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魔剣使いの転生者  作者: aaaa
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第9話「激おこ」

遅くなりました…すいませんでしたあああ!

想像以上に限界突破『深紅』の反動が大きい。先程から再生魔法で、失った肉を増やしているのだが、血が増やせず、貧血に近い状態になる。


「なんで戦う前に使ったんだよ俺のバカバカバカ!」


深紅は、リザから教わった。教わった、と言うより、実験で魔力が足りなくなり、強制的に教えられた技の一つだ。

今にも倒れそうな体に鞭を入れ、両頬を叩き気合いを入れる。遺跡の中に入って一番最初に感じたのは、芯から冷えるような感覚だった。


「心霊スポットみたいだな…背後から突然来たりしないよな…」


探索魔法で、遺跡全体を把握する。


「うわっなんだこれ…」


遺跡は地下深くまであり、分かる範囲で3階まであったが、3階から下に範囲を広げても、魔力が消えてしまう。さらに、三階のフロア一杯に魔物がいる。

まさか…他フロアにいる魔物を全て集めたのか?


「相手にするのがめんどくさいな…レインも心配だし…壊すか。」


深紅の反動がまだ残っているが、手に魔力を集中させる。


「火よ集え、炎の槍となり、魔を穿て。」


炎槍(フレイムスピア)


詠唱すると、魔力消費が少し抑えられ、威力も上がる。出したのは、トーチ自作の魔法。火を集めて、風を送り火力を高める。地面に撃ち出そうとするが、ふと思う、


「あ、遺跡って結構重要な建造物じゃね?」


まぁ、後で埋まればいっか。炎槍を撃つ。地を溶かし、辺り一面が高温になる。あったかい。


十分もすると、地下三階まで繋がっている穴が出来上がる。土魔法で作ればよかったのだが、穴を使った後に思いついたので、手遅れだった。


「水で冷ましてもいいけど、水蒸気爆発が心配だな…そうだ。」


風で溶岩を一気に吹き飛ばし、地下三階に流し込む。冷えてきたので、下に降りると、突然吹き荒れる溶岩に、逃げられなかったのか、魔物が焼けていて、焦げたような臭いがする。


「この下か…素材的に壊す事は無理だな。」


火や、水を打ち出しても、壁に着く直前で威力が無くなり、無効化してくる。土魔法を使っても、反応がない。


「となると、入口は‥あそこか。」


すぐ近くに階段がある。罠がある可能性もあったので、できれば行きたくなかった。


「魔法が使えないと、あいつらなにが出来るんだ

だ…」


マーリンに作ってもらった短剣を取り出し1メートル伸ばして思いっきり地面を叩く。床が少し削れる程度で、剣は無傷だった。ふと気が付く。床に使われている素材が短剣にそっくりな事に。


そう言えば、この短剣が傷一つない。同じ素材なら、この床の硬さも頷ける。魔力も吸うしな…

この短剣と同じ素材なら相手は精霊の力が上がってある事になる。厄介だな…


「とりあえず、レインが心配だ…」


ここら一帯の魔物は既に焼き炭になっているが、フロア全体にはまだ魔物がいる。


面倒臭い事は後回しにして、階段へ向かう。

コツン、コツン、コツン…

一段一段降りて行き、罠が無いか確かめながら進んでいく。


レインが捕まっているであろう扉が見えてくる。扉の前に立つと、警報が鳴る。そんな事は御構い無しにと扉を吹き飛ばす。


「よぉ…よく来たなぁ…」


赤い髪の男と、青い髪の男以外に、黒いローブを被った奴が居る。


レインが居ない…?


「レインはどこだ?」


「やっぱ女の子が心配だよなぁ?くくっ…お前がくる間暇だったから…ああしちまった。」


赤い髪の男が上を指差す。


男が指をさした天井にはレインが吊るされていた。今日お出かけする為におしゃれな服を着ていたが、服はボロボロになり、顔に殴ったような跡がある。


「くくっ…傑作だろう?俺たちが服を脱がせようとするとあいつ必死に抵抗して、俺の股間を蹴りやが『炎槍』おおっとあぶねぇ。」


赤い髪の男が、まるで来ることが分かっていたようにひょいっと躱す。


「おいおい…魔法が使えないはずだろぉ…」


確かに、魔法が発動しにくく、威力も弱くなる。ただの魔法使いなら魔法は撃てない。だが、一度に使う魔力を増やせばいつも通りの威力になる。


「もういい喋るな。」


トーチは怒っていた。しかし、マーリンには、『冷静な判断をするためには~絶対怒っちゃだめですよ~』と、ずーっと言われていたが、レインの無残な姿を見て、遂に理性と言う鎖が千切れてしまった。


「おいおい!あいつ魔人化しちまうぞ!」


魔人化。それは人が魔力を全て吐き出し、自壊、再生が繰り返され、体が変形していき、最終的に魔獣のように知性を失い、体が変わってしまう。さらに、その力は絶大で、命を糧に尽きる事のない魔力を生み出す。


漆黒の蒸気が溢れ、漆黒がトーチを包み込もうとした時、声が発せられる。


「と、トーチ君…?そこにいるの…?」


弱々しい声だった。声を発したのは、今まで気を失っていたレインだった。レインは、強大でおぞましい気配を感じ、下を見る。下にいるのは間違いなくトーチだった。黒い蒸気にレインはとても恐ろしい何かを感じ、声を上げる。


「ト、トーチ君…私は無事です…だから…お願い…戻ってきて!」


彼をあのまま黒くしてはいけない。そう本能が反応し、必死に呼びかける。


ここは…

トーチは辺り一面真っ黒な空間にいた。前も後ろも左も右も、上か下かもわからないほどぐちゃぐちゃになりそうだ。

しかし、しっかり分かっている事は、あの男のした事と、明確な殺意だった。レインを誘拐しただけに留まらず、傷つけたあいつを『殺したい』。

このまま俺はこの黒い感情に身を任せて、欲望を、殺意を、願いを叶えたい…しかし、この暗闇に、一筋の光が差す。声が聞こえる。それは、ここに来た理由でもあり、守るべき声だった。


「トーチ君!ダメです!お願いだから…トーチ君!」


あぁ…レインか…ごめん…守れなかったよ。

黒い蒸気の勢いが増す。


「トーチ君!戻って来てください!いつも優しい私の大好きなトーチ君に!」


「ちっ、うるさいな。死ね。」


赤い髪の男が、掌をレインに向けると、火球を作り出す。そのままなんの躊躇いもなくレインに撃った。

レインに迫る火球。死を覚悟したレインは最後に声を上げる。


「戻ってきてぇ!!」


刹那、爆音と共に火球が消える。レインは鎖が突然消え、宙に投げ出されるが、優しく抱きとめてくれる存在がいた。


「トーチ君!」


レインの目から涙が溢れ出てくる。


「ぁあ…トーチ君…」


彼は立っていた。右足が千切れたように無くなっており、レインを抱いている両腕も所々から血を出し、折れているのか変な方向に曲がり、骨が見えている。しかし、変わらない。例え、形が変わろうと、怪我をしていようと、変わらない優しい腕だった。


「おかえりなさい…トーチ君」


「あぁ、ただいま。レイン」


「おいおい!」


「黙れ。お前らのした事は死では償えない。」


「はっ!強がってんじゃねぇよ!お前もうすでにボロボロじゃねぇか。そんな体で俺たち三人と相手をするってのか?」


「むしろこの程度のハンデじゃ足りないだろう。一瞬で終わらせてやる。」


トーチは優しくレインを下ろし、着ていたコートを着せる。ボロボロになった服は見えてはいけない所も見えそうになっており、かなり危うい格好だった。


「ごめんね。もう少しで家に帰れるから。」


レインは心の奥で、熱い何かが湧き出てくるのがわかる。


「一緒に帰ろう…頑張って」


トーチは未だに血が出ている足に火を出し、焼いて止血する。血がもうない。だが、彼は限界を超える。一体どれほどの血を出したのか分からない。


「じゃあお望み通り…殺してやるよ!」


三人の男が三方向から攻撃を仕掛けてくる。しかし、誰一人トーチに触れ、傷を与える事は出来なかった。何故なら既にトーチの姿は無く、直目の前には全てを溶かすほどの熱量を持った小さな太陽だった。


「お前らは本来それで殺すつもりだったが、生ぬるい。不本意だが、お前らは憲兵に突き出す事にした。」


刹那、三人の全身に風の刃が飛び、小さな太陽に体を焼かれる。

青い髪の男とローブの男は痛みで気絶をしていたが、赤い髪の男はギリギリのところで意識を保っていた。


「お前らはしてはいけない事をした。次…俺の大切な人達に傷つけるようなことをしたら…必ず俺がお前らを苦しめて…殺してやる。」


そして、男が気絶する寸前見たものは、トーチではない()()()だった。



「トーチ君!」


全てが終わると、トーチは倒れた。体の損傷がひどい。このままだと死んでしまう事は、まだ幼いレインでも分かる程だった。


「あぁ…誰か…神様…助けて。」


『ほいなっ。お呼びかね?』


辺りが眩い光に照らされる。優しく、そして暖かい光がレインたちを包みこむ。


『トーチは、まだ死ぬには惜しく、早い。じゃからわしがお主にチャンスをやろう。』


声の主はトーチを転生させた、神様だった。レインに一粒の光が降りてくる。


『そいつは癒しの神精霊という奴でな。攻撃系はさっぱりじゃが、癒す事に関してはそいつを上回る奴は居ない。トーチ君を助けられるのはお主だけじゃ。頑張るんじゃぞ。』


そう言い残し、神様は上に登って帰っていく。


「え、ええぇぇぇ~…今のおじいちゃん誰…?」


しかし、時は一刻を争う。レインは疑問を抱きながら、神精霊とやらに語りかける。


「お願い、力を貸して。」


神霊は光を強めると、トーチの右足へ行き、光がさらに増す。


すると、右足が再生を始め、ものの1分で治してしまった。次々と重症箇所を治して行き、トーチの体を癒してゆく。


「お願い…目を覚まして!」


「…フォオオアアアアアアァァァ…」


「い、いきなり起き上がったらぁ…」


意識が戻って、起き上がろうとしたら、体がついてこず堪らず倒れてしまった。


「ぐふぅ~…あれ?痛くない。右足があるぅうええええ!」


「お、落ち着いてトーチ君!天からおじいちゃんが降りてきて、この子が私に力を貸してくれたの」


レインが何が起こったかを説明し、神精霊がレインの周りを飛び、頭上に止まると強い光を発した。すると、頭の中に直接言葉が入ってくる。


『はろはろー?トーチ君だっけな?最上神様がよく話をしてくれるよー?』


「はろー…?最上神様…?」


「き、気にしなくていいよ…」


「う、うん…?」


治したのは神精霊で、レインはその手伝いをしたわけか。まぁきっかけをくれたみたいだし、感謝感謝です!まだふらふらするが、このままじっとしておくわけにもいかないので、男たちを放置して、レインの肩を借りながら広間から出る。階段を上り、三階に出ると5体の人型の魔物が居た。レインは戦力に数えられないので、なけなしのマインドを練り、初級魔法の『ファイアーボール』を撃ち出す。


「うぅ…マインドが足りない…」


『ん~?マインドか…渡せるよ?』


「くださいいい!」


『じゃあ動かないでね。』


神精霊は俺の胸の前に行くと、そのまま入ってしまった。胸のあたりがぽかぽかする。


『じゃあマインドを流すから…耐えてね?』


「え?耐えるってなにを――ぉぁあばばばば!」


全身に電流が流れたような感じがする。でも…全身から魔力を感じる。


『本当はゆっくり入れるから痛みを感じないんだけど、時間がないから一気に入れちゃった』


「マインドが回復できたからいいかな…」


そういいつつ、襲ってきたミイラを火球で倒していく。


「うん。周りの安全も確保できたし。ワープしようか」


トーチは両手を前に突き出して魔力を集める。転移先は…金狼か。


「あらよっと」


ぐふぅ…ワープはやっぱり消費が激しいなぁ。貰ったマインドがほとんど消えたよ…。

レインはワープゲートに驚いていたが、説明すると納得してくれた。本人曰く、怖いですが、トーチ君が大丈夫と言うなら大丈夫です。と、言っていた。


「マインドが少ないから維持しにくいなぁ。よし!帰ろうか。レイン」


「はい!」


レインと共にゲートをくぐる。金狼に転移すると、何事かとワープゲートにレインのお母さんを筆頭に人集りが出来ていた。最初に出てきた俺を見て、心配な顔になっていだが、その後出てきたレインを見て、泣きながらレインを抱きしめていた。レインも、今まで積もってきた恐怖や安心感で泣いてしまった。周りの人の中にも感動して泣いて居る人が居た。

とりあえず、一件落着!

何とも微妙な終わり方でしたが、この後はハクとトーチの二人がメインの物語を数話書く予定です。

次は登場人物や、設定などを書いたものを出す予定です。私自身が忘れてしまいそうなので…ハッ!ちゃんと登場したキャラクターに名前をつけないと可哀相だなぁーって…赤い髪の人や、レインのお母さんの名前もその時書き記す予定です。

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