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アレクとの食事

夜になった。俺たちは、ライオネルホテルのロビーで椅子に腰掛けてアレクを待っている。


「ここすごいね。一流のホテルね。」


ミラが関心したようにしゃべっている。


サラは、来たことがあるのか堂々としている。


ネロはキョロキョロしている。


照明はオレンジかかっていて、全体的にモダンだ。ソファーも黒い皮で出来ていて、高級感がある。


清掃も隅々まで行き届いて綺麗だ。


しばらくすると


「待たせたな。さすがにあの後、忙しくなって大変だったよ。」


とアレクが現れた。


「夕食はまだだろ。用意したから一緒に食べようぜ。」


そう言って、アレクは首をクイってやって着いてこいと言っているようだったので、俺たちは立ち上がり、アレクの後を追った。


なんか、いつものアレクと態度と違うようだったが、友達ぽかったのでそのままで対応した。


「いらっしゃいませ。どうぞこちらに。」


店員が案内すると


「おう」


とアレクは返事をした。


さすがアレク 王子様のように態度がでかい。


って王子だけど。


部屋に入ると丸いテーブルが中央に置かれて、回りに5つの椅子が配置してあった。


テーブルの上にはすでに料理が並べられている。


魚の丸焼きがあったり、肉があったり、サラダがあったり、もちろんフルーツも置かれていて豪華だ。


「じゃあさ、ユートさんは俺の横に座って。後は適当に座って、食べようか。」


「わーアレクすごい。さすが王子様ね。」


ネロは料理を見て、アレクをほめている。


「ネロさん。料理を見ながら俺をほめないでください。」


「あ、ばれたぁ。あははは~」


ネロは愛想笑いをしている。


「それじゃあ、食べましょう。」


店員さんが、2名居て、皿に料理を取ってくれる。


「おいし~。」


ネロの声だ。


俺も店員さんから盛り付けた皿を受け取り、魚の身を食べた。


うん。おいしい。ちょうどいい塩加減で。


味はシンプルだ。


「ここの料理は素材の味を生かしている。そういうと聞こえがいいが、素材に手を加えてより美味しくする技術は、この国ではまだまだだ。

他の国では、料理の味付けがすごいところもあるし、見た目と味が芸術作品みたいな料理もある。」


「へ~すごいですね。アレク王子。私もいろいろな料理に挑戦してみたいわ。」


ミラがちゃんと会話をしている。


さすがミラだ。


「それで、ユートさん。機械兄弟の件ですが、あの後、大変でしたよ。

全世界中の国と連絡を取って、名前があった貴族の関係国は大変でしょうね。とりあえず、ひと段落ついたので、こうやってユートさんたちと食事が出来ましたよ。」


「それで、どうしたの?」


「ユートさんたちの名前は控えさしてもらいました。

盗賊に襲われた冒険者が返り討ちをしたと。

その結果、我が国で報告があり、対応していると。」


「さすが、アレクちゃん。いい仕事しているわね。」


サラは褒め称えている。


「サラ姫、あんまり褒めないで下さいよ。調子に乗りますよ。」


「アレクもだんだんいい男になってきたわね。まだまだだけど。」


ネロも褒めている。


「機械帝国の話はどうなの?」


ミラが心配で聞いた。


「機械帝国はやっぱり認めなかったですね。

死体が盗まれたから、こっちもそれ以上は問い詰めて聞くことは出来ないし。

でも、機械兄弟の持ち物から行方不明者の死体が出て来たことは公表しましたから、

これで機械帝国も当分は大人しくしているでしょうね。」


「アレク、ありがとう。」


ミラがお礼を言った。


「いえいえ、こちらこそ。今回の件で、各方面の国々に恩を売ることが出来ました。これはすごいことです。

王もお礼を言いたいと申しておりました。」


「いいよ。別にそんなの。」


俺は断った。


「そんなこと言わないでください。これだけの働きをした者に何にもしないなんて、我が国の威信が低下します。」


「でもさ、機械兄弟を殺した冒険者は公表していないんだろ。」


「それはそうですが。だから、サラ姫と普通に王に会いに来てください。もちろん、ネロさんとミラさんもご一緒で。」


「でもさ、俺たち今、クエストの途中なんだよね。それが終わったらでいい?」


「そんなのだめです。それじゃあ、明日の朝一番ではどうですか?」


「ユーちゃん。アレク王子も大変なんだから協力してあげましょうよ。」


「そうだな。アレクもがんばっているしな。うん。いいよ。明日の朝、お伺いするよ。」


「そうか。ありがとう。」


アレクは安心した様子だった。


「そう言えば、アレク王子にお願いがあったんだ。」


「ん、お願いってなんですか?」


「実は、この前話しをしていた、奴隷の話なんだが。」


「ああ、この前の件ね。」


「お願いをする前に確認しておきたいことがあって。アレクは、魔女をどう思う?」


「魔女ですか、一般的には、弾圧の対象ですが、私自身は、別になんとも思っていません。」


「サラに歴史について聞いたんだが、そのことについてどう思う。」


「現状では仕方がないですね。この作られた歴史をひっくり返すのは難しいです。

時間もかなり経っていますし。」


「アレク自身は、魔女に対してどういう感情を持っているの?」


「私ですか。特に虐げるとかはしないですけど、時と場合によりますね。」


「そうか。実はお願いなんだが、俺が奴隷商から買った奴隷をアレクの元で働かせてほしい。」


「ちょっとそれは無理ですね。しかも、腕と足が無いんでしょ。」


「その件については、問題ない。」


「え、どういうことですか?」


「奴隷自ら直した。」


「ちょっと待ってください。そんなこと報告書に書いて無かったですよ。」


「そりゃ、何回も死ぬ寸前まで虐待されれば、誰でも治さないでしょ。」


「じゃあ、その奴隷はハイヒールが使えると?」


「ああ」


「ちょっと考えさせてください。」


アレクは黙り込んだ。


「いいでしょう。その奴隷を預かります。でもあくまでも所有者はユートさんですからね。

俺が独断でユートさんから借りるということにします。それでいいですか。」


「もちろん。よろしく頼む。」


「でもさ、ユート。魔女をアレクに近づけて大丈夫なの。しかもユート所有の奴隷よ。」


ミラが心配するように言った。


「もちろん条件がありますよ。ユートさんのPTをライオネル国と専属契約を結んでいただきたい。

別に行動を制限するとかは無いですが、さすがにどこの馬の骨だかわからない者から王家が物を借りれないので。」


「お、アレクも交渉がうまくなったな俺たちを囲いたいと。」


「そこまでは言っていません。でもそうなることは事実です。」


「でもさ、サラ姫は問題ないの?」


「え、私?」


「そうだよ。仮にエルフのお姫様だよ。勝手に専属契約を結んでいいの?」


「問題ありません。特に行動は制限しなみたいだし、それに契約は、PTのリーダーとするものですから。」


「でも、俺たちって、リーダー決まってないよ。寄せ集めだし。」


「なに言っているの。ユート。あんたがリーダーよ。」


ミラがちょっと怒っている。


「そうよ。ユート君の他に誰がリーダーをやるの?」


ネロも俺がリーダーでいいみたいだ。


「ユーちゃんが私のリーダーです。」


サラは相変わらず、変なニュアンスを入れてくる。


「わかったよ。でもさ、PTを結成したら、名前が必要じゃん。」


「そうね。どうしようか?」


ミラが腕を組んで考えている。


「う~ん。」


アレクを蚊帳の外にして、俺たち4人は腕を組んでPTの名前を考え出した。


「あの~、まだPTの名は決まっていなくてもいいのですが。」


アレクが申し訳なさそうに聞いて来た。


「だめ。こういうのはちゃんと決めないと。」


ミラがやる気を出している。


ネロは考えているふりだ。絶対に。


「ユーちゃん。そのうち決めましょうよ。話がそれましたよ。」


「あ、そうだった。ありがとう。サラ。それじゃあさ、アレク王子、こっちも条件を付けていい?」


「何ですか。条件って?」


「おれの故郷のダリルの村を気にかけて欲しい。」


「そんなことなら問題ないですけど、具体的な話は無いのですか?」


「ああ、数ある村の中で、アレクに気にかけてもらえれば、こころ強い。」


「わかりました。何かあれば優先的に対応しましょう。」


「ありがとうアレク王子。それじゃあさ、契約は、俺たちが今受けているクエストが完了したらでいいか。」


「ええ。問題ありません。それで、その奴隷は、今どこにいるんですか?宿屋ですか?」


「今は、王子を預けた所にいるよ。」


「はぁ~。そうですか。」


ちょっとブルーになっているアレクがいる。


「そうだ、アレクのその指、直そうか。不便だろ。」


「これは、直さなくて結構です。これは自分への戒めですから。」


「そうか。言ってくれればいつでも治せるからな。」


「ありがとう。そうしたいときには言います。」


「それともう一つ、その奴隷はエレナという名前なんだが、綺麗だぞ。アレク、惚れたりしないよな。」


「なに言っているんですか、ユートさん。その辺はわきまえています。」


「だってさ、あの時、女の子に鼻の下、伸ばしていたじゃん。それに、一番最初に合った時のミラの件もあるし。」


「もう言わないで下さいよ。勘弁してください。」


「あははは~。」


そんな話をして食事会は終わった。


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