第70話
家へ戻ると調理場へ直行する。
ちょうど昼時でお客さんも入って仕事をしてるので隅のほうを使わせてもらう。
ボックスからエイヒレの塊を出すと
『それは何の肉ですか?』
『これは魚の身だよ』
ルカはえっとした顔になる。
まあ見た感じ肉の塊だもんな。
ゆっくり教えてやりたいが今は急ぐので後で写真を見せて説明しよう。
あまりにも大きいのでヒレを4分割に切って行く。
ぬめりを包丁である程度そぎ落とし、まずは水で洗う。
それでもぬめりは残るので塩もみかお酢で洗うとぬめりは捕れるのでお酢で洗ってぬめりを完全除去する。
次は皮を剥ぐのだがこれがしんどい。
軽くお湯をかけて剥がしやすくして力まかせに剥いでいく。
ここでもう一度洗って最初の準備は終わりだ。
まずは四分の一の量を大きな鍋にいれて、水、酒、しょうゆ、みりん、ネギ、ショウガを入れて煮付けにするためにゆっくり煮込んでいく。
次の四分の一はさらに捌いていく身と骨を分けていく。
この身の部分をみりんとしょうゆに漬け込む。
これを天日干しすればおいしい干しエイヒレができあがる。
お次の四分の一も身と骨を分けていく。
塩コショウで味付けをして小麦を見ずでといたものをころもにして揚げる。
これでエイヒレフライのできあがり。
ソースなので食べるも良し、野菜と共にパンで挟めばエイヒレバーガーが出来ウマい。
最後の四分の一ははヒトクチサイズに切り塩を振り水分を抜く。
抜き終わったら塩コショウで味を付け、小麦と片栗粉を1:1で混ぜたものをまぶしてあげればエイヒレのカラアゲの出来上がりだ。さきほどの捌いてた骨も一緒に揚げる。
筋肉質の身と軟骨骨がとてもウマい!
バーガー用のパンがなかったので、買いに行くのにルカ達に煮漬けてる鍋を見ていてもらう。
パン屋へ行き、バンズっぽいパンを買って帰ろうとしてたらいつもの子供たちを発見した。
向こうもこちらに気づきこちらへやってきた。
『『にいちゃん、こんにちわー』』
『おう、何やってるんだ?』
『お菓子買いに来たのー』
『お菓子か・・・んーお菓子じゃないけどウマそうな物今から作るんだけど来るか?』
『行くー』『食べたーい』
期待に満ちた目に涎がでそうなぐらい口をカパっと開けた子供達を引き連れて家へ戻ってきた。
丁度店も昼営業を終えたので客席に子供達を座らせて料理を仕上げていく。
バンズにマヨを塗り生野菜を盛り付け揚げたてのエイヒレフライを挟んでバーガーを完成させる。
そこへエイヒレカラアゲを添えて子供達やルカとサージャへ出してやる。
食べていいぞと言ってやるといただきますの後に皆がバーガに齧り付く。
口いっぱいに頬張っていたので言葉は出なかったがんーっと唸りつつ笑顔になっている。
ふふふ、ウマいだろう、カラアゲの方もおいしそうに食べている。
俺も食べてみたがやはりウマイ!
アカエイはウマいのに外道扱いされてしまうんだよなー、俺は連れたら喜んで持ち帰って料理したもんだ。
俺はどんな魚だったかを写真を見せてやると、みんなギョっとした顔になる。
『これ・・・えっ・・・横にいるのハジメさんですよね?』
『にーちゃん、こんなでかいの釣ったの!すげー』
『化け物・・・・』
色んな感想を言ってくる。
『ああ、これ釣り上げるのに2時間半もかかってすごく疲れたよ』
『すげー、俺もこんなでかいの釣ってみたい!』
キラキラした目で俺を見上げてる。
さすがにこの大きさのエイは子供には無理だろうがいずれ青物が釣れる場所とか分かれば連れて行ってやりたいね。
『あーなんかおいしそうな物食べてるー!』
キショウとタエさん、そしてワタツミが外から帰って来て俺達が食べてる物を指さしている。
はいはい、作りますよと調理場へ行き作って提供してやると嬉しそうに食べ始めるのだった
食べ終えて子供が帰った後に漬け込んでいたエイヒレをカゴへ入れて風通しがいい所へ置き干していく。
煮漬けもいい感じに煮込めたので晩飯に温めて食べるのがとても楽しみだ。




