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世継ぎの姫君と花婿  作者: 如月瑠宮
第一章
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2

「リンファはそれで良いの?後悔はしない?」

 イオンの言葉にリンファは目を伏せた。

 後悔するに決まっているのだ。それも、一生後悔し続ける。

 イオンはリンファの背中を押してくれたのだった。




 リンファは彼女が消えた場所に目をやる。彼女は今、一つの可能性に賭けていた。

(イオンを信じよう)

 彼は言ったのだ。見失った辺りは本来ならば、見失う事自体が有り得なかった。それならば、魔法が絡んでいるかもしれないと。

 本当にそうなら、リンファに手立ては無い。だが、彼女には助けがあった。共に逃亡生活をしてくれているイオンが居る。魔法が使える彼なら頼りになる筈だ。

(本当にもう一度現れるのだろうか・・・)

 イオンはリンファが見た事が本当なら、もう一度現れるという。信じると決めたが、やはり不安だった。

 彼が言うには、魔法にも制限があるらしい。使えない人は何でも出来ると思う者が多い。

 しかし、真実は違う。

 例えば、長い距離を移動するには多くの力と時間が必要になる。長ければ長い程難しくなるのだ。

 だから、魔法での移動は基本短距離。イオンが王宮から出るのに使った時の距離でさえ、人によっては無理なのだとか。ちんくしゃ(・・・・・)とはいえ、召喚獣を持つイオンだからこそ、他者と共に移動出来たのだろうとリンファは思っている。

 そして、今回の魔法が何なのかであるが・・・彼が言うには簡単(・・)な姿くらまし(・・・・・)。つまりは消えただけらしい。

 それのどこが簡単なのか、彼女には分からなかったが。

 この魔法は消えている間は動けない。しかも、視界も消える為、周囲の確認も出来ない。つまり、周囲の確認、もしくは移動の為に姿を現す。

 リンファはその言葉を信じている。

 しかし、不安だった。


 不安だったのだ。その時までは。


「あ!」

 リンファの見る景色が歪んだ。そして、そこから現れたのは・・・

「ロヴァーナ」

 確かに、リンファの妹だった。




 面影の女 完

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