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偽りの姫と陰  作者: 白兎
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義妹と私

 私はもう疲れてしまった。誰かに愛されたいと思うことに…。私が何かを頑張ってしても、それはすべて義妹がしたことになっている。義妹は皆から愛されている。私に向けられるのは侮蔑や嫌悪といった負の感情だけ…。いつから歯車は狂ってしまったのだろう。

 母が生きていた頃は幸せだった。それはごく普通でありきたりの幸せだったけど。他人から見れば、「それのどこが幸せ?」と言われたとしても私にとってはそれが唯一にして最高の幸せだった。

 母が亡くなった後も母が亡くなったのは悲しかったが、まだ父がいたから耐えられた。しかし、父が再婚したことによって私の運命は大きく変わってしまった。

 義母には娘がいて、かなり可愛がっていた。だから、父も新たに出来た義娘を可愛がった。そして、私にも仲良くするように言った。私もなんとか仲良くなろうとした。だけど、それが間違いだった。今思えば、私はあの時、父から離れるべきだった。

 義妹は根っからのお姫様気質だった。すべてにおいて一番でないと気が済まないのだ。その上、自分以外の人に愛情を向けられることを嫌った。そんな我が儘で自分勝手な理由で私は義妹に嫌われ、家族にも嫌われるようになった。

 最初はいつか気づいてくれる。努力すればまた愛してもらえる。そう思っていた。それに家の中で我慢していれば、平気だった。外では、普通に接してもらえたから。友達がいたから、それが支えになっていた。

 だけど、義妹は家の中だけでは物足りなくなって、外でもお姫様扱いをされたがるようになった。義妹はいわゆる美少女というやつだった。だから、男子にはモテていたが、私の友達は義妹より私と仲が良かった。

 とうとう、義妹は私を孤立させるべく、動き出した。ある時義妹は自分の持ち物が無くなったと騒いだ。その時、義妹の取り巻きの男子が言った。

「あいつが捨てるのを見た」

「お義姉ちゃんが私を嫌いなことは知ってたけど、ここまでしなくてもいいでしょ!?」

そう、私は濡れ衣を着せられた。その上皆、泣き出した義妹に同情し、私を責めた。

「私はやってない。信じてよ」

そう言っても誰も信じてくれず、その日から私はいじめられるようになった。

 だから、私はなるべく義妹から離れようとした。だけど、義妹は私に親しい人が出来るいつも邪魔をし、いつも私は孤独だった。それなのに、義妹はありもしない噂を流し、さらに私を苦しめた。

 私はよほど世界に嫌われているらしい。体調を崩すようなった私は病院に行くと、大病にかかっていた。手術が必要らしい。だけど頼るような人もいない私は治療を拒否した。

 その頃、義妹の方にも変化があった。あれだけ、お姫様扱いされていた義妹の周りから徐々に人がいなくなっていた。はめた相手が悪かったらしく、とうとうボロが出て、義妹の本性がばれたらしい。

 父やかつての友達が私を探しているらしい。でも、もう手遅れだ。私の心はもう壊れてしまった。今さら何かをされても、もう無理だった。私が望んでいることは、楽になることだけだ。そして、その時はやって来た。ああ、やっと楽になれる。そう思い、私はこの世から去った。

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