第56話
『あの、もう一つ要望というか提案があるのですが』
『何かな、言ってみてくれ』
王様に促されたので提案してみる。
『今後安定した食材確保の為には俺一人では限度があります。なのでそれ専用の漁師を育成する事を提案します』
『それとしばらくは俺が道具を提供できますが、これも限度があるのでそういった物を製作していく部署もあると後々釣りなどが流行った時にいいですね』
『ふむ、そいった人材の育成も必要となるか・・・』
しばらく考え込む王様。
『よし、ならばまず兵士から10名ほどその漁師になるものを募るとしよう、それらをお前に預けるので訓練してやってくれ、その後そのものらを頭にした下部組織を作り人数を増やしていくこととしよう、どうかな?』
『はい、それで十分だと思います』
『製作に関してはお前の魔道車がそろそろ完成するとブラウンから聞いておるので、それが終わり次第行こうして行ってもらう事とする』
それに頷き了承する。
あー魔道車もうすぐ出来るのか、楽しみだなー、出来上がったら少し遠出して新しい魚を探すのもいいな。
とりあえず話もひと段落し、今日の混雑具合などで談笑していたのだが、王妃様の次はいつやるのかしらという圧にはとても困っってしまったといっておこう。
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しばらくはやる事が無い為まったり釣りなどをし在庫を貯める毎日だった。
その日も釣りでもいこうかなと準備していると、何やら地面を踏みしめる音を鳴らしつつ何かがやって来た。
トントンとノックの後に
『はじめー、お客さんだよー』
キショウの呼びかけに玄関へ向かうとそこにはブラウンさんがやって来ていた。
『注文の魔道車が出来ましたぞ!』
おーついに出来たかー!おれはブラウンさんと共に外へでるとそこには俺の注文通りのT社のHぽい魔道車が止まっていた。
『いかがですかな?注文通りに豪華な内装などはなしで要望された物だけを搭載しスペースを十分のこしております、そして頑丈に設計しておりますのでメンテナンスをちゃんとすれば長年使用も問題なしです』
と、ドヤってくるブラウンさん。
これには俺も大満足で
『最高ですね、ありがとうございますブラウンさん』
いいおっさん風のブラウンさんが、ガキ大将みたく鼻を指でこすりつつ良いって事よと笑顔で答えてくれた。
『さて、それじゃあ次のお仕事の話といこうか、なにやら道具作りを任命されたんだがどういった物か教えてくれるか?』
一通り魔道車の説明を受けた後にブラウンさんがそう切り出してきたので釣り道具を見てもらうために部屋へあがってもらう。
竿、リール、糸、針etcすべての道具をブラウンさんに見て行ってもらう。
ブラウンさんは竿の薄さやしなり具合を確認していく。
『どうでしょうか?』
『ふむ、大体の物は再現できると思います』
おーマジか!
『まずこの竿ですが、魔道車に使ったドワーフ合金を薄くしてやれば再現可能と思われます』
『次にこのリールというものですが、バラして中を確認しないと絶対とは言えませんが、ギヤなどで稼働してると思われるのでこれもドワーフ合金でいけるでしょう』
『糸ですがこのナイロン糸というの似たような物があるのですぐ出来るでしょう、PE糸というのも研究すればいけると思います、このエステル糸とフロロカーボン糸というのは研究が必要でしょうな』
『残りの物も試行錯誤は必要ですがすぐに似たようなものは作れると思います』
これなら漁師部隊がきまったらすぐに稼働は出来そうだ、正直最初は竹とか木の棒でやるしかないと思ってたからな。
話題にあがったドワーフ合金ってどんなものか聞いてみると、決められた材料を混ぜて出来た合金をそういうらしい。
割合は用途にあわせて色々かえると強度とかも変化するそうなので竿のしなりも再現可能。
さすがに高級カーボン竿よりかは若干重くなりそうだがそこは要改善するとのことだ。
俺は一度目の前でリールの全バラをして見せて、エギングロッド、4m振出竿、入門用の安物リールをブラウンさんへ渡しこれらを20SET他色々と発注することにした。
『ふふふ、任せておいてくれ、技術応用とはいえ新しいものを作り出すのは燃えるわ!』
とブラウンさんはやる気一杯に道具も持って帰って行った。




