第19話
スライム場を後にして家へ帰ってきた。
『おかえりまさいませ、先ほどは急いで出ていかれましたが何かありましたか?』
どうやらキショウは説明もなくゴミを持って突っ走ったみたいだ。
タエさんに先ほどの出来事を話すと納得したようだ。
『では私は夕食の支度にはいりますので』
そういって去ろうとしたので
『あ、夕食に魚を食べてみようと思うんですが、調味料や調理道具を見せてもらえませんか?』
『はい、大丈夫ですよ、ではついて来てください』
との事なのでタエさんに続いて台所へ向かうことにする。
『じゃあ私は仕事を少ししてくるからまた後でねー』
とキショウは去って行く。
台所へ着き調味料の説明を受けると嬉しい誤算があった。
日本にまったく劣らない調味料があった。酢もあったので酢漬けも出来る。
道具もコンロがあり、換気扇もあり問題なしだ。
ただし魚グリルみたいなものはやっぱりなかったので、いつか魚焼きグリルパンとか作製してもらいたいなーと思う。
『いかがですか?』
『ええ、すごく良いです、これなら色々作れそうです』
俺が嬉しそうなのを見て微笑んでいる。
『あとは外へ出ますと昔から伝わるパン焼き窯と七輪などがあります』
えっ、七輪あるの?と俺が驚いていると
『どうぞこちらへ、ご案内します』
と俺が興味持ってると思い案内してくれる。
家の裏手へ回ると大きめの庭が見えてくる。
その端に焼き窯と少し離れて倉庫がある。
倉庫を開けてヨイショと掛け声を掛けつつタエさんが両手で持ち上げて出してきたものはまさに七輪だ。
『昔はこういったものが主流でしたが、魔道コンロの発売であまり使われなくなりました』
『手間はかかりますがこちらで焼くとおいしいんですよね~』
とタエさんが説明してくれる。
『あのそれを使わせてもらっていいですか?』
『ええ、よろしいですよ、炭も倉庫へいっぱいありますからね』
やったぞ、七輪で焼く塩焼きなんで超ご馳走だぞ!
あのアジはすごく脂がのってそうだし煙がすごかっただろうから外で焼いた方が良かったしな。
炭などを出し、使う場所を聞き、お互い夕食準備の為台所へ戻ってきた。
塩を分けてもらい、魚に振りかけ5分ほど放置する。
これをすると魚の体内にある水分が抜けて身が締まり、臭みなど抜けてウマくなる。
魚からでた水分を捨て、魚をサッと水洗いする。
キッチンペーパーで拭き取ればいいんだが、そういったものがなかったので軽く振って水気をとる。
これに再度塩をふれば準備完了だ。
ここで失敗に気づく。先に火入れいておくべきだったと。
裏手へ再度まわり、七輪の元へ行く。
炭を出してて、これ火とかつけるのどうすればと思った。
何かないかなと漁っていると、火元をつくる小枝がいれてある袋に小さな筒状の道具がはいっていた。
何かボタンのようなものがついているので押してみると先端にポっと火がついた。
よし、これでいけるなと火を入れていく。
七輪にいれた小枝がいい感じに燃えてきたら炭を投入する。
しばらくしたらパチパチと炭がやける音が響いて炭が赤くなってくる。
アミもやけて準備万端だ。
さあ、魚を焼いて行こう!




