7話 現場
アーシャームエルが善人であるのは、読者も知っていると思う。実は、ヘディーに対しても賃金を増やしたりしていたのだが、それに恩を感じなかったのか?何の恩義もなく、ヘディーは、賃金引き上げを要求したのだ。
アーシャームエルは、青少年の為に、青少年の1人である者の言う事を信じて、張り込みをしていた。それは、刑事の様な張り込みである。
しかし、何時間待っても、誰も現れないので、そこ、ビル付近の十字路を離れようとした。
しかし、その時、人の声がした。十字路の反対側だ。
すぐいって、見つからない様に、聞き耳を立てる。
「例の物は?」
「持ってきた」
1人は青少年である。声で分かる。
それは、運び屋の方である。
つまり、持ってきた方である。
「これで良いな。金だ」
「金。これでまた・・・・」
アーシャームエルは、回り込んだ。持ってきた方の青少年に何気なく、声を掛ける。
「どうも、こんにちは」
「何だ?」
「いや、今何をしていたのかなと?いや、何でもない」
「ひょっとして見たのか?」
「いや、何の事?」
「それなら良い」
青少年はその場を離れる。
しかし、アーシャームエルはもちろん、追い掛けるのだが、尾行である。
青少年は全く気付かずに、自宅へと帰るのだろう。駅から電車に乗って、ここで、アーシャームエルは、尾行を慎重にちょっとした変装をして、電車に乗る。電車に乗って、ある駅まで、乗り、そして、降りる。
アーシャームエルは、青少年の自宅まで尾行をして、持ってきた書類の中の地図に丸をして、青少年の自宅を示して、警察に直行する。
さすがに二重尾行はないだろう。
そう判断したのだ。
警察は、さすがに顔を見ただけでは分からないのだろう。
警察署では、何でしょうと平の警察官が出てくる。例えば、ツァドクは、部長クラスなのだが、しかし、平では通じない。
通してくれと、アーシャームエルは偽名を名乗る。
「カミエル様ですか?少々お待ち下さい。」
エルサレムの、ここもエルサレムなのだが、もう少し中央の所に電話するのだろう。今がどうなのかは知らないが、2100年のエルサレムは中央が1番上の立場である。それに周辺のエルサレム警察が従う形である。
「お待たせしました。カミエル様、署長が会われます」
「どうも」
「いやあ、カミエルさんと会うのは、初めてですかな?どうも、署長です」
「良いから、ここに住んでいる青少年を覚醒剤所持の容疑で逮捕して下さい。」
実は、前にアーシャームエルの自宅で相談を受けた青少年は自白する形だったので、すぐに逮捕はされなかったのだ。
しかし、この地図上の青少年は、すぐに逮捕される事に成る。逮捕状が出ればだが。
アーシャームエルは、信用の上で、かなりのものである。つまり、知らせるだけで逮捕状が出るのである。なぜなら、功績があるからだ。
恐らく、今日にでも、この覚醒剤を所持しているであろう青少年は、逮捕されるだろう。
しかし、音の鳴らない写真機を持っておいて良かった。
「後、これも」
「これは?」
「覚醒剤の取引の現場です」
「おお、これは!」
これは、やはり、バックにいるヤクザが写っているのだろう。つまり、ヤクザまで摘発出来るのだ。
しかし、実は、アーシャームエルは、つけられていた事に気付いていなかった。すなわち、ヘディーがつけていたのである。
ヘディーは現場にはいなかったが、しかし、途中で、見つけて何となくアーシャームエルをつけたのである。
警察に入るとは、思わなかったのである。
ヘディーは、まさか、自分の仕事場が荒らされるとは思わなかったのだ。




