第64話
海産店をやる日まで暇となった。
んー釣りもいいけど何かないかなと考える。
新しい料理と言ってもなー・・・それはルカやサージャがやる事だ。
待てよ・・・アレを久しぶりに作るか。
よし材料を探しに行こう
『お出かけですか?』
『はい、ちょっと燻製器が欲しいんですよ』
『ありますよ?』
タエさんがそう言って持ってきてくれたのは簡易燻製器のようなものだ。
燻製チップも紙製袋にたくさんあるとの事だ。
まだ漁師隊にはサバの事伝えてないので材料となるサバを釣ってこよう。
撒き餌を作って先日行った防波堤へとやって来た。
サビキだと簡単に釣れるのだが在庫が少なくなってるしサバは走り回ってサビキ仕掛けをもつらせたりちぎったりするから今日は別の方法で釣ろう。
サバは超獰猛なので目の前にそれっぽいものがあればすぐ食らいつく。
だから撒き餌で寄せてワームというゴムでできた疑似餌で釣ろうと思う。
撒き餌をしばらく放っているとサbが撒き餌にアタックしはじめた。
そこへワームを付けた針を落としチョンチョンとアジングのように誘ってやると、ジーーーーとリールが唸る。
これなら漁師隊にここを教えて大丈夫かな?
入れ食い状態で30分もすれば大きめのバケツいっぱいのサバが釣れた。
家へ戻り20匹をルカ達にフライにでもしてくれと渡しておく。
俺は残りのサバを綺麗に処理して大きな鍋で30分ほど煮る。
煮終えたら身が崩れないように骨から外していき、最後に腹骨などを取る。
そうして準備できたサバの身をまずはチップ多めで燻製していく。
その後はチップを少しずつ切れない程度足して延々と焙乾していく。
『あの・・・そんなに燻すとカチカチになって食べれないんじゃ・・?』
俺が延々と焙乾してるのを見て不思議そうにルカが聞いてきた。
『ああ、これはね鰹・・・じゃなくてサバ節という物なんだよ。カチカチになるまでとにかく水分を抜いていって作るものなんだ。で、カチカチになったらそれを薄く削って出汁を取ったりするものなんだ』
さすがにカビつけとか素人だし出来ない、ただここでは火の燃料代がかからないのでとにかく焙乾でいけるところまで行こうとおもってやっている。
『出汁ですか・・・色んな料理に使えそうですね、できあがったら分けて下さい!』
『ああ、試作品でよければ出来たら渡すね』
サバ節が出来たら魚のアラのお吸い物とか食べたいね~。
その日の結果としては水分が抜けてきて表面はかなり固くなってきているがまだ中は柔らかく両手で掴んで力を入れると曲げれるぐらいだ・・・これは長丁場となりそうだ。
二日目の結果は表面は良い感じだ、指で押してもまったく凹まないし食器などに軽く叩くとカーンカーンといい音が鳴る、曲げてみると曲がるというかまだしなってしまう。
三日目の結果は拳骨をつくって叩くとコンコンと超固い感じだ、曲げてみるとまだしなる感じがするもののかなり完成されてきた気がする。
20節もあるので1節包丁で削って口に入れてみる。
噛むといい感じに味が溢れてきて良いサバ節だ。
ノコギリで3等分に輪切りにしていき中の出来具合を確認すると、端の方は中までで良い感じに固くなっているが身が厚いところはまだ中心部が固まっていなかった。
『んーもう少し焙乾してみなとダメかな』
まだまだだが完成が見えてきたことに喜ぶ俺だった。
翌日は焙乾のセットをすませ少しお買い物だ。
鉋はあるのでそれを元に削り器を親方に作ってもらおうと尋ねた。
俺の悦明をすぐ理解してくれ、鉋があるしすぐに改良できるとの事なので翌日伺うことにし家へ戻る。
四日目の結果はまさにサバ節であり本気で曲げようとしてもしなりすらしない。
完成と言えるだろうがカビ付けができないので念には念を入れてもうしばらく焙乾しておこう。
そして7日間焙乾を続けついにサバ節が完成した。
サバの身から作り上げてるのを知ってる皆でさえ、どうみても木だよねと言っている。
親方の削り器でサバ節を削って行く、始めはサバの身の段差で粉のみだったが削れて平になってくると塊の削り節ができるようになった。
俺はそれらを使い、晩飯におかかおにぎりとアジのあらでつくったお吸い物を提供した。
皆に喰らいつくされまったく余らない結果となったと言っておこう。




