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元プロゲーマー、VRで銃が当たらないので投げナイフだけで無双します。  作者: 那須 儒一
一章 再起編

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16話 積雪?

――臭いものには蓋はできない。

楓のことを知ってから、放っておけなかった。


海人かいとく〜ん……最近、積極的だねぇ。

かえでの魅力にハマったのかなぁ?」


「ハマったというか、ハメられたというか……」


楓は一人だと、荒れた生活を送るかもしれない。


ピーンポーン。

そして、いつもの流れ。


「開いてるよー」


玄関に向かって、声を掛けると舞ちゃんが入ってきた。


「お邪魔しま〜す」


「ちっ……」

楓が露骨に舌打ちをする。


「なんです?

私が来たら不都合でもあるんですか?」


「そんなことないですよぉ。

でも、海人くんが嫌かもぉ」


「おい、そこで俺のせいにするなよ」


「海人くん……最近、楓ちゃんばっかり部屋に呼んでる。やっぱり、料理が上手い子がいいんだ……」


「そんなことないって、それに舞ちゃんの料理だって俺は好きだよ……趣があって」


「それ、褒めてないですよね?」

舞ちゃんがジト目で睨んでいる。


うっ……。


「舞ちゃん、女の子は料理の腕がすべてじゃないですよぉ」


「楓ちゃん……」


「大事なのはぁ、胸の大きさでぇす」

そう言って、楓は胸を突き出し強調させる。


「楓ちゃん、喧嘩売ってるの?

買うわよ」


「それなら、決着はぁ、NF(ネオンフラグ)でつけましょう」


「私だって、海人くんからコーチング受けてるもん。負けないんだから」


まったく、賑やかな二人だ。


§


各自、部屋に戻り、電撃生配信が始まった。


ムラサキちゃん久しぶりの配信だ!

生きててよかった

箱推しです

初見です


神宮寺ムラサキのリスナーも結構、俺を観てくれているのか。


「話すとややこしいんだけど、

二人が一騎打ちをすることになったんだ」


なんでだよ

赤い死神の試合も見たい!

ムラサキちゃんの圧勝でしょ

アカリちゃん頑張れ〜!


突然の配信にも関わらず、コメ欄は賑わっている。


対戦形式:デュエル

小マップでの1対1のゲームモードだ。


ムラサキは相変わらず上手いが、

アカリちゃんも善戦している。


ムラサキは、シガーを好んで使用する。

スモークで撹乱しつつ、ハンドガンを主軸にヘッドショットを狙うプレイスタイルだ。


アカリちゃんは、撃ち合いが苦手なため、サポートヒーローのセラを使うことが多い。


体力回復できるのも魅力的だが、ヘッドショットを決められたら一発KOだから、ヘッドラインをずらすのが重要になる。


VRになって、NF(ネオンフラグ)の環境もかなり変わった。


PCのマウスみたいに操作感度を上げたりできないから、銃の取り回しがかなり重要になる。


ハンドガンも決して弱い武器ではない。


それにVRアバターを作成したり、取り込めるようになったから、見た目ではヒーローの判別ができなくなった。


より、高度な読み合いが求められる。


匍匐前進ほふくぜんしんや壁を使ったジャンプなど、操作感もまるで違う。

なにより、俺が挫折したリロードやエイム操作は極めて難しい。


実際、俺以外にもVRに移行して、

離脱したプレイヤーは多い。


あれこれ考えていると、試合は終わっていた。


4ー2でムラサキの勝利か。


ムラサキから二本とれるだけでも凄いだろ。


「レイちゃん、見てるだけじゃなくて実況とかしてよー!」

犬柴アカリの声が響く。


「それよりぃ、フリーモードで、三人で戦わない?」


「そうだな。確かに、二人と戦うのは初めてか……面白いかも」


リスナーたちは、誰が勝つか予想し始める。

確かに、ムラサキと俺ってどっちが強いんだ?


ジャックイン(試合開始)

モード︰フリーダム

マップ︰ホワイトベイ

積雪に覆われた港だ。気候によるランダム要素が強いため、人によってはクソマップ認定されている。


合図とともに10ポイントの模擬戦が始まった。


さっそく、海に潜る。

頭だけ出して、索敵を行う。


――まずい、船着き場から既にムラサキがこちらに銃口を向けている。


投げナイフを構えた瞬間、青い光に包まれた。


「やるな、ムラサキ」


「へへぇ、レイちゃんだったら絶対に海を泳いでいると思ったぁ」


読まれてたねw

投げナイフとかマジ舐めプだろ

相変わらず鋭いエイム

GG

ムラサキちゃん、そのままレイちゃんを倒して


「お前ら、俺のリスナーだろ?

俺を応援しろよ……」


リスナーに女声で圧をかけ、応援を俺一色に染める。


「いい子だ、お前ら」


お前呼び、助かる

レイちゃんに踏まれたい

レイちゃんの投げナイフで死ねるなら本望!


なんか、変態が沸いてんな。


コメ欄を見ていると、足跡発見!


このマップ特有のギミックだ。


積雪により、しばらく足跡が残る。


俺は、足音を立てずに導かれるままに倉庫の中に入る。


――ダダダダダッ!

「うおっ!」


一瞬で、蜂の巣にされた。


「レイちゃん。騙されたねー、ぷぷぷっ」


足音で俺を誘いやがった。


「アカリ……許さん……」


「レイちゃん、怒んないでよ。

可愛い顔が台無しだよー」


「俺は怒っても可愛いんだよ」


「アカリちゃん、みっけ」

ボイチャ越しにムラサキの声が響く。


「えっ、ウソっ――どこ?」


「ふふふ……ウソだよぉ」


「やめてよ、ビックリさせないでよ!」


なんか、ボイチャで心理戦が行われているな。


ホラーASMRかよw

ムラサキちゃんの声にゾワッとした

あの声で添い寝してほしい♡


コメントが変にざわつく。


「お前ら、俺以外の女を見るなよ!」


はいっ、レイ様!

罰としてお仕置きしてください

雪で視界が悪いな

投げナイフキルはよ


ミニマップが赤く点滅する。


射撃音とともに、アカリちゃんがデスする。


「ムラサキ、強いな――」


「ふふふ、お二人が弱いだけですよぉ」


「言ったな」

俺は射撃地点へ駆け出す。


ムラサキが無数のコンテナの合間に隠れるのが見えた。


「ムラサキ、勝負だ!」


「やだよぉ〜、怖いよぉ〜」


次の瞬間、ムラサキが顔を出し、ハンドガンを発砲する。


「――っと、危ね!」

すんでのところで身をかがめヘッドショットを避ける。


俺は、ナイフを投げるが、ムラサキは再び身を隠しかわされる。


「あと、ナイフは一本だねぇ」


「見てろ、必ず仕留めてやる」


もたもたしてると、アカリちゃんがこっちに来る。

その前にかたをつけるか。


「そこだ!」


コンテナの側面に投げナイフを当てる。

跳ね返ったナイフが死角に潜むムラサキに突き刺さる。


「きゃっ!」


赤い光が空に上る。


「よしっ!」


スパープレイ

なんで、あれで当たるんだよ……

やばすぎw


投げナイフを回収しようとしたところで、静かに詰めていたアカリに撃ち抜かれた。


その後も、ゲームは続いたが、

結果はムラサキ1位、2位がアカリちゃん――

最下位は、俺だった。


身内だけあって、完全に手の内を読まれてたな。

やっぱ、“フロッグ”は投げナイフを回収しなきゃ、再度戦えないのがネックだな。


悔しさとともに配信は終了した。

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