自己紹介
何だかこわいな ドキドキするな でもワクワクの方がおっきいな。
あの娘はどうなのかな?おんなじなのかな?
でもあの娘だったら何にも思わないかもな。
今日は特別な日、黒いリュックを背中に背負って、綺麗な大きい靴を履いて
お母さんとお父さんに手を引かれ、自分より大きな門を潜るのだ。
ここにはいっぱいお友だちがいるんだって
兄弟なんかも居ない僕には考えられない数なんだって
「ゆうすけ、さとみちゃんとおんなじクラスだって」
「うん、またおんなじだね」
「そうね」
さとみちゃんはお父さんが遠くに居て、お母さんも大変なんだ。
だから前から良くお家に預けられてるんだ。
でも、さとみちゃんは同い年なのに僕と違うんだ。
僕たち四人で家族なんだ。だから一緒に大きな『たいくかん』って所にいくんだ。
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『たいくかん』より狭い机と椅子とがたくさんある所でさとみちゃんと一緒だ
何だか怖くなってきた
「さとみちゃんは怖くないの?」
「えぇ・・・何が怖いの?」
さとみちゃんが怖くないのには驚かなかったけど、これは予想外だった。
「え、え・・・お父さんも・・・お母さんも居ないし」
「慣れよ慣れ」
「あ、うん、そうだもんね」
しまった『僕の』と付けるべきだったんだ
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「僕の名前は、『たけひろ ゆうすけ』です。好きなものは『鬼ゴッコ』です。このクラスでたくさん友達をつくりたいです。」
「ゆうすけ君は『鬼ゴッコ』が好きなのね」
先生となのる女性が出したこの発表の課題、『名前』『好きなもの』『このクラスの目標』
こんなにドキドキしたことはなかったな
しばらくすると、さとみちゃんの番が来た。
「『奈々野 智美』です、私は『数学を解くこと』と『読者』が好きです。なので、勉強に力を入れたいです。以上です。」
「読書が好きなんだ、どんな本を読んでるのかな?」
3~4秒ほどの沈黙が続いたが『先生』が打ち破ってくれた。
「『重松 清』さんの『卒業』を読んでます」
6才という大人の概念をぶち壊した女の子に、先生は言葉を失ってしまった。
いつもの『さとみちゃん』だ。




