第195話 深層 七十階層の安全地帯
安全地帯でお話
森林地帯を歩くこと約四時間。
無事に六十一階層の安全地帯まで辿り着くことが出来ましたの。
こんな感じで森林の中を歩く遠しましたが、モンスターもいないし動物さえも見かけないのに鳴き声だけが聞こえるという不思議な森林を歩くことは違和感しか無かったのです。
何処かで既視感があるなとは思っていましたがエルフル遺跡群のランクSもそうだったなと思い出したぐらいですからね。
そんな訳でエリアボスの部屋のある七十階層まで無事に? 降りて来れました。
ここではエリアボスに挑戦する訳ですが、その前に安全地帯で待機している魔性の微笑みの方々に緑の勇者様の情報を聞く最後の機会です。
カスミ:
初めまして。カスミールと言います。
ゲーテ:
カスミールちゃんだね。
上から報告と連絡が来ているよ。
緑の勇者様の情報と私たちの予想だよね?
カスミ:
はい。そうです。
ゲーテ:
緑の勇者様一行は特に変わった様子は無かったんだ。
エリアボスを倒して進んだと思っていた訳だが、予定の日数を迎えても緑の勇者様たちが来ないという連絡を八十階層のメンバーから聞いて私たちも驚いたぐらいだったんだ。
カスミ:
怪我した状態だったとかはないのですか?
回復ポーションなどの補給が必要って聞きましたが・・・
ゲーテ:
回復ポーションが不足っていうのは間違いないけど怪我した状態で進んではいないね。
きちんと回復してから先に進んだよ。
回復ポーションなどは道中で使ってしまうとここまで届けるのには時間がかかるからね。
カスミ:
ソロとか少数で進むと大人数よりも早く来れると聞きましたが・・・
ゲーテ:
そうはどうだろうね。
中層や下層の前半までなら追い付けると思う。
下層の後半や深層になるとさすがに追いつけないと思う。
カスミ:
上層は二日間で二十階層まで進める。
中層は四日間で四十階層まで進める。
下層は六日間で六十階層に進める。
深層は八日間で八十階層まで進める。
確かソロのような少ない人数だとこんな感じの日程でここまで来れると聞きました。
緑の勇者様一行は最下層の手前まで六十日ぐらいと聞いています。
ゲーテ:
六十日は下層の階層ボスを倒した時点だね。
最下層の手前は深層だからね。
緑の勇者様のお話だから多少話を盛ったんじゃないかと思う。
ここ七十階層までは七十日ぐらいだったはずさ。
カスミ:
緑の勇者様一行って何人ぐらいなのですか?
ソロの十倍の日程って結構な人数ですよね?
ゲーテ:
確か、三十人ぐらいだったと思う。
戦闘メンバーが三パーティーの二十人と荷物持ち兼雑用係が十人ぐらいだったはず。
カスミ:
誰も発見されていないのですか?
ゲーテ:
ああ。そうだね。
七十階層からも八十階層からも探しには出れないからね。
上で聞いていると思うが私たちは動けないんだ。
普通の冒険者さんはランクSの深層をソロで攻略したりはしませんの。パーティーを組んでランクSで活動していますの。
力不足であったり助け合ったりすることで難を逃れることが出来るからなのです。
(タイチ):
それだとカスミは普通の冒険者じゃないと・・・
カスミ:
・・・。
ゲーテ:
カスミちゃん。
どうかした?
カスミ:
いえ。何でもありません。
あのう。迷子になったらどうすれば良いですか?
ゲーテ:
看板の指す方向以外に行ってしまった時のことだね。
時間はかかるけど元の位置に戻る方法があるよ。
カスミ:
それはどんな方法ですか?
もし、迷子になったら真っ直ぐ進むと良いんだそうです。
そうするとダンジョンの壁に到着するのでダンジョンの壁沿いに進んで行くと階層の入り口の安全地帯に到着するんだとか。
何処かで聞いたことのあるような? と思いましたがタイガの大森林のランクSの砂漠の仕組みと同じでした。
砂漠ではダンジョンの壁は目視することは出来ませんがダンジョンの壁はありました。
ここパルチ山のランクSでもダンジョンの壁があって壁伝いに進めば元の位置に戻れるそうですが、深層の階層は広いので結構な距離を歩くことになるんだそうです。
広くても迷子になって戻れないって訳ではないので良かったと思いますの。
ゲーテ:
それじゃ、地図のアドバイス通りに来たんだね。
「行けば分かる」では分かりづらかったでしょ。
もしかして、六十階層のメンバーからライトの魔道具のことを教わらなかったのね?
カスミ:
ライトの魔道具ですか?
何も聞いていませんよ。
ゲーテ:
ライトの魔道具は看板に取り付けてある魔道具のことさ。
小さな魔石でライトが点灯する魔道具だけど、次の看板までの道標になるんだ。
ライトの魔道具が作った光の道通りに進めば迷うことなく次の看板まで辿り着くことが出来るのさ。
小さな魔石だから、魔力が尽きればライトは消えるけど魔石を入れ替えるだけで再度使えるようになるので看板に備え付けているのさ。
カスミ:
ライトが木に当たって木の先に行けないようなことは?
ゲーテ:
ライトは木を通過するから大丈夫さね。
もし、モンスターや動物が触れてしまって看板の向きが変わってしまうことがあっても大丈夫なように設置しているし、私たちも定期的に向きを修正して回ってるからね。
カスミ:
そんな便利な魔道具があったのですね。
知らなかったのです。
目印となる看板もモンスターや動物が出ないような所に設置しているのでしょうね。
だからか、私がここまで来るまでにモンスターや動物に遭遇しなかったのかもしれません。
カズンワールの国境付近の砂漠のようにモンスターや動物が嫌う処置をしている可能性も捨てきれませんからね。
モンスター同士の戦闘や冒険者とモンスターの戦闘などで看板に接触してしまう可能性も考えると多少は方向がズレてしまうこともあるかなと思いますの。
カスミ:
緑の勇者様の行方に心当たりはありませんか?
ゲーテさんの個人的な予想で構いません。
少しでも手掛かりが欲しいのです。
ゲーテ:
特に心当たりはないな。
さっきも言ったけど、迷子になったぐらいならダンジョンの壁まで進めば何とかなるのさ。
ダンジョンの入り口からの報告でも冒険者カードが亡くなったと示していない以上はダンジョンの何処かで生きているってことさね。
それが何処かっていうのは私たちにも分からないのさ。
カスミ:
そうなのですね。
ありがとうございました。
取り敢えずが現地で探してみようと思います。
ゲーテ:
ああ。そうするしかなさそうだしね。
緑の勇者様を見つけ出しておくれよ。
カスミ:
努力します。
今日はもう休みます。
それではおやすみなさい。
ゲーテ:
ああ。おやすみ。
結局のところは手掛かりとなるような情報は得られませんでしたの。
六十階層の安全地帯でも言われていたことなので仕方ないと割り切っています。
明日はエリアボス戦なのでもう寝ようと思う今日このごろです。
それでは、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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