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既読がつかない夏  作者: 蒼空
既読がつかない夏

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7/40

第七話  オンライン

第七話です。


夏って、

夜中でも誰かがオンラインにいる感じがありますよね。


今回は、

少しだけ”異変の広がり”が見えてきます。

「レン!」


耳元で、

誰かが囁いた。


反射的に振り向く。


誰もいない。


海沿いの道路。


遠くの波の音。


だけど。


レンのスマホには、

まだ通話中の画面が表示されていた。


発信者。


朝倉ミナ。


「......っ」


震える指で、

スマホを握り直す。


通話の向こうから、

ザーッというノイズが流れていた。


その奥で。


『......なんで来たの』


ミナの声。


小さい。


途切れ途切れ。


でも確かに、

聞き覚えのある声だった。


「ミナ......?」


返事はない。


数秒後。


『見つかる』


ブツッ。


通話が切れた。


同時に、

消えていた街灯が一斉に戻る。


白い影も、

どこにもいなかった。



隣で、

佐伯ナギが小さく息を吐いた。


「......今の」


「聞こえてたのか?」


ナギは頷く。


顔色が悪い。


「最近、増えてる」


「何が」


ナギは少し迷ってから、

スマホ画面を見せてきた。


SNSの投稿画面。


そこには、


『また通知来た』


『深夜2時にオンラインになる』


『通話かかってきたんだけど』


そんな投稿が並んでいた。


「......なんだよこれ」


レンが呟くと、

ナギは海の方を見た。


「昔はただの噂だった」


風が吹く。


「でも今年の夏から増え始めた」


投稿の日付を見る。


どれも最近だった。


その時。


ピコン。


レンのスマホが震えた。


通知。


朝倉ミナがオンラインになりました。


「は......?」


LINEじゃない。


見たことのない表示。


ナギの表情が強張る


「それ、出るんだ......」


「何なんだよ」


「分からない。でもーー」


ナギは小さく声で言った。


「関わった人ほど、届くらしい」


背筋が冷える。


スマホ画面が、

一瞬だけノイズを走らせた。


黒い反射。


そこに。


白い制服が映った気がした。


レンは勢いよく振り返る。


誰もいない。


ただ、

近くを歩いていた男子高校生が、

突然立ち止まっていた。


イヤホンを片耳だけ外し、

青ざめた顔で海の方を見ている。


「......おい?」


友達らしき人物が声をかける。


でも男子高校生は、

小さく呟くだけだった。


「またいる......」



翌日。


昼休みの教室。


窓際で、

黒川ユウトがスマホを見ながら言った。


「昨日の配信、コメント欄ヤバかった」


「配信?」


「肝試し配信。海の近く通ったんだけどさ」


ユウトはスマホ画面を向ける。


夜道を移しただけの動画。


だけど。


街灯の下。


画面の端に、

白い制服姿の女子がぼんやり映っていた。


コメント欄が高速で流れている。


『後ろいる』


『え、誰?』


『顔見えた』


『これ消した方がよくね』


ユウトは珍しく笑っていなかった。


「......レン、お前なんか知らない?」


教室の外では、

蝉がうるさいほど鳴いている。


なのに。


レンのスマホには、

まだ通知が届いていた。


『まだおわってない』

読んでくださってありがとうございました。


今回は、

レン以外にも少しずつ異変が起き始めました。


「オンライン」って便利な言葉なのに、

ずっと誰かと繋がっている感じがして、

たまに少し怖く感じます。


あと、

ユウトの配信シーンは個人的にかなり好きな

場面です。

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