に仲間が同行者がいても出した条件をクリア出来るなら問題ないとする傾向があるからな。
カスミ:
緑の勇者様が取って行動ってどう読みますか?
普通に看板に設置されているライトの魔道具を使って進行したってことですよね?
タイチ:
それ以外に考えようがない。
魔性の微笑みのメンバーから案内人のような短縮ルートを知っている者を同行させることも考えられるから断定は出来ないけどな。
カスミ:
案内人は連れていそうにないですけど・・・
タイチ:
それは魔性の微笑みからの情報だろ?
国や冒険者ギルドが動いているのだから、戦力となる冒険者兼案内人となれる人物を同行メンバーの中に組み込まれていれば、別枠で案内人が同行してるなんて言わないぞ。
例えば、魔性の微笑みのリーダーとか戦力であり、案内人としての両方を兼ね備えているからね。
戦闘も出来ないただの案内人の方がランクSの深層は危険と思う。
確かに青の勇者様の言われるように緑の勇者様と同行している冒険者さんの中に魔性の微笑みのリーダーさんがいないとは限らないですからね。
各Sランク冒険者パーティーのリーダーさんが招集されて同行しているっていうのは聞いていますが、案内人兼戦力的な意味の冒険者として参加しているはず?
あの地図に書かれたアドバイスだけでは不安が残りますし、普通はアドバイスに通訳が必要だなんて誰も思わないですからね。
それとも緑の勇者様一行に手渡された地図には私が貰った地図よりも良い物だった確証はない訳です。
同じ物が渡されているとするなら、通訳は必要だと私は思いますの。
所々、良く分からない内容やふざけているのかと思うような内容が書かれていましたしね。
特に「行けば分かる」とかって文字通りの意味だけどライトの魔道具の存在とか地図に書かれたアドバイスだけでは分からない要素をサポートする補助的な役割の人が必要だと思うの。
冒険者パーティーのリーダーさんともなれば自身が攻略担当しているランクSの最前線まで何度も足を運んでいると思います。
ダンジョンの攻略を始めるとダンジョンから出ないで住み着くなんて考えられませんからね。
通信の魔道具があるし、サポート部隊が補給を行っているので住み着こうと思えば出来ないことはないですが、さすがにダンジョンの深層や最下層に住み込んでいるとかあって欲しくありません。
地図や看板が示す通りに進んだ結果、その何処かで何かを間違えたと踏んだ方が自然と思います。
脅威度の高いモンスターに追い込まれてる最中に罠に嵌ったなんて考えたくありません。
また、脅威度が高いと言ってもパルチ山のランクSは他のランクSよりもワンランク低い脅威度のモンスターと遭遇はずなのでベテラン冒険者さんが特にリーダーと呼ばれる冒険者さんが集合しているようなパーティーが歯が立たないなんて考えられませんの。
七十七階層だと脅威度Aのモンスターが出て来る訳だから下層のエリアボスや階層ボスを倒して、ここに来れるような力を持つ冒険者パーティーが苦戦するとは思えませんの。
緑の勇者様やディーネさんもいる訳で敵わないモンスターは考えらないのです。
看板のライトの魔道具の指す方向に向かって進んでみようと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




