肯定-エンペラー-
ども、かつどんです。
今回から数話かけてレースの過去編です。
afterの方と同時に投稿してますのでそちらもよろしくお願いします。
少し昔の話をしよう。
いつの話かと言えば、一の大侵略があった4年前の話だ。ちょうど須奈が粉師の力を手に入れる一年前になる。
その4月、高野園 平岩、のちにエンと呼ばれる男子中学生はいつも通り登校していた。
エン「今日も電車は満員だな~」
女性「ちょっ、この人痴漢です!」
エン「へっ?あぁ…」
そしていつも通り痴漢呼ばわりされていた。
いつも通り、そうこれは初めてじゃない。
入学式の時も…
エン(今日から中学生かー、と言っても中学生は小学校からそのまま進学だから今まで通りなんだろうけどね、でも電車は混んでるなー)
女性「この人今痴漢しました!」
エン「は?」
ってな感じで刑事沙汰となった。
そこから一週間登校不可だった。
だが問題は登校してからだった。
みんなは痴漢の冤罪となった人物がクラスにいたらどうするだろうか?
しかも根暗な奴だった場合だ。
エン(まぁ、入学以来こんな感じで二週間連続で学校に通えたら長い方だったね)
そして今日も彼は捕まった。
エン(やってないって否定しても絶対に誰も信じないから言わないけど、僕はやったとも言わない、でも必ず僕はやったことにされる、僕は悪にさせられるんだ)
だが彼は未成年のため、逮捕はされない。
しかしそれでも周りの目は変わる。
エン(僕が悪だって決めつけられてるんだ)
つい先日では電車から降りた後に隣の車両に乗ってた女性から痴漢呼ばわりされた。
流石に冤罪だってことが証明されたけど。
でも何で僕だけこんなに痴漢呼ばわりされてるんだろう。
エン(痴漢なんて僕には何の得も無いのに)
そんな僕は学校でも友達はいない。
いや、一人だけ少し話す友達と言っていいのか分からないのがいるけど…。
取りあえず僕は一週間自宅監禁ってことになった。
まぁ、少し慣れた物だし、痴漢呼ばわりなんていつもの事だ。
女子「痴漢君また捕まったらしいよ」
女子「ほんと最低よねぇ」
女子「顔だけじゃなく性格もガチできもいじゃん」
女子「………」
まぁ学校でこんな事言われるのも仕方ない。
一人だけ無言で頷いてる女子もいるけど、その人はあのグループの中でもよく傍観してる人だ。
実は同じ電車で通ってたりするけどね。
エン(しかしクラスメイトの名前全然覚えてないな)
流石に三年になって初めての登校なんだから仕方ないでしょ。この学校のクラスだって10組まであるんだしさ。
そんなこんなで僕が登校してから三日が経った。
なんと三日も痴漢呼ばわりされていないのだ!
そんな三日目の帰り道、全ての始まりが起きた時間。
エン(ん?なんか走ってくるな)
いつもの電車から降りて家に向かう道。
僕は百メートル先に黒い何かが走ってくるのを見つけた。
エン(ああ、犬か)
走り方からして犬だと判断出来た。
大型犬、黒い毛のラブラドールレトリーバーだろうか。
しかしなんでそんな大型犬が一匹で道路を走っているんだ?
エン(野良犬だろうか?)
そんな大型犬が走ってくるが、僕のことはどうせ避けるだろうと思って、特に避けることはしなかった。
「みつけた」
エン「えっ?」
僕の目の前まで来た時、なんか声が聞こえた。
そして、
エン「うわっ!」
黒い犬が襲いかかって来た。
いきなりのことに僕は避ける事が出来ず、目を閉じて犬の飛び付きをまともに受けた…受けるはずだった。
エン「?」
黒い犬が飛びついて来たはずなのだが、感触が一切無かった。
エン「………」
恐る恐る目を開ける。
エン「ひぇっ!」
すると目の前に真っ白な髪の男性、そして日本刀の刃先がこちらに向けられていた。
白髪の男「ちっ」
白髪の男は舌打ちをした。
エン「………」
な、何なんだ?
エン(白い…)
その男の髪を見て誰もが思ってしまう事を思った。
外国人だろうか?いや、それにしては顔は日本人っぽい、韓国人や中国人の可能性もあるけど、どちらにしろ染めないで白髪は少ないだろう。
では黒の色素が作れないと言う病気の人だろうか、いや顔は白人とは言えない、白いのは髪だけだ。
では、髪が真っ白になるほどのストレスを受けたか…
白髪の男「ちっ」
白髪の男は再び舌打ちをして、刀を下ろした。
エン「へっ?え?」
そして後ろを振り返って住宅街の裏道へと入って行った。
エン「いや、マジで何だったんだよ」
正直な気持ちを独り言で発したが、誰も聞いていない…はずである。
その日はそれ以降何もなく家に帰った。
堂土「あ、兄さんお帰り~」
エン「ただいま~」
俺には弟がいる。
弟は友達と毎朝待ち合わせしている様で、僕より一本早い電車に乗っている。
そのため僕が痴漢の冤罪になった所はまだ見られてない。
エン「ねぇ聞いてよ、今日帰り道で殺されかけたんだよ」
堂土「やっとか!」
エン「え?」
と、こんな感じで何気ない兄弟の会話をした。
堂土「兄さんの不幸もやっと命を狙われるまで行ったんだなって」
エン「不幸しかなく死ぬのは勘弁だな、でも僕を殺せたはずなのに、その直前で見逃されたんだぜ」
堂土「こいつは俺が殺さなくても死ぬだろってことかな?」
エン「しぶとく生きてやるよ」
堂土「それはそうと兄さんのそれって最近流行りの失踪と関係あるんじゃない?」
エン「失踪?でもあれって一週間くらいで帰ってくるんでしょ?」
堂土「それが近頃帰ってこない失踪もあるらしいよ」
エン「なにそれコワイ」
最近の失踪事件、急にいなくなるが、一週間後には帰って来る。
その間何をしていたのかを聞いても絶対に答えないらしい。
それと僕が今日出会った白髪の男性と何かあるのだろうか、またはあの黒い犬と関係があるのだろうか。
でも、俺みたいな一般人が考えたって意味無いか。
エン「犬…あの黒い犬はどこに行ったんだ?」
僕がその日の夜、布団の中で呟いたのはあの犬の事だった。
完全に僕に飛びつく様に飛んで来たのに僕には何も無かった。
もしかしたら黒い犬が白髪のあの人に変身したのだろうか?
あー、ってことはあの人は人外なのか?
って何考えてるんだろ僕、犬なんだから僕に当たる直前に身体を捻らせて逃げて行ったに決まってるじゃん。
「犬じゃないぞ」
あ、犬じゃないんだ。じゃあなんだろ、アライグマ?
最近街でも増えてるらしいし。
「違う、神だ」
紙?ああ、あれって式神だったの?
「いや、俺は誰かに使役なんてされていない、神だ」
また髪の話をして…
「不幸の神、生邪だ」
不幸神?生邪?
エン「はっ!この声何!?」
………。
目の前に夕方見た黒い犬が立っていた。
エン「夢かー」
生邪「そんなわけあるか」
エン「いや、神様にとり憑かれる方がそんなわけあるかなんだけど」
生邪「そうだな、お前には話さないといけないな」
エン「ははは、俺の不幸もここまで来たか」
生邪「そうだ」
エン「え?冗談で言ったはずなのに」
生邪「いやその通りだ、俺は不幸を餌とする不幸の神だからな」
エン「不幸の神!?そんなのいたのかよ!」
生邪「ん?さっき言ったと思うが…」
エン「さっきはこの状況に驚いてたんだよ、それより不幸って美味しいの?」
他人の不幸は蜜の味とか言うよね。
生邪「味なんてない、俺は不幸で自らの身体を作っているのだ、そして神の世界からこの世界に来た訳だが、最初に会った奴に斬られてな」
エン「あーなるほどそういうことね」
全くわかんないや。
生邪「神の世界から来た俺はいきなり襲われたんだ」
エン「神様でも襲われるんだ」
生邪「そうだ、そいつもかなりの不幸力があったが、身体の半分を持って行かれた」
不幸力ってなんだよ…。
エン「じゃあ身体が回復するまで僕の不幸を食べてくれるってこと?」
生邪「いや、お前が死ぬまでだ」
エン「は?」
生邪「そして俺が食べるのはお前の不幸ではない、他人の不幸だ」
エン「他人のなの?」
生邪「近くの人の不幸がお前に集まると言う訳だ」
エン「何それヒドい」
生邪「だが、代わりにお前は神である俺の力を使う事が出来るが」
エン「神様の力ねぇ、それってどんなの?」
生邪「集めた不幸を他人におすそ分け出来る力だ」
エン「え、何それ」
不幸をおすそ分け?他人を不幸に出来るってこと?
生邪「もちろんおすそ分けしたら俺の不幸力がその分無くなるから使い過ぎには注意だが…」
エン「?」
生邪「お前なら一生使っていても有り余るだろう」
エン「へぇ」
僕はそんなに不幸なのか?
生邪「それに不幸を餌にする俺が取り憑いている限りお前には周りの不幸を集める事になるけどな」
エン「は?」
生邪「そりゃおめぇ、供給が無いと消えちまうだろうが」
いや、そうだけど!
エン「え、じゃあ俺一生段々と不幸になって行くってこと?」
生邪「そうだ」
エン「………」
うおぉぉぉぼい!
なんだそりゃ、なんだよそんな人生。
最悪だ、いっその事死んだ方がマシじゃん。
死んだ方が幸福じゃん…。
ん?死んだ方が幸福?
エン「あ、そっか…」
そうじゃんそうじゃん。
そうかそうか、そうしたらいいのか。
エン「ふふっ」
生邪「なんだ?」
エン「いやぁ~、僕はなんて幸せ者なんだ」
生邪「いや、お前は不幸の神に取り憑かれたんだ」
エン「うん、死んだ方が幸福な人生、だけど僕は不幸しかない、じゃあ僕は死ぬことはないね♪」
生邪「!」
ハハハ、幸せだ、こんなにも不幸を幸せと思ったことはない。
まぁそもそも不幸を幸せと思った事なんてないけど。
エン「僕は不幸であるほど幸せ者になるんだね」
生邪「おい…」
エン「ありがとう、不幸の神様、ありがとうウィジャ盤様」
生邪「何を言っている…後俺はうぃじゃだ」
エン「うん、ごめんなさい生邪様、僕はあなたを受け入れます、僕は否定しませんよ」
生邪「…ああ、これからよろしくな相棒」
エン「ええ、肯定…僕はあなたを肯定しますよ」
生邪「………」
こうして最初のレース、レースの創始者 高野園 平岩、レース名肯定が誕生した。
何日かかけて連日投稿します。




