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世継ぎの姫君と花婿  作者: 如月瑠宮
第一章
7/25

 長々と歩く事に関して不満は無い。何せ、リンファは民と共に畑仕事や剣を習っていた、所謂お転婆だったのだ。

(体力は問題無い・・・しかし、暇だな)

 リンファは歩くだけなのが苦痛な事を知った。今日だけで幾つの知識を得ただろう。

 だが、今は知識よりも気を紛らわせる何かが欲しいものだ。

「リンファ」

 イオンの呼び掛けに振り向こうとする。


 もふっ


 リンファの顔に何かが当たった。それは、もふもふしている。そして、当たった後も張り付いているのだ。

 リンファは慌てて、それを顔から剥がす。

「・・・何だ、これは」

 呆然と呟く。

 リンファの目には、見た事の無い生き物が映っていた。

 毛玉。真ん丸で真っ黒なそれはつぶらな瞳でリンファを見つめる。このつぶらな瞳と長い尻尾が無ければ、本当に毛玉だと思うだろう。

 大きさはウサギくらいだろうか。しかし、毛玉はかなり軽い。中身が詰まっていないかのようだ。

「・・・イオン。これは何だ?」

「一応、召喚獣だよ」

 リンファは返答に目を見開く。

「これが?あの・・召喚獣だと?有り得ん・・・こんな毛玉が強い力を秘める召喚獣だなどとは、認めん」

 召喚獣。それは代償となる物を使い喚び出す獣だ。力を秘めており、召喚主を助けると言われる。

 それが、こんなちんくしゃな毛玉である筈が無い。

 どうやら、リンファも憧れていたようだ。

 なのに・・・こんな夢をぶち壊す存在だったとは。

「リンファ・・・召喚獣にも、位があってね。弱いのは弱いんだ」

「・・・・・・こいつは、何が出来るんだ」

 毛玉でも、召喚獣。何かは出来る筈だ、そうだと言って欲しい。

「・・・・・・・・・・・・・・・何かあったかな?」

 たっぷりと考えた後に、出された答えにリンファは肩を落とす。

(ダメダメじゃないか、こいつ・・・)




 クリスティナに到着した。眩く光る水晶にリンファは憧れが戻って来た気がした。

(いや、こいつが悪い訳では無い。こいつはこいつで可愛らしいし、此処までの道中の暇潰しになってくれたのだから)

 リンファは腕の中で丸まる毛玉に目をやる。長い尻尾と僅かにある耳や四本の足。ぬいぐるみみたいな獣。

 こんな風でも召喚獣なのだ。

 ・・・つまりは、イオンは召喚獣を喚び出せる程の力を持っている。

「こいつはどうするんだ?」

 流石にクリスティナでも、召喚獣は珍しい筈だった。基本的に召喚獣は王族やそれに近い者くらいしか持っていない。

 だが、イオンは持っている。

「平気じゃないかな?だって、ちんくしゃ・・・・・だよ」

「・・・そうだな」

 その後、毛玉の名前が「シュー」だと判明する。




 逃亡生活 完

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