第42話
ジジジジジ
少し早めにセットした目ざましが鳴っている。
目覚ましを止め窓から外を見てみると雲もなく天気の心配はなさそうだ。
少し脳が覚醒するまでボヘーとし、釣りウェアを着ていく。
ワタツミを起こし、朝ご飯を食べに行く。
タエさんが作ってくれた朝ご飯を頂き、少し早いけので俺だけ玄関へ出て人が集合するのを待つ。
まず現れたのは公園で誘った親子たちだ。
その親子たちの格好は確かに汚れてもよい恰好だ。
簡単に言うならもんぺ作業着と麦わら帽子姿だ。
挨拶を済ませ各自にクマデを配って行く。
次に家から現れたキショウとタエさん。
こちらも同じ用な恰好だ。
聞いてみれば農作業が盛んだからだいたいの人が持ってるとの事。
あとは年に一度お祭りとして王族も参加する田植え大会みたいなのもあるらしい。
ん、てことは・・・?
色々考えてるとパカパカと馬車が2台やってくる。
御者にジンさんが見えるのでビャクがやって来たのかなと思い待つ。
馬車からビャク、白丸が降りてきて、少しして王妃様が降りてきた、そしてやはりというかモンペ姿だ。
『ビャクちゃんがとても楽しそうだから一緒に来ちゃった』
来ちゃったって・・・ああ、お母さん達が緊張して固まってるよ。
王妃様はそんなの関係ないとばかりにその輪へ入って行き今日はよろしくねと挨拶している。
『これで揃いましたので潮干狩り場所へ移動しましょう』
俺がそう言うと
『それじゃあ馬車で行きましょう、これだけの人数なら馬車2台でも行けるでしょ?』
王妃様はどうやらそのつもりで馬車2台で来てたぽい。
色々お話しましょうとお母さん方を馬車へ案内する王妃様。
俺はフォローに行ってやってくれとキショウをそちらの馬車へ、俺、タエさん、ビャクと子供たちでもう一つの馬車へ乗り込む。
白丸とワタツミも乗るかと思ったが散歩感覚で走ってついてくるつもりなのか外で出発を待っている。
10分程度の馬車移動だったがビャクと子供たちは打ち解けたようでキャッキャと楽しそうに話している。
ちょっと来るのが遅かったか潮は引ききってる感じだ。
砂浜に着いた後、先日アサリが掘れた場所あたりへみんなで移動してアサリ掘りを実践してみせる。
『こうやってクマデで数度砂を掘ると・・・はい、こういった物が取れます。とてもおいしい料理がつくれる食材なのでこれをみんなで掘りましょう』
子供たちはもうやりたくてウズウズしているが一つ注意を言っておく。
『海にはいろんな生き物がいます。危ない生き物もいるかもしれません。だからこのアサリ以外は触らないようにね。』
『あとは円状になっている水たまり場所があったらそこには近づかないように、まだいるかはわからないけどそう言ったところには毒をもった魚がいる可能性が少しあるので』
これはエイ注意の為だ。
それらを伝え子供達のほうへ向き
『約束を守れるかな?』
と聞いてやるとみんな頷いている。
『じゃあ貝掘り開始だ!』
俺の言葉で子供たちはすこし広がり貝掘りを開始していく。
お母さん方やジンさん、ジンさんと一緒にきてた御者さんに一緒にやりつつ注意して見てやってくださいと頼む。
さっそくアサリをGETして喜ぶ親子たちの声が聞こえてくる。
廻りを見ればビャクも王妃様と一緒に貝掘りを楽しんでいるようだ。
ワタツミは白丸と駆けっこして遊んでいる。
『さて、俺も掘って行きますかね』
貝掘りを開始する。
休憩を挟みつつ2時間ほど貝掘りをしてると潮が満ち始めてきた。
各自の成果を見て行くとバケツいっぱいのアサリが掘れておりもういいだろうと思えた。
『さて、そろそろ潮も満ちてきましたのでここらで貝掘りは終えましょう』
俺の言葉に子供たちはまだやりたそうだったが
『アサリとは違う特殊な貝をこれから取りに行こうか』
と言ってやると皆頷く。
先日マテ貝がいたところへ移動し周りを確認すると穴がたくさん開いている。
『今度はここを掘るのか?』
とビャクが聞いてきたのでこれを使うんだよと袋へ入れた塩を見せる。
どういうこととビャクが?顔になってるのでこうやるんだよと数個の穴へ塩を入れていく。
少し待ってるとマテ貝がヒョコっと飛び出してきたんでそれを摘まみ引き抜く。
そういえば見てなかったな凝視すると
【名:マテ貝 毒なし 食用可】
よし大丈夫だな。
『やりたい!やりたいのだ!』
ははは、これ楽しいもんな。
ビャクや子供たちに塩をわたしてやると各自穴へ塩を入れて行っている。
ニョキっと出てきたマテ貝をみな一生懸命引き出している。
30分ほどやった所で潮がこの辺りにも満ちてきたのでマテ貝取りも終了。
バケツに入れてたアサリやマテ貝を海水で洗い、綺麗な海水を汲み砂抜きの為再度つけておく。
『どうだ、貝掘り楽しかったか?』
と聞いてみると満面な笑みで子供たちは頷いた。
大人達はそれを微笑ましく見ているが、手は腰をさすっている。
あー潮干狩りは腰痛くなっちゃうよねと俺は思いちょっと笑うのだった。




