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世継ぎの姫君と花婿  作者: 如月瑠宮
第二章
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亡国の姫君

 セイラムは四十年程前に一つの国を滅亡に追い遣った。その国がある土地を欲したからである。絶大な力を宿した土地を我が物とする為に王は、その上にある国を蹂躙した。

 荒れ野となった国には、たった一人の姫君が居た。王はその姫君を娶った。そして、姫君との間に一人の王女が産まれる。エミアーナと名付けられた王女は姫君によって、憎しみを育てられた。

 姫君は白い髪と緑の瞳を持つ美しい人でエミアーナもその美貌を受け継いでいた。しかし、たった一つ違っていたのは・・・その憎しみで塗り固められた赤い瞳。ツィツィーリエはその瞳が何であるのか気付いていた。

 憎しみに染め上げられた色。母のはらの中で凝縮された憎しみは彼女のからだに宿った。その結果がツィツィーリエを不安にさせる。浮かび上がる疑惑の念を拭い去る事が出来ないまま、エミアーナを側に置いていた。

 そして、遂にその時が来たのだ。


 姫君の復讐の時が、やっと来た。




 永かった。彼女はそう思う。

 彼女は待っている。彼等がやって来るのを、この始まりの地で。

「お母様」

 ここは母の故郷だ。憎しみに染められた母の国。

「・・・もうすぐ、終わる」

 彼女の内にある憎しみも、ここで昇華される筈だ。そして、どんな形になろうとも、前に進む。彼女の願いは進む事。

「・・・・・・」




 やっと。解放の時が近付いて来た。

 亡国の血を引く姫君は一人、涙を流した。その傍らには、愉しげに嗤う黒い影があった。

 彼女の傍に居てくれた存在はずっと、影だけだった。

 寂しい思いをしながら、たった一人で佇んでいた。影は傍に在るだけ。一緒に居てくれる存在ではなかった。そんな存在は・・・

 彼女は涙を拭う。




 決着を。




 亡国の姫君 完

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