めっちゃ早口で言ってそう
◇
目が覚めた。
薄らと目を開く。
視界に映るのは、兵装試用室の無機質な天井。
そして輝くような金髪と、二つの碧眼だった。
「……起きた?」
いつになく優しい表情でお嬢さまが言い、僕の頭を撫でる。
その仕草でお嬢さまが膝枕をしてくれていることに気づく。通りでやたら寝心地がいいと思ったよ。
僕は寝起きのぼんやりとした思考に任せて、口を開く。
「……生きてる……」
「ええ。あなたも、私も」
僕は腕を伸ばす。お嬢さまの首を折るために。
しかしその動きは非常に緩慢で、お嬢さまはひょいと躱す。僕の右手は何も掴むことなく、天井の景色をゆっくりと握り潰した。
……どこにも傷一つない。いっそ今までの戦闘が夢だったんじゃないかと思ってしまいそうだ。
だが体に残る疲労感と脱力感、そしてそれを遥かに上回る満足感がそうではないと教えてくれる。
ああ……。
「僕は、負けたのか……」
「……引き分けよ」
「はは……馬鹿言わないでよ。僕はこんな有様で、お嬢さまは敗者を気遣っている……言い訳の余地なく、僕の負けだよ」
「…………」
見誤ったのか。そうかもしれない。
驕っていたのか。そうかもしれない。
強くなんてなっていなかったのか。……そうかもしれない。
ああ、クソ。
妹のために、今ここで、殺さなきゃいけなかったのに……。
「……安心して。あなたが……禍力を宿していること。誰にも言うつもりはないわ」
「分かってるよ……言いふらすつもりなら、とっくにそうしてるだろうって」
「だったら……」
「だけどさ、それをどうして信じられる?」
お嬢さまは強い。そしてクレハのように心を、記憶を共有したわけでもない。
そんな彼女が、仮に心変わりしたら?
お金が欲しくなったら? 僕と敵対したら? 実はただ機会を窺っているだけだとしたら?
そんな妄想めいた可能性が、怖くて仕方がない。
「僕は弱くて、クズなんだ。他人を信じるなんて、そんなこと、出来るものかよ……」
「…………」
「はは、クズでごめんね」
「……いいえ。その気持ちは、私にも少し分かるから」
「……お嬢さまにも?」
意外に思い、聞き返す。
お嬢さまは自罰的な、古傷を庇うような表情を浮かべて、言う。
「ええ。私も……弱いもの」
「皮肉かよ……」
「……そうね。少しはあなたの周りの人の気持ちが理解出来た?」
「ちょっとは、ね」
「それならこれからは自分を貶めるようなことは言わないようにすること。……あなたのこと、ヨゾラは言っていたわ。戦闘の天才だって。その評価に見合った自信を持ちなさい」
僕は顔をしかめる。
先生の過大評価。あの人が死んで、もう聞くこともないと思っていたのに。
「……ほんと、よく知ってるなぁ。お嬢さま、やっぱり僕のストーカーでしょ」
「ええ、実はそう。嬉しいんでしょ?」
「うっせえばーか」
似合わない冗談を言うお嬢さま。僕は悪態をつく。
彼女は珍しく、少しだけ楽しそうに微笑んだ。
はは……誰の真似なんだか。
「……ねえお嬢さま」
「なに?」
「ありがとう。助かったよ」
「……ええ。どういたしまして」
禍力の疼きが消えている。
人間を殺せという本能の昂りが鎮まっている。
あるのは僕がもともと持っていた憎悪だけだ。
「けれど……こんなことをしなくても、あなたはあなたのままでいられたはず。あなたの精神は私が思っていたよりもずっと強かった。だから、見誤っていたのは私も同じ。……謝るわ」
「いいや。いいよ。だって、これで僕は万全の状態で戦える。相手は異界の主だ……その差はとても大きい」
「……そう。だったら、取り消すわ。貸し一つね」
「それ、正直増えすぎててもう訳分かんなくなってるんだよなぁ」
うん、やっぱ殺そ。死人に口無し、踏み倒してしまうのが一番早い。
だが……どうやらそれはこの場じゃ難しいようだ。
いつか、僕がもっと強くなって、準備も整えて。それからだ。この怪物を倒すのは。
「……今、どれくらい経ったの?」
「時間凍結を解いて、大体一時間程度よ」
「そっか……なら汐霧たちを迎えに行かなきゃだね」
「無理はやめなさい。指を一本動かすのも辛いくせに」
「そうだけどさ、いつまでもこのままってのはお嬢さまに悪いよ」
「……そう思うくらいなら最初からしないわ。いいから。余計なことは考えないで、今は休むの。その顔じゃ悪戯に心配させるだけよ」
「はは、確かにそういうの取り繕う余裕ないけどさ……」
ここは素直にお言葉に甘えた方がよさそうか。
「じゃあ……悪いんだけど、もう少しこのままで……」
「……。ええ」
目を閉じると、お嬢さまの手から伝わるひんやりとした心地よさだけが残る。
……どうしてだろう。お嬢さまは敵なのに、酷く落ち着く。そして懐かしい。前にもこんなことがあった気がする。間違いなく初めてなのに。
……この既視感こそが、お嬢さまが僕を気に掛ける理由へと繋がるのだろうか。
そうだったら……その正体は、一体……。
…………。
◇
十分も休めば歩いてへらへら笑うくらいは出来る程度に回復できた。
お互い血塗れで衣服もズタボロだったので、お嬢さまは自室の、僕は休憩室のシャワーへと。ついでにお嬢さまの言伝で、僕の着替えも用意して貰えた。
そんなこんなで汐霧と合流出来たのは、それから更に三十分も後のことだった。
流石に待たせ過ぎたらしく、汐霧はとっても機嫌が悪そうである。
「……那月さんと何してたんですか?」
「あー、試作武器のテストをね。今回のお駄賃代わりにさ」
「着替えてるのは?」
「ちょっと僕がミスってさ、血とか出ちゃったから。ちなみに今着てるの、これいくらくらいだと思う? やばいよ。目ん玉飛び出るよ」
「……二人きりで消えて、私たちには言えないようなことをして、シャワー浴びてて、やたらと疲れ果てていて……ふーん、そうですかそうですか。人を待たせておいて、随分いいご身分ですね?」
ジトッとした目を向けられる。うわ、結構キレてるなこれ。
しかしそう取られるか。つくづく信用ないなぁ僕。
「いやいや、お前が思ってるのとは違うから……僕とお嬢さまはそういうのじゃないって。分かるだろ?」
「どうだか。遥は那月さん相手だとすーぐデレデレしますし」
「デレデレって……んなことないだろうに」
別に彼女を特別扱いしてるつもりはないし、実際してない。と、思うんだけど……。
「そーうーなーんーでーす。言っときますけど遥、私と那月さんの扱い月とすっぽんですからね。絶対口調荒くなったりしないですもん。もしかして自覚なかったんですか?」
「あー、ごめん汐霧。また帰ってから聞くよ。それよりクロハは? まだ武器見てるの?」
「……とっくに選び終わってますよ。今はシミュレーションルームを借りて練習してます。クロハちゃん、遥に相談したがってたのに私と二人だけで決めたんですからね。誰かさんがいなかったせいで」
「ごめん、ごめんって。埋め合わせはちゃんとするからさ」
「後でクロハちゃんにもちゃんと謝るんですよ」
「そうだね。ありがとう」
ちょっと今こいつの小言と真摯に付き合えるだけの体力がない。未来の僕にぶん投げよう。
ぷりぷり怒りながらな汐霧の案内に従って上階の一室を訪れる。先ほどの試用室と同じく真っ黒な塗装の部屋の中にクロハがいた。
クロハは何かを構えているようだが、僕の位置からではイマイチよく見えない。かなり大きいようで、ナイフや銃の類ではなさそうだ。
僕は近づいて、声を掛けた。
「おーいクロハ」
「あ、ハルカ。そっちの用事は終わったの?」
「一応は。それより武器決めたんだってね。何にしたの?」
「……怒らない?」
「多分。見せてみ」
「……これ」
おずおずと差し出されたのは――大型のチェーンソーだった。
そう、まるでクレハがかつて使っていた【血塗れ女】のような……。
「……へえ」
「その、銃やナイフの方がいいっていうのは分かってるの。私は弱いから、もっと単純に強い武器を持つべきだって」
「そうだね。それに、チェーンソーは武器としては微妙だ。秘匿性は低いし取り回しは悪いしメンテは大変、ついでに使い方もただ振り回せばいいってもんじゃない」
「…………」
「まぁ、その辺がちゃんと分かってるならいいんじゃないか?」
「え?」
意外、という顔。僕がこんな簡単に許可を出すとは思っていなかったらしい。
確かに戦闘の基礎が備わっていないクロハに、チェーンソーなんてピーキーな武器は難しいと思う。慣れるまで時間も掛かるだろう。だけど……。
「だってそれが一番使いたいんだろ?」
「……うん」
「じゃあそうすればいいさ。ただでさえ殺しなんてガン萎えする用途の道具なんだ。ならちょっとでもテンションの上がるものを使った方がいい」
武器なんぞ殺せりゃなんでもいいのである。その辺言ったら僕だって鋼糸っていうまともじゃない武器から始めたし。
「ただ、工業用とかだと流石にあれだからちゃんと戦闘用のをオーダーメイドして貰おう。ついでにお前用の装備も揃えないとな。服とかブーツとか」
「あ、ありがと。……ゴシック調に出来たりする?」
「多分出来るけど、アウター用のを別に準備しとけよ。すぐ引っかかってビリビリになるからな」
そうなると全身装備を二着、いや予備を入れて三着は買っておくか。
クロハのサイズが売ってるとは思えないし、オーダーメイドともなれば流石に無料は駄目だろう。えーと、いくらくらいになるかなぁ……。
脳内で算盤を弾く僕を置いて、汐霧がクロハにウキウキと話掛けている。
「じゃあ次は副武装ですね。クロハちゃんは何がいいんですか?」
「……ちっとも思いつかないわね。選び方とかあるの?」
「主武装の弱点を補うものを選ぶのが一般的ですね。ね、ね、拳銃とかどうですか? 強くてかっこよくて便利ですよ」
「でも……拳銃ってあまり強くないのでしょう?」
「―――は?」
「「ヒッ」」
あまりの殺気に僕とクロハは抱き合って震える。あらやだこの娘阿修羅みたい。
ガタガタ震える僕らを前に、汐霧は自前の拳銃を取り出してゆー……っくりとスライドを引いた。ガチンッという初弾装填の音。反射的に背筋が伸びる。
汐霧はその銃身でぺちぺちと僕の頬を叩く。恐怖で半泣きの僕へとにっこり笑いかけ、言った。
「遥。拳銃、強いですよね?」
「……その、そう言いたい気持ちは山々なんだけど……正直……」
「ん?」
「……あ、扱いが難しいのと……繊細なのと……継戦能力が低いのと……火力が出ないのに目を瞑れば……つ、強いんじゃないかなぁ……?」
「教育」
ズガンッ! と耳元で音がした。轟音に僕はひっくり返る。僕何も悪くないのにぃ……。
と、携帯の振動音。取り出して見てみると咲良崎からメッセージが来ていた。
『ユウヒは銃マニアなんでディスっちゃだめですよ』
……なーる。
「――いいですか、二人とも。拳銃は文明が編み出した最強の戦闘兵器です。遠距離では一方的に攻め立て中距離では機動と合わせて無限の攻め筋を作り近距離では格闘と絡めて必殺の一撃となり得ます。オプションで秘匿性は高められますし軽量故に機動性を損なうこともなく魔法との相性も最高です。弾切れは専用のベルトを改造して装着すれば大きなものでも500発は持っていけますし弾詰まりも汐霧秘伝の方法を使えばまず起きません。火力が足りないという問題点は最近ついに実用化された弾薬プリンターを使うことで砲撃弾、衝撃弾、氷砕弾、灼熱弾、化学弾のような多様な弾頭を必要な時に揃えることができるようになったため解決したと言っていいでしょう。確かに慣れるまでは安定した運用は難しいですしサブウェポンとして信頼できないかもしれませんがそんなもの慣れればいい話ですなんなら私がつきっきりで教えますよ。一週間もあれば飛んでくる弾丸を撃ち落とす程度はできるようになります保証します。何よりかっこいいでしょうフォルムも機構も名前も全部。例えば私が好きな拳銃の名前ですがピースキャリアーって言うんですよ最高じゃないですか語感とか意味とか。ピースメイカー、ピースキーパーは知ってますよね? そのピースシリーズの五年前に出た最新作なんですけどニューヨークからの空輸中パンドラに落とされたせいで東京に入ってこなかったんですよ。思えばあの時ですねパンドラに明確な殺意を抱いたのは。話が少し脱線しましたけど他の武器にないかっこよさが拳銃の魅力だと思うんです私は。ナツキ社のですとそうですね、フィオナシリーズは白や蒼が基調の落ち着いたデザインで見る人によって女性的か男性的か意見が分かれる芸術品とすら呼ばれる名銃で」
「ハルカ、ハルカ」
「ん、なに?」
「オタクって気持ち悪いわね」
汐霧は死んだ。
即死だった。
「ぴ」と言い残して石化した汐霧を放置して、話を本題に戻す。
「……まぁ、裏択としてはなしじゃないと思うよ」
「裏択?」
「さっき汐霧も言ってただろ? セカンダリはメインの補助、ないし意表を突くようなものにするのが定石だって」
例えば僕の鋼糸もそうだ。
格闘による超近接戦の裏択として、中距離かつ範囲攻撃が可能で応用力の高い鋼糸が機能している――まぁ、後付けなんだけどさ。
汐霧の拳銃もそうで、僕はナイフと拳銃どっちが表なのかは知らないが、やはり互いの短所を上手くカバーした装備選択だと思う。
「チェーンソーは破壊力、切断力に優れるから大型の敵なんかには有効だけど、逆に小回りの効く……それこそ汐霧みたいなの相手だったら不利を背負うよね? そういうのを補ったり分からん殺し出来るっていうのが裏に求められる要素かな」
「……ナイフとか?」
「うん、そう。他にも近接を切って狙撃銃を持つとか、靴やグローブに何か仕込むとか、もしくはチェーンソーそのものに仕掛けを作るとか。こればっかりは試行錯誤が必要だから、おいおい考えていこっか」
「そうね、そうする」
どうも汐霧は拳銃使いを増やしたくて暴走しちゃったようだが、冷静になればきっと納得してくれるはず。いくら何でもそこで駄々こねるような奴じゃない。はず。多分。
正直なところ、拳銃なんてマイナー武器だからなぁ……魔導銃じゃない拳銃は魔力資質のない者が使う武器みたいなところがある。近年は超音速弾頭が主流になってきたとはいえ、最低でも亜音速機動が必要な魔導師の戦闘じゃ全然当たらんし。
ちなみに魔導銃は難易度がそこらの魔法の100倍はキツいからメイン専用だ。あんなもんサブでぶっ放せるアリスがイカれているのである。
「ちなみにお前は何か使いたい武器とかあるの? チェーンソー以外でさ」
「あるけど……ハルカは絶対笑うもの」
「その前振り笑うか滑るかの二択になるからやめた方がいいぞ。言いたくないなら別にいいけどさ」
「……こういうところでちゃんと聞いてくれるのが甲斐性ってサキが言ってたわ。ハルカはどう思う?」
「貴様は世界で一番お姫さまか?」
くっそ面倒くせえなコイツ。
「で?」
「……その……鋼糸と……銃を……」
「ごめん前言撤回。可愛い奴だなお前」
「え……? え?」
汐霧の気持ちが少しだけ分かった。
これは確かに嬉しいね。
とはいえ鋼糸も銃も難しい類の武器だ。習熟するまで時間がかかるし、何よりチェーンソーと効果的に絡ませるのは至難だろう。
いっそサブのサブとか持たせるか? でもあんまりたくさん持ち過ぎると武装の切り替えに意識のリソース割いちゃって反応速度落ちるんだよな。表含めてせいぜい三つくらいが限度だろう。
しかし、そう考えると汐霧って凄いな。あれだけ多くの武器を使い分けながら超高機動戦が出来るんだから。魔力操作といい才能の塊みたいな奴だ。
……僕の周りやべえのしかいねえなあ……。
「ど、どうしたの? 目が虚ろよ……?」
「……。それはそうと、武器どうしようか。鋼糸と銃……うーん……」
「チェーンソーを複合武装にするのは?」
「あ、それいい」
キメラとは読んで字の如く、複数の武器を合体させた武装のことである。
超絶大雑把な例で言うなら、銃剣付き狙撃銃とか。あれを内部機構として盛り込む感じだ。
だがその分武器としてはアホみたいに複雑で、図面を引ける者すら限られるほどだ。当然僕に描けるはずもない。
しかし目の付け所は悪くない。それなら比較的簡単にチェーンソーと併せられる。クロハやるなぁ。
……うん? いや、今の声クロハだったか?
「ってお嬢さまじゃん。いたんだ」
「その子の副武装の話?」
「その通り。お嬢さま、ナツキの職人さんに渡りつけてくれるの?」
「今は全員忙しいわ。無理に頼めば受けてくれるでしょうけど……」
「ああうん、大丈夫。そこまでしてもらうわけにはいかないよ」
キメラを作れるような人間が暇なはずもない。なんなら年単位で待つ必要があるだろうに、お嬢さまに無理をさせるのは違うだろう。割り込みは良くないことだしね。
「けれど当てならある。あなたさえ良ければ紹介するわ」
「十分過ぎるよ。ありがとう。でも殺すからね。ごめんね」
「いつでもどうぞ。……貴女、名前は?」
「……ク、クロハ」
屈んで視線を合わせるお嬢さまに対し、ガッチガチに緊張するクロハ。そういやさっきから一言も喋ってなかったな。
「そう。いい名前ね」
「あ、ありがとう……あなたは?」
「私は那月ユズリハ。『お嬢さま』以外なら好きに呼んで」
「分かったわ。えっと……ユズリハ」
「ええ、クロハ。……遥に似ず、いい子ね」
「(コロッ)」
あ、落ちた。
目にハートを浮かべてぽーっとしてる。
まぁ正直気持ちはよく分かるけど。
「それでお嬢さま、こっちに来たってことはそろそろ?」
「そう。そろそろ時間よ」
「じゃあはい、これ。購入決めたものをまとめたやつね。おーい、汐霧」
「……きもちわるい……きもちわるい……きもちわるい……」
見たらなんかさめざめと泣いてた。どんだけショックだったんだ……とも思ったがそもそもコイツ割と涙腺カスなんだよな。さもありなん。
しょうがないので【インスタントスタンガン】を発動。ズバチッ、と腹にちょっとだけ触れる。
「お゛え゛ッ!?」
「起きた? もう帰るから、お嬢さまに欲しいもの伝えといてね〜」
「……っ……っっ……は、はい……」
小刻みに震えながらも汐霧は銃の名前がびっしり書かれた紙を差し出した。コイツも筋金入りだな。
キメラを作れる人とは近いうちに話を通しておくとのことでこの日はお開きとなった。
咲「あの子銃の話になると早口になるの気持ち悪いですよね」
クレハ「よしなよ…」