19. ぼくのこれから
ぼくは何日も熱を出したまま眠り続けたらしい。目が覚めて、僕がどれほどお父さんとお母さんに怒られたか。
お父さんには初めて殴られた。痛さじゃなくて、申し訳なさに、自分の情けなさに、ぼくは大声を出して泣き続けた。
全国天狗同盟からの通達を見せられた。一通目は、お父さんとお母さんに。壊れた練成所の直しと、けがをした天狗たちの手当てをするために毎日練成所に通うこと。
もう一通目は、ぼくに。今回の責任を取るために一年間練成所に通い、補習授業「天狗とは何か」も受けること。
なんでも、やる。ぼくがしたことは、どれほどの償いをしても、許されるものじゃないから。
天狗になるのか、ならないのか。あんなことをしてしまって、すぐに決めることはとてもできない。自分で決めることが、どれだけの覚悟がいるか、わかったばっかりだ。
でも、天狗になりたくないという気持ちはないんだ、不思議と。練成所に通いながら、じっくりと自分と向き合って、答えを出そうと思う。それが、ぼくが出した結論。
昨日、学校からの帰り道で山田と、とりまき二人に会った。登山遠足以来、やつらに会ったのはこれが初めてだった。どきんとした。どうしよう――身構えるぼくをよそに、山田たちはぼくを無視して通り過ぎたんだ。ぼくが目に入ってないみたいだった。
「おい、山田」
思わず声をかけてしまった。
振り向いた山田が変な顔をした。「巧……だけど?」と言ったら、「誰? 悪いけど、よくわかんね」。そう言ってスタスタと行ってしまった。ウソだろ。あれだけちょっかい出してきてたくせに。信じられない。
だけど、山田がぼくにかかわってくることは、あれ以来、なくなったんだ。
伊藤さんはあいかわらず、いじめられているようだ。でもぼくは黙っていることにした。きっと伊藤さんなりに、考えているんだと思う。いつか、話してもらえたらいいな。機会はいっぱいある。なにしろ、これからぼくは、毎週練成所に行って、訓練するんだから。
(おわり)




