第13話「騒ぎは突然に」
次回予告をしたんですが、文字数稼ぎに色々付け足して、予告どうりになりませんでした(てへっ
出発の朝に男爵の次期当主と言っているリチャードと決闘した。当然勝ったが、後頭部を軽くどついただけのはずなのに、リチャードがまだ起きない。先程回復術士に容態を聞いたら軽いマインドダウンと言っていた。
「めんどくさいけど様子を見に行ってみるか・・・」
丁度馬の休憩の為に馬車が止まっているので降りてリチャードが寝ている馬車に行く。重要なにくかb・・・囮が減るのは正直一人居なくなってもいいのだが、後味が悪いし、リーダー格と思わしき人物が居なくなると、他のおとr・・・仲間の士気が下がるかもしれない。死者は出したくないしな。そう自分に言い聞かせ、リチャードの様子を見に行く。
「おかしいな・・・この程度ならもう起きているはずなのに」
軽いマインドダウン状態だったのは確かだった。しかし、一向にマインドが増える様子が無い。
「このままだと不味いな・・・ちょっとマインドを渡すか」
『繋げ。他者を許し。我が心を。我が身は我の物。汝、力を受け止めろ。我は汝。汝は我。繋げ。』
「―コネクト―」
コネクトは他者の魔力や、マインドを増幅させたり、他者との視界を共有したり出来る魔法。回復魔法ではなく、闇魔法に分類される。コネクトは本来他者の魔法の威力を上げるためのサポート魔法で、相手の視界を乗っ取ってスパイ的な事にも使われる。さらに、感覚をリンクさせるため、コネクトを掛けた同士は相手との念話が可能になる。マインドを渡すついでに体がどういう状態なのか分かるため、今この状況では最適な魔法だった。
「うーん?マインドを送っても増えない?むしろ入れれば入れる分だけ減る・・・もしかして鎧が吸収するのはマインドで、装備している人のマインドも吸い取っちゃうのか・・・可能性はあるな」
中々癖のある装備があるんだな。魔法と斬撃が効かないと言っていたが、確かに魔法が効かなかった。試しに短剣で思いっきり叩いてみると確かに鎧を叩いた感触があるけど少し硬い餅を叩いた感じに衝撃が無くなる。な、何だこの装備恐ろしいほど強くないか?マインドがあれば使えるって事は俺にぴったりな装備じゃないか。
「どうしたものか…あ、脱がせばいいのか!!」
「…ここにいた…トーチお腹空いた‥その人は?」
「もうそんな時間か…」
辺りは暗くなり、外を見るとみんなご飯を食べていた。しかしリチャードを放ってはおけないので装備を脱がして、コネクトを切らずにマインドを送り続けてみる。起きたならリチャードの視界が見えるようになるし。
「じゃあご飯を食べるか。今日は…なんと!金狼のなっとうご飯です!!」
「…おおぉ、でかした…!トーチ…」
ハクはなっとうご飯を初めて食べた日から毎日のように色々な料理に乗せたり合わせたりしていて、なっとうの虜になってしまったようだ。お気に入りは、俺が持っているマヨネーズとチーズ、納豆をパンに乗せて、焼いて食べる納豆トーストがお気に入りらしい。俺は納豆が苦手なので食べていないが、本人は、「美味…」と、ほっぺたが落ちそうな顔をしていたのでおいしいらしい。今回は、俺のお気に入りのチーズとたくあんと小松菜みたいな野菜と合わせた「きりざい」。納豆が苦手な俺でもご飯がもりもり進む食べ物だった。
「たくあんってこっちの世界にもあったんだなー…名前は、たあくあんになってたけど味は一緒だわ」
俺はお茶碗にご飯を盛り、ハク専用のどんぶりに並々ご飯を乗せる。レインに納豆が苦手と言ったら自信満々な顔できりざいを出された。恐る恐る一口食べたら、ものすごくおいしくて、ご飯を3杯もおかわり出来るほどの魔力を持っていた。おかげで納豆単品は食べれないが、きりざいなら食べれるようになり、好物の一つに加わった。
「ごはんもきりざいも沢山あるからいくらでも食べなさい。うめぇ…」
米は、シャルロット商会が栽培している米らしく、日本の味を彷彿させるほどのおいしさだった。
俺達がうめぇうめぇと食べている声に導かれ、辺りに討伐隊の人たちが集まってきた。ふっふっふ…君たちもきりざいの美味しさを感じるがいい…
「良かったらどうぞー。沢山あるので食べてください」
そういって、ご飯を入れた窯と、きりざいの乗っている大皿を出してバイキングみたいな感じで出してみる。最初に食べた人が「うめぇ!」と叫ぶと、辺りの人が次々と食べ始め、30分で、窯の中のご飯ときりざいが無くなってしまった。
夕食を食べ終え、歯を磨くために川に行くことにした。討伐隊の中にも女性がいるため、口臭が気になり川に行って口をすすぐ人もチラホラいたので、離れても大丈夫だろうと考え、ハクを連れて川に行く。
月明かりに照らされた川は幻想的で、ハクと川の組み合わせがとても良い。精霊みたい。
歯を磨いた後、リチャードの様子を見る。リチャードは現在マインドを送ったことにより寝ているだけなので、明日には復帰できる。マインドを吸われたり増やされたり急激な変化があると、体内のマインドが混乱を起こし、若干熱っぽくなる。
ひとまず一命は取り留めたのでこのまま放置。後は鎧をどうするか・・・このままリチャードに渡して着させてもいいのだろうか・・・本人の意思に任せるか。鎧を寝ているリチャードの枕元に置き、寝るために荷台に戻ることにする。
「ではハクさん。俺は見張りを担当するので寝てください。」
「…わかった……頑張ってね」
「うん、ありがとう」
くぅ〜!寝袋を買う時は、男の意地とかで嫌々だったが、いざこう言う時になると美少女と同じ布団で寝れるんだぞ!くそぉ!見張りなんて受けなければよかった!
今は森の中。森の奥は、魔素が多く魔物が活発なので、今は森の奥地の入口らへんで寝泊まりしている。魔術士と、妖術士が防壁魔法と、魔除けの術を馬車にかけているため、魔物は本能的に避けてしまう。ある程度強い魔物は魔除けの術は効かないが、討伐隊の防壁魔法を突き破れる魔物はこの森には居ない。ごく稀に延々と防壁魔法へ攻撃を続け、破る奴がいるため、見張り役が必要だった。
「うぅ…このレベルの防壁を破る魔物なんていないだろ…めんどくさい、ねむい、だるい…」
「おいおい!元気ないな坊主!」
「うわ…めんどくさいのが現れた…」
「めんどくさいとはなんだ!坊主が出発の時から発動し続けている索敵魔法の方がめんどくさいだろう?」
「よくわかりましたね…まぁ調べたところこの森にはこの防護魔法を破れる奴はいない。たとえ攻撃し続けた奴がいても壊れるころには魔術士が気が付いて対処する」
「見た目の割にはよく見てるじゃねーか…やっぱ英雄の弟子っていうのは本当なんだな」
「ほっといてください…あと一時間の辛抱ですから…」
「頑張れよ~」
はぁ…早く寝たい…今日は疲れたな。
「めんどくさい…もうここら一帯全部見て寝るか」
一度索敵魔法を切る。探索魔法と索敵魔法には消費マインドに差が出る。索敵魔法は地形が効果外な代わりに消費マインドは低く、魔物固有の妖気の量を感じることができる。逆に探索魔法は地形と生物両方を感じ取るため、消費マインドは索敵より高い。しかし、発動時間が長くなれば、消費マインドは圧倒的に索敵魔法が多くなる。理由は、探索魔法は一度感じ取ったものは効果外になり、変化が出れば反応するため、消費魔力が多いのは最初だけ、逆に索敵魔法は常に辺りにいる生物の体と妖力を感じ取るため、マインドを消費し続ける。消費マインドは長引くほど増え、最終的に索敵魔法が消費量が多くなってしまう。テクニックで一定間隔で発動させればかなり消費するマインドを減らせる。今回は一度だけ大きく探知するため、索敵魔法なら地形分のマインドを抑えられる。
ゆっくり薄く索敵効果範囲を広げていく。丁度2km、森の外側まで広げると、何やら強い妖気を感じる。しかも3つ。薄く伸ばしただけなので、妖気しか感じられないが…
「噂のドラゴンか…でも何か変な感じだな」
目的の場所までは3日掛かると聞いていたので、誰もまさかドラゴンが目前に来ているとは思わないだろう。討伐隊の見張り係の魔導師はマインド消費を抑えるために半径30m程しか探索魔法を張り巡らせておらず、多分気が付いた頃には目の前にドラゴンが三体居るという最悪な状況になってしまう。ここで叫んで知らせてもこの見た目で、実績がないので信じてもらえないだろう。もしかしたら朝の騒動で信じてもらえる人がいるかもしれないが、証明できる物がない。ならば嘘の情報を流したり、何かしら別の方法で警戒させた方がいい。ならば使うは召喚魔法。味方の魔導師の索敵内に入らないように移動する。トイレだと思ったのか誰も引き留めない。少し開けた場所があったので、目的の子を召喚させる
「顕現せよ。我が欲するは変幻。個を多で圧倒し、多で個を創造しろ。」
「虎っぽくなってくれスライムたん!」
マインドをごっそり持っていかれたが大丈夫だろう。
召喚魔法の属性は闇、今回召喚したのはスライム。前から契約し始めて、魔物で暇があったら契約しまくっている。今では200体ほど契約していて、一緒に狩りへと行くこともある。最大の特徴は、複数体で行う融合と擬態。スライムは単体だと最弱だが、集まれば集まるほど大きくなり厄介な相手になる。スライムにやられる新人冒険者がいるらしい。スライムが最も厄介な一番の理由は隠密性にある。その隠密性は、ベテランの冒険者にも気がつけない程優れている。索敵魔法を掛ければ一発なので、魔術士のいるパーティには見つかるらしい。
擬態を使わせれば右に出るものはない。と言うことは、竜にもなれるし虎にもなれる。人間に化けるスライムもいるらしい。今回は討伐隊の人を叩き起こすインパクトがあればいいので200匹を虎に変身させる。あとは防壁魔法を俺が壊してスライムを侵入させ頃合いを見て手元に戻ってもらう。
ハクは多分起きているだろう。あの耳を回潜れる奴はそうそう居ない。
さてと…作戦開始だ!
「…!?大変です!防壁が破られました!」
「な、なんだと!この辺りにこの防壁を破れる奴なんて居なかっただろう!」
「その筈ですが…と、とにかく全員叩き起こしてきてください!リチャードさんはもう大丈夫だと思うのでお願いします!」
「分かった!」
警戒の鐘を鳴らしているな、これで全員起きただろう。スライムの方も上手くやってくれている。
ハクの姿が見えないな…
「…ここに居るよ」
「フジツボッ!」
思わず変な声を出してしまったじゃないか
「ハクは気が付いてるよね?」
「うん…三体こっちに来てる…けど逃げて来てる感じがする…」
「知能が高いから逃げるべき相手かどうか判断できるからな」
「…でも何に逃げているの?」
もしかしたら三匹の竜より強い奴が居るのか?警戒しとかないとな。
「俺は討伐隊の人と話してくるからハクは魔術士の人達に防護魔法と防壁魔法を掛けるように言ってきて。なるべく厚い防壁がいいな」
「…わかった」
これで竜が出てきたら皆戦意喪失しそうだしスライムさん達にわざと倒されてもらうか。時期に魔術士の誰かが竜を見つけてくれる。回りくどいやり方だが死者が出ると嫌だし。
これから忙しくなると思うと少しやる気が削がれるなぁ〜…
次話はちゃんと竜が登場します。本当ですよ!
復帰しました。と言いたいところですが、まだ少し予定が増えたので投稿の間隔が長くなります。
遅れてしまって申し訳ないです…




