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青オーガに襲われる。

それから数日が経ち、

今日はダンと村の近くにある森を探索している。


もちろんミラも一緒だ。


ダンはゴブリン襲撃事件があってから定期的に森の中に入って魔物を討伐している。


今日はそれに付いてきた格好だ。


「お前たちはまだ、冒険者にもなっていないのだから、


俺の前に出るなよ。特にミラ解っているか。」


ダンが特にミラに対して心配している。


「わかっているわよ。」


ぶすっとしているミラが俺の前を歩いている。


この世界は森が多い。


地球の時は開発が進んで、

森が少ない印象だったが、

この世界はほとんどが森で、

人の手がほとんど入っていない状況だ。


森の深くに入っていくと、

強い魔物がでるらしい。


だから森が多いってことも言える。


強い魔物に遭遇したら怖いからね。


しばらくすると、


「ユート、ミラ、隠れろ。」


とダンが小声で言って来て、

近くにある岩に3人で身を潜めた。


しばらくすると、前方でガサガサとして、

3匹のゴブリンどもが、慌てるように走って出て来た。


その後を、青ぽい巨体をした、

3mぐらいの鬼みたいな魔物が追いかけて来て、

ゴブリンたちを捕まえて殺した。


「まずい青オ一ガだ。

いいか絶対見つかるなよ。」


ダンは緊張する顔付きで言った。


青オーガは、3匹のゴブリンの死体のうち一匹を食べ始めた。


それを見たミラは、気持ち悪そうに顔を青くしていた。


本来ならばこんなところでオーガに会わない筈だが、

この世界にはこういうことがたまに起こることがあるらしい。


3人でしばらく様子を見て、

やり過ごそうとしていたところ、

青オーガは1匹食べて満足したのか。

立ち上がった。


その直後、

俺たちの方に向かって咆哮を発した。


俺たちの存在に気づいていたみたいだ。


ミラはプルプルと震えだしてしまった。


「ユート、ミラを連れて逃げろ。

このことを村の人に伝えろ、いいな。俺が囮になる。」


そう言って、剣を構えてダンは、青オーガの前に出た。


青オーガはダンにゆっくりと近づくと少し笑ったような顔をして、

ダンに向けて強烈な右ストレートのパンチを放った。


ダンは剣の平で受け止めたが、

1mぐらい吹き飛ばされてしまった。


ダンはすかさず体制と整えて、

青オーガの首に切りかかった。


しかし、青オーガは、

攻撃する場所が解っていたのか、

左手で剣を受け止め掴んだ。


ダンは掴まれた剣を外そうと押したり引いたりしたが、

びくともせず、

青オーガは、ニタリとして、

ダンの顔面を殴り付けた。


ダンは1mぐらい吹き飛び、

口から血が流れだし、

四つん這いになって下を向いている。


さらに青オーガがダンに近づくと、

ダンの腹を下から蹴り上げ3mぐらいダンを吹き飛ばしていた。


それを見たミラは、目を逸らし、

腰を抜かしていて、逃げられる状態ではなかった。


俺は、気が付いたら飛び出していて、

青オーガの頭に石を投げていた。


青オーガは、痛がる様子も無く、

石が当たった場所をポリポリと掻きながら俺の方に向いた。


「ユート、逃げて。」


ミラが叫んだ。


「大丈夫だよ。ミラ見てて。」


青オーガに向かって、

右手の人差し指と中指を2本、

指を立てて上から2回振った。


するとウインドカッターみたいなものが2本、

青オーガの首を目指して飛んで行った。


ちなみに俺は、かまいたちと呼んでいる。


青オーガはそのかまいたちが見えたのか、

両腕で顔を隠すようにガードした。


青オーガの肉体は固いのか、腕にはかすりキズ程度だった。


あ~やっぱ無理か。


確かオーガって、C級冒険者が3人以上で相手にするんだよな。


ダンでも歯が立たないみたいだし、

このままだと全員オーガにやられてしまうな。


人の前では見せたくなかったが、あれを使うしかないな。


そう秘密兵器。


俺は、右手の平を上に向けて前にだし、

手のひらに風を集め出した。


すると手の上でつむじ風が発生し、

だんだん強くなり、

手の平の上で風が渦になっているところで、

左手を上から添え、

さらに勢いを増していく。


そこには真っ白いソフトボールぐらいの大きさの球が出来上がった。


よく見るとすごい勢いで風が回っている。


青オーガは危険を感じたのか、

こちらに向かって走って来た。


俺はその白い球を飛ばすために、

右手を前に突きだし、

左手を添え、青オーガに発射した。


それはゆっくり、時速20kmぐらいかな。


それぐらい遅い、

白い球が青オーガに向かってゆっくりと飛んで行った。


青オーガは、それを見て、

俺をなめたのか、油断したのか、

避けようとしなかった。


というかこんなんで俺が倒せるのかと言っているかのように笑って見えた。


その球は、ゆっくりと青オーガに近づき、

筋肉隆々のお腹に着弾した。


その瞬間、当たった場所が右にねじれ、

球が弾けたと思ったら、

風が吹き荒れ、

球が当たったところを軸にして、

オーガ自体が大の字に、

扇風機の羽みたいに右回転し始め、

後方に20mぐらいを山なり飛んで行って、

落ちて行った。


青オーガは膨大な風に体中が刻まれ、

ボールが当たった部分は丸く抉れ、絶命していた。


あ~良かった決まって。


この技は未完成だ。


本当は、飛ばす速度が早ければ早いほど良いのだが扱いが難しく、

今は、ゆっくりしか飛ばせない。


だから、直接相手にぶつけることが必要だった。


でも青オーガが急に走って来たから怖くなってビビッて飛ばしてしまった。


青オーガが油断してくれたから、

なんとかなったけど。


避けられたら、ただでは済まなかったな。


ミラは呆然として俺を見ている。


どうやって言い訳しようかな。


気が付いたら青オーガが勝手に飛んで行っていたなんて言ってもごまかせるわけないし、どうしよ。


ダンはろっ骨が何本か折れているみたいだが命に別状はないみたいだ。


何とか歩いてこっちに近づいて来て


「ユートがやったのか。」


「はい。」


「助かったよ。さすがに俺、一人では、青オーガは無理だ。

ユートの肩を貸してくれ。」


そういって俺に寄りかかってきた。


「ユート、さっきのはなんなの」


ミラが聞いてきた。


「・・・・・」


俺は答えなかった。


「ユートは不思議だね。

あの時も、私をゴブリンから助けてくれたし、

今も、私とダンを助けてくれた。」


そう言って、俺の顔を両手で挟んで目をじっと見つめている。


「いいわ。言いたくないなら聞かない。

でも、話せるようになったら教えてね。

私はユートを信じているから。

私の命の恩人だから。きっとね。」


そういって手を放した。


村に帰る途中、


「このことは3人の秘密にしてくれないかな。」


ダンとミラに言った。しぶしぶ二人は納得してくれた。


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