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第五話  海沿いのトンネル

第五話です。


今回は、

”見えているものは本当に現実なのか”

という部分を強めにしています。


トンネル、

深夜、

立入禁止区域。


ホラーでは定番ですが、

この作品では「場所そのもも」より、

そこの残っている”記録”や”記憶”を怖くしたいと

思っています。


そして、

レンはついにミナのいた場所へ踏み込んで

しまいます。

白い服が揺れた。


暗いトンネルの奥。


街灯も届かない闇の中で、

”ミナ”はじっと立っていた。


「......ミナ?」


声がうまく出ない。


潮風が吹く。


そのたび、

トンネル入り口の立入禁止テープがカサカサ鳴った。


スマホが震える。


『逃げて』


送り主不明。


同時に。


目の前のミナが、

ゆっくりこちらへ歩き出した。


「っ......!」


反射的に後ずさる。


でも、

おかしかった。


歩き方が。


カク、カク、と。


動画が処理落ちしたみたいに不自然だった。


髪で顔が見えない。


足音もしない。


なのに、

距離だけがどんどん縮まる。


「ミナ......なのか?」


返事はない。


代わりに。


ピコン。


また通知。


『みるな』


次の瞬間。


目の前の”それ”の首が、

ゆっくり傾いた。


ありえない角度まで。


「ーーッ!」


逃げた。


とにかく走った。


背後を見ないように、

海沿いの道を全力で駆ける。


呼吸が苦しい。


肺が痛い。


でも。


後ろから、

足音は聞こえない。


その代わり。


ピコン。


ピコン。


ピコン。


通知音だけが、

一定の間隔で追いかけてきた。



気づけば、

近くのコンビニに飛び込んでいた。


自動ドアが開く。


明るい光。


エアコンの音。


それだけで少し安心する。


レジには夜勤の店員。


普通の日常。


さっきまでの異常が、

全部嘘みたいだった。


「......はぁ......」


息を整えながら、

スマホを見る。


通知は止まっていた。


でも。


バッテリー残量が、

急に1%になっていた。


「なんで......」


さっきまで80あったはず。


その時。


背後から声。


「レン?」


振り返る。


そこにいたのは、

佐伯ナギだった。


クラスでもほとんど喋らない女子。


長い黒髪。


無表情。


「......佐伯?」


ナギは俺を見るなり、

顔色を変えた。


「なんでそこ行ったの」


低い声。


責めるみたいだった。


「え......?」


「海のトンネル」


空気が凍る。


「なんで知ってーー」


「見たんだ」


ナギは小さく呟く。


その目は、

怯えていた。


「もう関わらない方がいい」


「待てよ、何知ってるんだ?」


ナギは黙る。


数秒後。


ようやく口を開いた。


「朝倉ミナは、事故じゃない」


心臓が跳ねた。


「......は?」


「三年前、”誰かに追われてた”」


店内BGMだけが流れる。


でも、

その瞬間だけ。


世界の音が全部遠くなった気がした。

第五話を読んでくださってありがとうございました。


今回は、

”直接見る怖さ”

をかなり強めに入れました。


今までは通知や噂が中心でしたが、

ここで初めて、

レンが”ミナらしき存在”と対面します。


ただ、

重要なのは

「本当にミナだったのか」

という部分です。


そして、

佐伯ナギも本格的に登場しました。


この作品は、

登場人物が増えるほど

”誰を信じるべきか”

が分からなくなる構成を意識しています。


次回から、

三年前の事件の真相に近づいていきます。

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