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14話 冒険者登録

テンプレがない?それはまた別の回で。

 次の日のお昼前、ようやく目的のフラト街が見えてきた。

 この街には城壁はなく、門もない。なので検問で止められることもなく街に入ることができた。


 ガイン達の依頼人である商人とは彼の店の前でお別れした。

 今は冒険者であるガインのパーティーと一緒に街を歩いている。


「ここは宿屋通りよ。よく冒険者達が寝泊りしているわ。あなたもよく通うことになるから覚えるのよ」


「こっちの通りを少し行くと薬屋。怪我した時の強い味方よ」


 お洋服屋に行く合間に、歩きながらサリアさんが案内をしてくれる。この街は落ち着いた雰囲気で、白い石と茶色い木でできた家が立ち並んでいる。


「さあ、ここが洋服屋さんよ。ガインはここで待ってなさい」

「ハイハイ。俺には服選びのセンスがないからな」


 そして私はサリアさんと一緒にお洋服屋に入っていくと、そこには色とりどりの服が掛けてあった。


「いらっしゃい。おや、サリアじゃないか。また新しい服かい?」


 カウンターにいた女の人が声をかけてくる。どうやらサリアさんのことを知っているみたいだ。


「店長!今日は私じゃなくてこの子用なんだ」

「ほう。珍しいね。奴隷でも買ったのかい?なんてね。人助けなのは分かってるよ」

「ええ、この子に会いそうな服を頼むわ」


 店長はカウンターから出てくると服を幾つか持ってきた。


 一つは赤をベースにベージュ色の縁取りがしてあるワンピース。

 一つは淡い黄色のスカートと白いTシャツ。

 一つはアイボリー色に鮮やかな緑色のラインが入ったワンピース。


 どれもいい色で選ぼうにも迷ってしまう。仕方ないのでサリアさんにどれが似合うか聞いてみる。


「どれがに合うと思いますか」

「そうね。黄色はあなたの髪に合うけど、緑もいいわね」

「そうかい。私は赤がぴったりだと思うけどね」


 それから見ていては分からないということで私は着せ替え人形のように服を着させられた。

 結局、緑色のラインが入ったワンピースと新しい下着を着て店を出たのであった。


「お、ようやく決まったか。日が暮れるかと思ったぜ」

「女の子の服選びは大変なのよ」


 ボコッとガインが叩かれる。そしてそのまま大きな建物に向かってずりずりと連れていかれていく。

 目の前に見えるこの大きな建物は多分…


「さあ着いたわよ。ここが冒険者ギルドよ!」


 そう私は冒険者になることを昨日の夜、決心したのだ。

 サリアさんはドアを開けるとガインと一緒に入ってくるように手を引いてくれる。

 中はなかなかに広い。中央に受付があり、右側には大きなボードに紙が貼ってある。左側にはいくつかの机と椅子、それに飲み物がいっぱい置いてあるカウンターがある。

 サリアさんはまっすぐ受付に向かうと紙を出して受付のお姉さんに話しかける。


「キャロル。この護衛の依頼達成したわよ。処理お願い」

「お帰りなさい、サリアにガイン。帰ってきてすぐだけど新しい護衛の依頼が入ってるわよ。よかったら見て行ってくれると嬉しいわ」

「いいわよ。それよりも今日はお願いがあるんだけど」

「なにかしら」


 キャロルと呼ばれた受付のお姉さんは立ち上がってこちらを見てくる。深緑色の制服らしきものを着ていて、髪は茶色で見た目はとても凛とした人である。


「また…連れてきたのですか」

「また…?」


 キャロルさんはため息をつくと机の下から書類を探し始める。


「またって、しょうがないじゃない。ガインが見つけてくるんだから」

「おいおいおい。俺のせいかよ!まあ、そうなんだけどさ」

「はい。冒険者登録ならこの書類に記入して下さい」


 書類とペンを渡される。記入事項はそこまで多くない。名前、住所、扱える武器と魔法、誓約署名と諸々だ。


 目を通しているとキャロルさんが口頭で色々教えてくれる。


「いいですか、冒険者は依頼をここ、ギルドで受けてから依頼を遂行、終わったらギルドに報告が基本の流れです。依頼が遂行できずに失敗してもここで報告すること。成功した依頼と失敗した依頼の数とランクはあなたのギルド員証に記録されます。また、失敗された依頼は他の冒険者が引き受けることもできます。」

「あまり失敗が多いとこちらで依頼受注許可を出さないこともあります。なので、できる範囲の依頼を受けるようにして下さい。」


 その後、長々と彼女の話を続いたが、書類を書いているうちに終わっていた。


「これで、大丈夫でしょうか」

「えーっと、アリスちゃんね。魔法使いで風魔法が得意。剣も扱えると。なかなかいい人材じゃない。これだとEランクからね」


 冒険者ギルドではFからAまでのランク分けがあるようで、どうやら私はEからスタートのようだ。


「Eか、良かったじゃないか!普通は出来ることが少なくてFスタートが多いんだ」


 ガインが肩を叩いて励ましてくれる。落ち込んではいないんだが。


「はい、アリスちゃん。これがあなたのギルド員証よ。なくさないようにしてね。それと、なにかあったら私に頼りなさい」

「はい!ありがとうございます!」


 手のひらに乗るぐらいの鉄の板を渡される。首にかけられるように紐も付いている。


「よし!それじゃあ、新人冒険者の誕生を祝って今日は飲むぞ!」

「駄目よ。まずはアリスちゃんに宿の取り方を教えるのが先よ!」

「終わったら、終わった後でいいから、な?」

「分かったわよ、仕方ないわね」



 私の身元保証人になってくれたガインとサリアさんに連れていかれ、この街で住むためのあれやこれやを教えられたのであった。

店長「あれはAはあるわね」

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