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ユート、女の子を助ける

ラサールの町を目指して俺は、歩いている。


ラサールの町はかなり遠い。馬車だと5時間ぐらいなのだか、

徙歩だと12時間ぐらいだ。


前にラサールの町に行ったときにミラが話していたが、

ラサールに続く道には数本の道が接合していて他の村に続いていると言っていた。


もうそろそろ日も真上に上がって来たし、

お腹も空いて来たので森を通る道の脇でお弁当を食べようとしたとき、


女の人の声で


「助けて~」


と聞こえてきた。


どうやら他の村に続いている道の方から聞こえてきているようだった。


さすがに無視するわけにもいかず、

悲鳴が聞こえる方に走って行った。


すると、俺と同じぐらいの年齢の女の子が泣きながらこっち迫ってきて


「助けて~」


と叫んでいる。


するとその後ろから3匹の魔物に追いかけられている。


2匹のゴブリンとその後ろから見たこともない太った物体が女の子を追いかけている。


なんだあのゴブリンの後ろの魔物は、

顔は豚みたいで体は太っている中年のおっさんみたいな体つきだな。


棍棒みたいのを持っているし、

ゴブリンを追いかけているのかな。


まさかな。コブリンの仲間だろうと考えているうちに、

女の子は俺の背中、後ろに身を隠して


「助けて」


と言っている。


「なあ、あのゴブリンの後ろにいる魔物はなんていうんだ?」


「あれは、オーク。

最初はゴブリン3匹を相手にしていて、

ようやく一匹仕留めたと思ったら、

オークが森から出てきて急いで逃げてきたの。」


と息を「はあはあ」しながら話してきた。


ゴブリンは俺に警戒したのか、

5m手前で止まり、

ギギギギーと威嚇している。


オークの方は、まだまだ100mぐらい後ろだ。


「とりあえず、ゴブリンを手分けして仕留めよう。」


と女の子に伝えたら、


「無理、早く逃げましょう。

うしろのオークはゴブリンの数倍は強の。」


「逃げるもなにもゴブリンに追い着かれそうだったじゃん。」


「そ、そりゃそうだけど、じゃあ、さっさとゴブリンを仕留めて逃げましょ。」


「解ったじゃあ俺、右な左を頼む。」


と言って二人でゴブリンに向かった。


ほとんど同時にゴブリンの首を跳ねた。


あの女の子やるなあ~。


と思っていたら。


「それじゃあ早く逃げましょう。」


と言って女の子はラサールの町の方に走って行った。


俺はその場に留まり、オークが来るのを待っていた。


「何しているのよ。オークが向かって来ているのよ。動きが遅いから、走れば逃げられるわ」


とこっちに向かって叫んでいる。


俺はその言葉を無視して、オークの方に歩き出した。


「ちょっと・・・」


女の子は立ち止まって見ている。


だんだんと近づいてくる大きな巨体のオーク。


身長は180cmぐらいかな俺よりもでかい。なんかちょっと腐っている匂いが漂ってきた。


魔物にも匂いがある。普通の冒険者は気にしないようだ。青オーガの時は何か、野生というか、なんか獣のような臭いがした。


ダンに聞いたら


「そうだな。いろいろな臭いがするな。でもいちいち気にしていたら、戦えないぜ。」


って言われた過去を思い出した。


だんだん近づいてくるにつれて臭いも強烈になった。


「なんだこのくさいの」


と言ったら


「あんたオークに遭うの初めてなの。

強さもさることながらその臭いもすごいんだから。

早くにこっちに来なさい。」


と遠くで言われたが、既にオークは俺の目の前にいる。


「なんだよ。先に言ってよ。

最悪じゃん。助けなければ良かった。」


と愚痴を吐いた。


オークはまだ俺に警戒してか、攻撃は仕掛けてこない。


俺もオークとはやり合いたくない。

お互いに膠着した状態が続いている。

俺は臭いに耐えられなくなって、

鼻をつまんでしまった。


それを見ていたオークが攻撃されると思ったのか、

棍棒を振り上げて殴り掛かってきた。


俺はそれを、鼻をつまみながら体を半身して躱した。


「やっぱ、やり合わなくてはだめかな。返り血とか臭そうだな。」


ひとりごとを言ったのだが、

言われた意味がわかったのか、

オークの顔がさっきよりも怖くなって、


「ブオオー」


と言ってもう一度棍棒が横に振りぬかれたが、

半歩後ろに下がり腹を引っ込めて躱した。


うん。よく見える。


っていうか遅い。

青オーガとダンが戦っているときは、

やっと目で追える程度だったが、

このオークは遅いな。

やっぱりLVが上がっているからなのかな。


とりあえず、返り血を浴びないように剣で腕を切り付けてみた。


「グギャー」


とオークは叫んだ。


よし、問題ないな。


このまま、首を狙って「えい」と

剣を横に振りぬいたら、オークの首が地面に落ちた。


「あんたすごいじゃない。オークを倒すなんて。」


と言われ女の子が近づいてくるかと思ったら、

鼻を押さえて遠くの方に女の子は居た。


ふと、右腕を見ると返り血がべっとりとついていた。


「つくっさー」


血が付いている剣と右腕を体から遠ざけた。


「ああ、どうすんのこの死体。

こんなのが道に落ちてたらそれこそ大迷惑。

うんこよりひどいわよ。」


「そんなこと言われたって知らなかったし。

教えてくれなかったじゃないか。」


「だれにも見られていないから今のうちに逃げましょう。」


そう言って二人は近くにある小川に向かった。


今、俺は小川で血の付いた剣と服を一生懸命洗っている。

なかなか臭いが落ちない。


剣の方は、剣の先の部分しか血が付いていなかったので、

簡単に落ちた。だが、右腕の洋服の方は全然落ちね~。


畜生~。やっぱり血まで臭いのか。もう絶対相手にしないぞ。


とか思っていると


「ねえ、私、ネロ。さっきは助けてくれてありがとう。」


笑顔で感謝された。


「ああ。おれはユート。」


俺は、臭いが付いて少し機嫌が悪い。


そんな俺の気持ちが解らないのか、会話を続けてくるネロ。


「あんなところで何していたの?」


「ラサールの町に行くところだった。」


「あ、私と同じだね。私もラサールの町に行くとことだったの。

途中であんな状態に遭遇したの。」


「おれも誰かを助けたために災難に遭遇した。」


「あれは、悪かったよ。まさかオークを知らないなんて思っても見なかったから。」


「オークって結構出るの?」


「私の村には結構、出没していたわ。

でも殺すときは、落し穴に落として殺し、

臭いからそのまま埋めていたわ。」


「あーなるほど。」


「あんたの村では出なかったの?」


「俺は見たことないかな。ゴブリンはよく見たけど。」


「へ~恵まれている村ね。

あいつらはほんと臭くて、とても厄介だったわ。」


「もう、匂い落ちね~。

まだ少し匂うが仕方がない。

今日中にラサールの町に付くんだった。

あ、そうだ。お前、腹減ってないか?」


「私はネロって名前があるの!」


「腹減ってないか。」


「ぐ~・・・・忘れてたのに思い出させるから。」


と顔を赤くしている。


「じゃあこれ食え。」


アリスに作ってもらったサンドイッチを渡した。


「いいの。もらって?」


「ああ、おれの分もあるしな。」


「ありがとう。朝から何も食べていなかったんだ。」


とかぶり付くようにすごい勢いで食べている。


俺は、てごろな岩に腰掛けて、

ミラに貰った弁当を開けた。


ミラはよくお菓子を作ってくれたりしていて美味しかったので安心して食べられた。


この世界の主食はパンである。

弁当と言ったらサンドイッチだ。


パンとパンの間に挟むのは、

野いちごを煮詰めたジャムのようなものや、

油が多目の干し肉を薄くスライスしたものと野菜を一緒に挟んだものが主流である。


ミラのはひと工夫してあって、

貴重な白いチーズ見たいのも一緒に挟んであった。


硬いパンだが、チーズと干し肉の塩気がちょうどよく、

とても美味しかった。


ジャムも甘くてこれはこれで美味しかった。

甘いのとしょっぱいのがセットになっていていい感じだった。


「ユート君、今まで食べた中で一番美味しかった。ありがとう。

でもなぜ2つ持ってたの?」


「たまたまだよ。」


そうして2人はラサールの町へ歩き出した。


こいつよく見ると、きれいだな。

髪は長くて少し赤みかかっていて、後ろで束ねている。

何気にスタイルもいいし、胸もある。

肌も綺麗だし、俺より少し背が低いいくらいか。


ま、着ている服は、黒のワンピースぽい服で茶色い上着を羽織っており、

腰には茶色のベルトがしてあり、

永く着ているのか。

よれよれだけど膝丈のスカートから伸びてる足の形は綺麗だ。


「ユート君は年いくつなの?」


「俺か、16歳だ。」


「やだぁ~私より年下じゃない、身振り口ぶりがなんかしっかりしていて同い年か年上に感じた。」


そりゃそうだよな。

地球の時は17歳で死んでこの世界で16歳だから、33歳。


はっ、俺って中年じゃん。


って一人で乗り突っ込みしたけど、

年齢を足す必要ないし、あんまり関係ない。


それに地球の方がいろいろ発展していて情報もいっぱいあったからその分、大人に見えるのかな。


それに基本、性格的には冷めているし。


「ユート君、強いんだね。冒険者か、なにかなの?」


「いや、まだ冒険者じゃないよ。

今日、村を出て、ラサールの町で冒険者になろうと思っているところ。」


「そうなの?私と一緒じゃん。新米冒険者同志仲良くやろうね。」


「・・・・」


「なんで返事しないの?やなの?」


「いや~、あんたとは初めて会ったばっかりだし、俺のメリットがない。」


「メリット?」


「うまみがないってこと。」


「あ~うまみね。おね~さんの体はどう?ユート君になら少し触らしてあげるよ。」


ネロは歩きながら俺を挑発してくる。


「いや、ごめん。おれの好みじゃないから。」


「え~つれないの。ユート君強いから一緒に冒険できれば、LVとかも上がったのに。」


「LVはいくつなの。」


「え、私に興味があるの?」


からかう様に聞いて来た。


「ないけど・・・」


「ないんかい。」


「いやあ、あまり冒険者にあった事ないから、3匹のゴブリンを相手にできるLVっていくつかなあと思って。」


「あ~そういうこと。いいわ。

サンドイッチくれたからお礼に教えてあげる。

本来は他人にLVとかステータスの内容を教えちゃいけないけど。

わたしのLVは6よ。ユート君は?」


「教えない。」


「え~教えてよ。」


「嫌だよ。さっき知らない人にステータス教えちゃいけないってネロが言ってたじゃん。」


「え~なんでよ。私はユート君を信用して教えてあげたのに教えなさいよ。」


と言ってヘッドロックをかまして来た。


ネロのいい香りと少し胸が顔に当たって嬉しかったけど


「さっきサンドイッチのお礼とか言ってたじゃん。

俺だってネロが教えたくないって言ったら無理に聞かなかったし。」


「なにお~この~」


といって左手で頭をぐりぐりされて解放された。


「ま、いいわ。

ユート君は信用できそうだし。他の人に話したりしないよね。」


「それは大丈夫。だって話しても意味ないじゃん。

これからもLVは上がるし、冒険者になればランクが付与されて、だいたい解っちゃうじゃん。」


「それもそうだけどね。」


そんな他愛も無い話をして夕方には町についた。


「ふうやっと着いた。さすがに遠かった。」


「ユート君はこのあとどうするの。」


「あ~今日はもう宿探しかな。」


「そっか。それじゃあここでお別れだね。」


「ん、ネロはどうするの?」


「私は、野宿かな。まだ暖かいし問題ないでしょ。」


「え・・・、まじで。女の子一人じゃ危ないよ。」


「しょうがないのよ。お金ないしね。」


そっか。お金ないのか。

でもここは町だぜ。

比較的治安はよさそうだけど変な輩は一杯いそうだし。

こいつLV6だし。

普通に冒険者に絡まれたら、たぶんアウトだな。


ん~んどうするかなんて考えていると


「じゃあね。」


っとネロが言ってきた。


「ちょっと待った。」


勝手に口から飛び出した言葉に自分でもぴっくりした。


「なに、ユート君?」


「ネロが良ければ一緒に来ないか。」


「え、私を襲うつもり。」


からかう様に両手で胸を隠した。


「ばか言ってんじゃない。知り合って次の日に合ったら強姦に襲われて、

最悪、死んでいたなんてことになったら、目覚めが悪いだろ。」


「ほんとに良いの?」


「ああ」


「やった~ありがとう。

ちょっとぐらいなら体触ってもいいからね。」


「さわらね~よ。しかも、貸しだからな。ちゃんと返してもらうからな。」


「ふふ。ユート君ってやさしいんだね。」


そうして宿屋を探した。



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