アリスに報告
村に帰ると、アリスが、
ぼこぼこで血だらけのダンを見つけ、
心配しながら駆け寄って来た。
「どうしたのその傷、魔物にやられたの?」
「まーな。」
バツが悪そうにダンは答えた。
「早く治療しなくちゃ。
ユート、早くダンを家の中へ。」
そう言って、
先に家の中にアリスは入って行き、
何かを探している様子だった。
ダンを椅子に運ぶとアリスがやってきて
「ダン、早くこれを」
といって赤い液体をダンの口から飲ませた。
そうすると、みるみるうちにダンの傷は良くなり、
魔物にやられたなんて、
ほとんど解らないほど回復した。
「アリス、ダンに飲ませたものは何?」
俺が聞くと
「これは、上級ポーション。回復薬よ。
ある程度の怪我は回復するの。
でも、無くなった腕とかは、生えてこないで、
傷口を塞ぐ程度だけどね。」
と笑顔で答えた。
ずいぶんすごい薬があるな。なんかゲームの世界だな。
そんなことを思っていると、
「ユート、ミラ。何があったか教えて」
とアリスが聞いてきた。
俺は下を向いた。そしたらダンが
「ユート、アリスには話していいよな。」
と聞いてきたので、俺は頷いた。
「アリス、いつも通り森をパトロールしていたら、
青オーガが出てきた。
ユートとミラを連れていたから、
森の浅いところを探索していたのに。」
「え、青オーガ?」
とアリスの顔は青い。
「ああ、ゴブリンが走って来たと思ったら、
その後を青オーガが追いかけてきて、
ゴブリンたちを狩って、食べだしたんだ。
そのまま、やり過ごせるかなぁと思っていたが、
こちらに気づいていたらしく、
一通りゴブリンを食べた後、
こっちに向かって吠えたんだ。
だからユートとミラを逃がすために、
俺は、青オーガと一対一で対峙したが、この通りだ。」
「じゃあどうやって帰ってきたの?」
ダンとミラが俺に目線をよこした。
「いや、いや~」
ダンがごまかそうとしたが、
アリスは二人の目線に気づき、察したようだ。
「ユートね。」
アリスが指摘した。
「でも、良くあの青オーガから3人、逃げ出せたわよね。」
「あ~ユートごめんアリスなら大丈夫だから、言うからな。」
ダンが俺に了解を求め、俺は仕方なく頷いた。
「アリス、ユートが青オーガをやっつけたんだ。」
「え・・・青オーガを・・・」
「なんか魔法を使ったような。」
とダンが説明していると、見かねたミラが
「そうなの。ユートの手の平に風が集まったと思ったら、
それが白い球みたいになって、
それを青オーガにぶつけたら、
すごい勢いでくるくる回って飛んで行ってしまったの。」
「え、そうなのユート?」
「はい...」
「解ったわ。このことは4人の秘密だからね。
他の人に絶対しゃべっちゃだめだからね。いい、ダン。」
「なんで俺だけ名指しなんだよ、ミラは?」
「あんたね~。口軽いでしょ。
昔の冒険者時代のことも飲んでいる時、
ぺらぺらとしゃべっていたでしょ。
自慢話みたいに。はずかしいったらありゃしない!!」
ダンはシュンとして下を向いている。
「でも、おかしい。
確かユートは祝福の時、
一般人と変わらないステータスだったから、
そんなことできる訳ない筈だけど。」
と首をかしげている。
しばらくして
「じゃあまたね~、ユート。」
とミラが帰っていった。
そのあとアリスに呼び出された。
「ユート、私に何か隠し事していない?」
俺を疑うような目で見てきた
「何を・・・」
としらばっくれていると
「あんたね、祝福で一般人と同じステータスで、
まだ冒険者にもなっていないユートが、
冒険者ランクBでも、
一人で討伐するのがむずかしい青オーガを一人で倒せるわけがないでしょ。」
「ギク」
やばい、ヴァンパイア種族がばれたか。
いや、それはたぶんないと思う。
「ステータス、なんか隠しているでしょ。」
なんだステータスのことか
「本当は、2とか3とか有ったんだ。」
「やっぱり。
でもどうして、鑑定スキルを持っている司祭に見つからなかったの?」
「実は、おれ、ステータスを変更できるみたい。」
「え、何、変更って?」
「ステータスの基本は変わらないけど、
数字を変えられるみたい。
たぶん鑑定スキルで見られるのを防止する役目だと思う。」
「はぁ、ああ~、そんな話、聞いたことがないわ。
確かに自分のステータスを見せないようにするアイテムはあるみたいだけど、
自力でそんなことができるようになるなんて、
聞いたことないわ。」
「だって、実際にできるんだもん。
だから祝福の時も、
ステータスが見えるようになった時に、
アリスに事前に聞かされていたように、
普通と同じ様なステータスに置き換えておいた。」
「もう。ユートはいつも私をビックリさせるのね。
私の考えている斜め上をいつも行っているわ。
ま、いいわ。
それでもユートは私の息子だもの。信じるわ。」
「それで、おかあさん。」
「なあに?」
「おれ、旅に出たいと思う。
15歳になって祝福を受けても、
町から出て行くには少し怖かった。
でも、青オーガを見て、倒して、少し自信が着いた。
それに、自分の出生も気になるし、
いろいろな所に行っていろいろ感じてみたい。
冒険したい。」
「うん。いいわよ。」
「え、もっと反対されると思った。」
「反対しないわよ。
少しさびしくなるけど。
ダンも言っていたわよ。
ユートはいつ家から出て行くんだ。
もう少し経ったら追い出そうかなって。」
「そうなの?」
「そうよ。15歳になったら立派な大人。
一人で自立して生きて行かなくちゃいけないの。
このご時世、何があるか解らないもの。
いつ魔物に襲われて命を落とすか解らない。
だからまずは、一人で生きて行く強さを持たないとだめなの。
そしていつの日かユートに大切な人ができた時、
今度はその人を守って生きて行かなくてはいけないの。
だから本当の一人前は、
一人で生きて行けることが大前提なの解ったユート?」
「うん、ありがと。いつも見守っていてくれて。」




